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プリズナーズ ★★★★

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『X-MEN』シリーズ、『レ・ミゼラブル』などのヒュー・ジャックマンが愛する娘を誘拐され、自力で犯人を捕まえようと行動を起こす父親を演じるクライムサスペンス。ヒューのほか、事件を担当する警察官に『ブロークバック・マウンテン』などのジェイク・ギレンホール、容疑者に『リトル・ミス・サンシャイン』などのポール・ダノら実力派俳優陣が顔をそろえる。メガホンを取るのは、『渦』『灼熱の魂』のカナダ人監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ。わが子を誘拐され、悲しみや怒りをたたえた父親を演じるヒューの迫真の演技が見どころ。

<感想>冒頭で鹿狩りをするヒュー・ジャックマンと息子の親子が観られる。その後は感謝祭の日の午後、一家4人はすぐ近くにある友人フランクリン(テレンス・ハワード)の家へ行く。一家の主人ケリーは工務店の自営業で、息子の下に6歳になるアナという娘がいる。感謝祭の夕食へ向けて、お土産の鹿肉を料理する女性たち、くつろいだ楽しい時間が経過していく。

その間にヒューの娘のアナが、気にいっている小さな赤いホイッスルを忘れてきたので、取りに行くと言いフランクリンの娘ジョイと、自宅へと向かう。もう、観ていてこの娘二人が誘拐されていなくなることが観客には分かる。
と同時に、その赤い小さなホイッスルが、この映画のどこかで重要な役割を果たすのだと思ってしまった。しかし、どこでどのような役目を果たすかは見当もつかない。今思えばホイッスルは音がするのだから、その音が役に立つのだと確信して観ていた。

少女がいなくなる前から、怪しいキャンピングカーが画面に現れ、娘のアナがしきりに中を覗き込み感心を抱く。この車が誘拐事件に使われるのだろうと思ってしまう。
結局は、その通りだったようで、そのキャンピングカーを運転していた男アレクックスが、容疑者として警察に拘留されるわけ。でも、その男は知的障害者で10歳位のIQだというのだ。
調べた結果拘留の時間が切れて釈放されるアレックスに、ヒューパパは怒りを露わにして掴みかかる。「僕がいた間は、少女たちは泣かなかった」とヒューの耳元で囁く。
これによって、アナの父親はアレックスを誘拐し、父親が住んでいた古い家屋へ拉致監禁して、顔が腫れあがるほど殴り、熱湯による拷問をして娘のいる場所を吐かせる。しかし、いくら痛めつけても「知らない」と拉致があかないのだ。この事態を友人のテレンス・ハワードを連れて来て、拷問を見せつけると、気弱いフランクリンは観て見ぬふりをして出ていく。人間は誰かを救うために第三者へは残酷になれるのだ。
この犯人扱いされるアレックスを、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・ダノが演じているのだが、見事な演技を見せている。それに、もう一人の犯人と思しき青年も現れ、部屋には血だらけの洋服と蛇が入ったケースがたくさん並んでいた。これは、蛇嫌いの私には気持ちが悪いとしか言いようがない。取り調べ室で、その青年が警官の拳銃を奪い自殺してしまう。
刑事ロキを演じるジェイク・ギレンホールも、これまで担当してきた事件は全て解決してきた彼は、必死に捜査をするが、いかんせん今回ばかりは抑え目な演技で「エンド・オブ・ウォッチ」のようにはいかなかったようだ。
それでも、誘拐ものに愚作なしというように、よくできたサスペンスミステリーものです。二転三転しながら最後まで、ハラハラドキドキさせ、楽しく見せてくれる。
「天にめします父よ、我らの罪を許させたまえ」という主の祈りを唱える敬虔なクリスチャンのケリー。宗教と感情の対立が浮かぶ、そして観客には見えていても、登場人物には分からないサスペンス。その二つが物語上大きく機能を果たすのだが、いささかサスペンスを作りだすことに重きを置きすぎ、不自然さが多くなっている。

もどかしさでスリルを作る安易さ、単独で行先も告げない鉄砲玉のような刑事が繰り出す同じ失敗。もっとも問題なのは、犯人の犯行動機と、誘拐被害者を生かす理由が真っ向から対立することだと思う。

父親のヒューが目を付けた犯人のアレックスは、二人の少女を車に乗せておばさんの家へ、メリッサ・レオ演じる伯母さんが実は意外な人物だったというわけ。刑事ロキがそのことを感づいて、家探しをすればもっと早くに少女たちは見つかったのに、それでも生きて帰ってこれたのが幸いである。少女たちに弛緩剤の注射や、痺れ薬を飲ませていたようだ。
最後まで、そのアレックスの家に不審を感じていたヒューが、犯人の叔母さんに拳銃で脅され足を撃たれ、庭の掘った穴に落とされるまで。あの強いイメージのヒューが易々とババァにやられてしまうなんて思ってもいなかった。車を移動する時に、急発進をしてババァにぶつけるとか出来たのに、痺れ薬を飲まされたとはいえ残念でならない。

しかしながら、始めの赤いホイッスルがその穴にあったのが良かった。最後に、娘も救助されて見つかったのに、父親のケラーがいないのだ。冬の凍てつく夜に、刑事ロキがあのババァの家の庭に立っている。そこで、聞こえるか聞こえないかの小さなホイッスルの音に、気付いた瞬間に終わりとなる映画の作り方に、凍える夜の中で刑事が気付いていく場面の構成が、気が利いていてうまい。
2014年劇場鑑賞作品・・・206
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