数々の意欲作を送り出してきた東映Vシネマ25周年を記念して製作されたバイオレンスアクション。ワケありの25億円をめぐって悪徳刑事やヤクザ、チャイナマフィア、殺し屋ら25人の悪党たちが壮絶な強奪戦を繰り広げる。主人公の悪徳刑事にはVシネマの帝王と称される哀川翔、その相棒にさまざまな作品で異彩を放つ個性派・寺島進。さらに温水洋一、小沢仁志、小沢和義、竹中直人、大杉漣らVシネマでおなじみの面々に加え、笹野高史、嶋田久作、石橋蓮司といった実力派が名を連ねる。
あらすじ:西池袋警察署の悪徳刑事コンビ桜井慎太郎(哀川翔)と日影光一(寺島進)は押収した金の行方が問題となり、不明金の提出を命じられていた。困った二人は巨額年金横領事件の報道を知り、容疑者の九十九信夫(温水洋一)に目を付ける。九十九は横領した金の大半を使い込んでいたが、残金25億円を狙ってヤクザ、チャイナマフィア、腐敗した警察組織らがし烈な強奪戦を繰り広げていく。
<感想>東映Vシネマ25周年の祝祭感を反映したキャスティングによる、超特大暴力花火的な物語は、見せ場のオンパレードで楽しい。ご祝儀で弾着も五割増しといったコンセプトだが、バキューン、ドバドバと威勢のいい銃声が鳴りやまない本格銃撃戦を久々に観た。
最近の邦画ではガンアクション映画が少ない上、銃撃シーンがデジタル化されて銃火も銃創もCGアニメで、ドス(短刀)で腹を刺したり、格闘技を見せるような日本映画のお家芸ともいうべき緻密な弾着仕事を見ることが殆どなかったような気がする。ただ、その分セルフパロディ的な、もしくは“いかにもVシネマ”的な範囲に収まって見えてしまう。
それにしても、温水洋一が年金基金60億円を横領し、その金の半分以上をソープとかバーの女に貢ぎこんで、残り25億円を狙っている巨大麻薬取引に使おうとしている極道の小沢仁志と和義の兄弟。
おなじ情報に飛び付いたのは、悪徳刑事の哀川翔と寺島進や、半愚連隊のような武蔵連合のバカものたち。そこへ、割り込む謎の殺し屋処刑ライダーも登場して、こいつが全身防弾で武装して、銃で乱射してもびくともしない。それに凄腕ハンターでもある。こいつの正体がなんとお笑い芸人の○○さんとは、恐れ入りました。
そしてヤクザの親分には石橋蓮司に、警察署長に大杉漣さんが、中国人武器商人に笹野高史が、果ては中国人の麻薬売人に竹中直人という顔ぶれにも凄い。竹中さんの死に方上手いですね。さすがにベテラン俳優さんです。
潜入捜査とか強欲悪女とか完全装備の殺し屋とか、全員悪いやつばっかしで、脚本の様々な方向性が面白いのだが、話がまとまらずに終わってしまっているのが惜しい。
ですが、Vシネマテイストで行けば、まだ活躍の路線はあるかも、と思わせる本作。哀川翔は依然としてかっこいいし、人間と人間のぶつかり合いともいうべき、ヤクザの小沢仁志と哀川翔との対決は、「武器で決着をつけるなんて許せねぇ」みたいな、二人が揉みあいながら格闘技をかまして、哀川翔の背負い投げのような決めで、小沢仁志が下に落ちてしんでしまうシーンなんか好きですね。それに、25億円を積んだ幼稚園バスに高岡早紀が運転して逃げるシーンで、武器商人の笹野さんから買った拳銃のオマケとしてロケットランチャーを貰うんだけど、武蔵連合のバカものがロケットランチャーの使い方を知らない。で、ヤクザの小沢仁志が幼稚園バス目がけてロケットランチャーを撃ち込むシーン。見事に命中してバスが爆発、札束の花びらが散るシーンも良かった。
札束を詰め込んだリュックサックを背負って必死に逃げ回る温水洋一も、結構笑わせてくれる。高岡早紀に、いつもの色気が乏しいのが残念だが、役柄のせいなのかも。そして鈴木砂羽が悪徳刑事寺島進の元妻役で、息子が心臓病で手術費用がいると、これがまったくの嘘の話だったとは、気が付かないでせっせと金を運んだ寺島進の最期が哀れだ。それに、その息子が哀川翔にクリソツで、元妻が明かす真実にもびっくり。
