1983年にオランダで起きた世界的ビール会社「ハイネケン」の経営者誘拐事件を映画化した実録サスペンス。『ミレニアム』シリーズなどのダニエル・アルフレッドソン監督が、エミー賞を受賞したジャーナリスト、ピーター・R・デ・ヴリーズのベストセラー本を基に、身代金の行方など謎多き事件の真相に迫る。素人誘拐犯一味を翻弄(ほんろう)する人質ハイネケンに、名優アンソニー・ホプキンス。犯行グループのメンバーには、ジム・スタージェス、サム・ワーシントンらがそろう。
<感想>メル・ギブソン主演の「身代金」と言う映画など、数々の誘拐サスペンスというジャンルに於いて、本作の特色は警察の捜査を全く描かず、実行犯の行動に焦点を絞ったことだ。
だが、身代金目的の“誘拐”は、俗に割の合わない犯罪と言われており、標的が有名人ならなおさら成功率は低くなる。そんな常識を無視するかのように、世界屈指のビールメーカー、ハイネケン社の社長誘拐を企てた男たちがいた。
本作は1983年にオランダで実際に起こった誘拐事件を映画化したもので、クライム・サスペンスになっている。
仕事に行き詰まり、生活苦にあえぐオランダ人の若者5人が、大富豪フレディ・ハイネケン会長と、そのお抱え運転手の誘拐を実行する。しかし、身代金の受け渡しはなかなか実現せず、犯人の若者たちは次第に焦りを募らせていく。犯人たちは犯罪に手を染めたこともない幼なじみ5人組だった。というのも、身代金を請求する手紙をタイプで打ち、それをみんなが素手で触り指紋がべたべた付く。仕方がないので友達の会社のコピー機を借りて手紙をコピーして郵送する。それに、そのコピー機に現物の手紙を残したことが分かり、次の日にその事務所へ取りにいくという愚かさ。
3週間経っても、ハイネケンの会社から返事がなく、みんなはイライラが募り誘拐した会長にどうしたもんかと聞く有様。会長が言うには、「大金を得たら友達を失う」と、これが最後に言った通りになるとは。計画は順調に進んでいたはずだったが、次第に人質であるハイネケンの威圧的な言動に振り回され、誘拐犯たちの計画に狂いが生じ始める。
会長は、防音装置の壁が付いた隠れ部屋に閉じ込められ監禁。流れてくる音楽に文句をつけてクラシックかオペラを掛けてくれと注文、それに食事も中華料理のバンバンジーが食べたいとか、いろいろと注文を付けるのだ。「ハイネケン」のフレディ・ハイネケン会長には、大ベテランのオスカー俳優であるアンソニー・ホプキンスが、人質になりながらも格の違いを見せつける存在感を発揮している。
運転手は、インド人のような普通の人で、まさか殺されないだろうとビクビクしている。会社の前で帰りを待ち伏せしていた5人の犯人たち、どうして運転手まで誘拐したのかが判らない。
誘拐犯の若者たちは、友人同士で自分たちの事業が失敗して、持ちアパートの住人たちが家賃を払わず居座っているのだ。業を煮やした若者たちは、アパートから住人たちの追い出しにかかるも失敗に終わってしまう。だからというわけか、犯人たちは、この誘拐の前に銀行強盗をやってのける。それが簡単に成功したものだから、味をしめて大金を請求できる世界屈指のビールメーカー、「ハイネケン社」の会長の誘拐を企てたのだ。
御世辞にも、凄腕の犯罪プロフェッショナルとは言い難い血気盛んな実行犯には、「アバター」で一躍有名になったサム・ワーシントンが、誘拐犯のリーダー的存在のコルに「鑑定士と顔のない依頼人」のジム・スタージェスが、その他、妻子持ちのカットに、コルの弟のブレイクスには、トーマス・コックレル、そして、グループ内のトラブルメイカーでもあるスパイクスの5人。
この犯人たちは、想定外の誤算や意見の対立から、仲間割れの危機に陥っていくのだが、つまりは、痴話げんかというか、中々思うように身代金を払ってもらえないというのが、仲間たちの誤算だったようです。
巨額の身代金を要求して計画倒れになるように、儚い夢を見た若者たちの焦りや対立を泥臭いタッチで映し出しています。ですので、途中はダラダラと前に進まない様子に苛立つ犯人たちの仲間割れ状態。観ている側もつまらない。
それでも、かなり日数が経って連絡があり、身代金を用意してそれを車で取りにいき、まんまと巨額の身代金強奪に成功と喜んでいたのだが、そこからが、この犯人たちのとった行動が面白いんです。本当は真面目なんですね、だから、巨額のお金を持って逃げるのに、バラバラになって逃げるようにと。これが直ぐに捕まってしまう男に、自分から自首をする男。そして、ラストにはリーダーのコルとヴィレム(サム・ワーシントン)が捕まってしまう。誰か全部計画をバラした奴がいるってことなのね。
もし、身代金を支払ってもらえない時には、人質を殺すのかに、人殺しは嫌だと揉める犯人たち。だから、人質は隠し部屋に置き去りにされ、後に警察により探し出される。題名になっている犯罪の「代償」が苦い後味を残す1作ですね。犯人たちの余りにも大胆不敵かつ、無謀な犯罪の知られざる裏側を、手に汗を握りしめながら覗き込んで欲しいですね。