ですが、その中でも横領犯の温水洋一さんの大活躍で、その飄々としたトリックスターぶりは、銃撃戦よりも何よりも痛快な魅力があった。
2014年劇場鑑賞作品・・・342 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:西池袋警察署の悪徳刑事コンビ桜井慎太郎(哀川翔)と日影光一(寺島進)は押収した金の行方が問題となり、不明金の提出を命じられていた。困った二人は巨額年金横領事件の報道を知り、容疑者の九十九信夫(温水洋一)に目を付ける。九十九は横領した金の大半を使い込んでいたが、残金25億円を狙ってヤクザ、チャイナマフィア、腐敗した警察組織らがし烈な強奪戦を繰り広げていく。
<感想>東映Vシネマ25周年の祝祭感を反映したキャスティングによる、超特大暴力花火的な物語は、見せ場のオンパレードで楽しい。ご祝儀で弾着も五割増しといったコンセプトだが、バキューン、ドバドバと威勢のいい銃声が鳴りやまない本格銃撃戦を久々に観た。
最近の邦画ではガンアクション映画が少ない上、銃撃シーンがデジタル化されて銃火も銃創もCGアニメで、ドス(短刀)で腹を刺したり、格闘技を見せるような日本映画のお家芸ともいうべき緻密な弾着仕事を見ることが殆どなかったような気がする。ただ、その分セルフパロディ的な、もしくは“いかにもVシネマ”的な範囲に収まって見えてしまう。
それにしても、温水洋一が年金基金60億円を横領し、その金の半分以上をソープとかバーの女に貢ぎこんで、残り25億円を狙っている巨大麻薬取引に使おうとしている極道の小沢仁志と和義の兄弟。
おなじ情報に飛び付いたのは、悪徳刑事の哀川翔と寺島進や、半愚連隊のような武蔵連合のバカものたち。そこへ、割り込む謎の殺し屋処刑ライダーも登場して、こいつが全身防弾で武装して、銃で乱射してもびくともしない。それに凄腕ハンターでもある。こいつの正体がなんとお笑い芸人の○○さんとは、恐れ入りました。
そしてヤクザの親分には石橋蓮司に、警察署長に大杉漣さんが、中国人武器商人に笹野高史が、果ては中国人の麻薬売人に竹中直人という顔ぶれにも凄い。竹中さんの死に方上手いですね。さすがにベテラン俳優さんです。
潜入捜査とか強欲悪女とか完全装備の殺し屋とか、全員悪いやつばっかしで、脚本の様々な方向性が面白いのだが、話がまとまらずに終わってしまっているのが惜しい。
ですが、Vシネマテイストで行けば、まだ活躍の路線はあるかも、と思わせる本作。哀川翔は依然としてかっこいいし、人間と人間のぶつかり合いともいうべき、ヤクザの小沢仁志と哀川翔との対決は、「武器で決着をつけるなんて許せねぇ」みたいな、二人が揉みあいながら格闘技をかまして、哀川翔の背負い投げのような決めで、小沢仁志が下に落ちてしんでしまうシーンなんか好きですね。それに、25億円を積んだ幼稚園バスに高岡早紀が運転して逃げるシーンで、武器商人の笹野さんから買った拳銃のオマケとしてロケットランチャーを貰うんだけど、武蔵連合のバカものがロケットランチャーの使い方を知らない。で、ヤクザの小沢仁志が幼稚園バス目がけてロケットランチャーを撃ち込むシーン。見事に命中してバスが爆発、札束の花びらが散るシーンも良かった。
札束を詰め込んだリュックサックを背負って必死に逃げ回る温水洋一も、結構笑わせてくれる。高岡早紀に、いつもの色気が乏しいのが残念だが、役柄のせいなのかも。そして鈴木砂羽が悪徳刑事寺島進の元妻役で、息子が心臓病で手術費用がいると、これがまったくの嘘の話だったとは、気が付かないでせっせと金を運んだ寺島進の最期が哀れだ。それに、その息子が哀川翔にクリソツで、元妻が明かす真実にもびっくり。
ですが、その中でも横領犯の温水洋一さんの大活躍で、その飄々としたトリックスターぶりは、銃撃戦よりも何よりも痛快な魅力があった。
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