2015年劇場鑑賞作品・・・121映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
<感想>メル・ギブソン主演の「身代金」と言う映画など、数々の誘拐サスペンスというジャンルに於いて、本作の特色は警察の捜査を全く描かず、実行犯の行動に焦点を絞ったことだ。
だが、身代金目的の“誘拐”は、俗に割の合わない犯罪と言われており、標的が有名人ならなおさら成功率は低くなる。そんな常識を無視するかのように、世界屈指のビールメーカー、ハイネケン社の社長誘拐を企てた男たちがいた。
本作は1983年にオランダで実際に起こった誘拐事件を映画化したもので、クライム・サスペンスになっている。
仕事に行き詰まり、生活苦にあえぐオランダ人の若者5人が、大富豪フレディ・ハイネケン会長と、そのお抱え運転手の誘拐を実行する。しかし、身代金の受け渡しはなかなか実現せず、犯人の若者たちは次第に焦りを募らせていく。犯人たちは犯罪に手を染めたこともない幼なじみ5人組だった。というのも、身代金を請求する手紙をタイプで打ち、それをみんなが素手で触り指紋がべたべた付く。仕方がないので友達の会社のコピー機を借りて手紙をコピーして郵送する。それに、そのコピー機に現物の手紙を残したことが分かり、次の日にその事務所へ取りにいくという愚かさ。
3週間経っても、ハイネケンの会社から返事がなく、みんなはイライラが募り誘拐した会長にどうしたもんかと聞く有様。会長が言うには、「大金を得たら友達を失う」と、これが最後に言った通りになるとは。計画は順調に進んでいたはずだったが、次第に人質であるハイネケンの威圧的な言動に振り回され、誘拐犯たちの計画に狂いが生じ始める。
会長は、防音装置の壁が付いた隠れ部屋に閉じ込められ監禁。流れてくる音楽に文句をつけてクラシックかオペラを掛けてくれと注文、それに食事も中華料理のバンバンジーが食べたいとか、いろいろと注文を付けるのだ。「ハイネケン」のフレディ・ハイネケン会長には、大ベテランのオスカー俳優であるアンソニー・ホプキンスが、人質になりながらも格の違いを見せつける存在感を発揮している。
運転手は、インド人のような普通の人で、まさか殺されないだろうとビクビクしている。会社の前で帰りを待ち伏せしていた5人の犯人たち、どうして運転手まで誘拐したのかが判らない。
誘拐犯の若者たちは、友人同士で自分たちの事業が失敗して、持ちアパートの住人たちが家賃を払わず居座っているのだ。業を煮やした若者たちは、アパートから住人たちの追い出しにかかるも失敗に終わってしまう。だからというわけか、犯人たちは、この誘拐の前に銀行強盗をやってのける。それが簡単に成功したものだから、味をしめて大金を請求できる世界屈指のビールメーカー、「ハイネケン社」の会長の誘拐を企てたのだ。
御世辞にも、凄腕の犯罪プロフェッショナルとは言い難い血気盛んな実行犯には、「アバター」で一躍有名になったサム・ワーシントンが、誘拐犯のリーダー的存在のコルに「鑑定士と顔のない依頼人」のジム・スタージェスが、その他、妻子持ちのカットに、コルの弟のブレイクスには、トーマス・コックレル、そして、グループ内のトラブルメイカーでもあるスパイクスの5人。
この犯人たちは、想定外の誤算や意見の対立から、仲間割れの危機に陥っていくのだが、つまりは、痴話げんかというか、中々思うように身代金を払ってもらえないというのが、仲間たちの誤算だったようです。
巨額の身代金を要求して計画倒れになるように、儚い夢を見た若者たちの焦りや対立を泥臭いタッチで映し出しています。ですので、途中はダラダラと前に進まない様子に苛立つ犯人たちの仲間割れ状態。観ている側もつまらない。
それでも、かなり日数が経って連絡があり、身代金を用意してそれを車で取りにいき、まんまと巨額の身代金強奪に成功と喜んでいたのだが、そこからが、この犯人たちのとった行動が面白いんです。本当は真面目なんですね、だから、巨額のお金を持って逃げるのに、バラバラになって逃げるようにと。これが直ぐに捕まってしまう男に、自分から自首をする男。そして、ラストにはリーダーのコルとヴィレム(サム・ワーシントン)が捕まってしまう。誰か全部計画をバラした奴がいるってことなのね。
もし、身代金を支払ってもらえない時には、人質を殺すのかに、人殺しは嫌だと揉める犯人たち。だから、人質は隠し部屋に置き去りにされ、後に警察により探し出される。題名になっている犯罪の「代償」が苦い後味を残す1作ですね。犯人たちの余りにも大胆不敵かつ、無謀な犯罪の知られざる裏側を、手に汗を握りしめながら覗き込んで欲しいですね。
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