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マンデラ 自由への長い道 ★★★.5

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2013年12月5日に逝去した元南アフリカ大統領、ネルソン・マンデラの「自由への長い道 ネルソン・マンデラ自伝」を実写化した伝記ドラマ。人種隔離政策アパルトヘイトに挑む闘士から大統領となった彼が歩んだ波瀾(はらん)万丈の人生を、重厚なタッチで映し出していく。メガホンを取るのは、『ブーリン家の姉妹』などのジャスティン・チャドウィック。『パシフィック・リム』などのイドリス・エルバが、マンデラを熱演。実際にマンデラと親交の深かったU2のボノが作品のために書き下ろした主題歌も聴きもの。
あらすじ:人種隔離政策アパルトヘイトによって、白人たちが優位に立ち、黒人たちが迫害されていた、南アフリカ共和国。弁護士として働いていたネルソン・マンデラ(イドリス・エルバ)は、そんな差別や偏見が当然のように存在している状況に疑問と怒りを感じられずにはいられなかった。その思いを強くするあまり、彼は反アパルトヘイトを訴えた政治活動に身を投じていくが、それと同時に当局から目を付けられるように。活動は熱を帯び、ついには国家反逆罪で逮捕され、終身刑という重い判決を下されてしまう。

<感想>人種差別撤廃にその人生を捧げ、ノーベル平和賞を受賞した第8代南アフリカ共和国大統領、ネルソン・マンデラ。彼の壮絶な全人生を描いた伝記映画であります。若い頃から反アパルトヘイトの活動家だったプロデューサーのアナント・シン。映画製作を通じて人種差別撤廃を訴えてきた彼は、ネルソン・マンデラについての映画を作る事は、長い間の夢だったそうです。
マンデラ本人も、彼の活動を知っていて、マンデラが獄中にいる時から、文通が始まったとのこと。実際にマンデラと逢ったのは、1990年、釈放されてから2週間後のこと。とてもユーモアのある方で、映画を作りたいと言うと、「私の人生を描いた映画なんて誰が観たいのかな?」なんて言いながらも快く引き受けてくれたそうです。
自伝が発刊されてから約20年、映画化にこれほどまで時間がかかった理由は、子供時代から大統領就任前の波乱に満ちた人生を、2時間余りの映画の中に収めるための脚本作りに膨大な時間を費やしたためだと言うのだ。
記憶にあるのは「インビクタス/負けざる者たち」(09)や「マンデラの名もなき看守」(07)といった人生の一部にフォーカスした作品。あるいはドキュメンタリーなど、これまでマンデラを描いた作品は数多くあります。

しかし、この映画は、彼の全人生を描いているのだ。子供時代をどういう村で過ごしたのか、最初の結婚生活の破綻により何を学んだのか。そういったことはすべて、世界中の人に知られ「ネルソン・マンデラ」になるまでに必要な要素だったからだ。とりわけ、二番目の妻ウィニーとの熱烈なラブストーリーを物語の軸に据えていること。
貧しい村に育ったマンデラは、成人して弁護士になった。だが、人種隔離政策アパルトヘイトによって白人たちが優位に立ち、黒人たちが迫害されている状況に疑問と怒りを感じ、マンデラは反アパルトヘイト運動に身を投じていくが、ついには当局から過激な活動に目をつけられ、国家反逆罪で逮捕、終身刑という判決を下される。
その後、27年間の収監の途中で先妻との間にできた息子の死、解放されたネルソン・マンデラは、人種差別運動のアイコンとなり、第8代南アフリカ共和国大統領に就任するのである。
この作品のユニークさは、世界的英雄となったマンデラのプライベートな部分にまで踏み込みこんでいることである。聖人のイメージが強い彼だが、実は人間っぽい部分もあり、女性関係では生涯に3度の結婚も経験。

とりわけ、18歳年下で二番目の妻ウィニーとのラブストーリーは、とてもパワフルでエモ−ショナルだと感じました。この二人の真実の愛は、同時に悲劇でもあったのですね。激しい恋に落ちて結婚した二人ですが、2人の娘を持ち、4年目でマンデラは収監されてしまう。
その後、20年以上も二人は一緒に暮らしていないわけで、自由な身になりウィニーに再会したマンデラは、映画の中の台詞にもありますが「愛していた彼女はいなくなってしまった」ことに気付くのですね。ウィニーが彼を愛するあまりに、彼を釈放さえたいがために、女闘志家として目覚めて民衆を率いる力を供えてしまったこと。長女もそうでしたね。それに、男がいるということも。

ウィニーがあまりにも変わってしまったのかもしれないし、マンデラが会えない間に、彼の頭の中で彼女のイメージを膨らまし過ぎたのかもしれませんね。いずれにしても、自由を得るという最大の勝利の瞬間に、人生で最も大切なものを彼は失ってしまったのですね。これ以上の悲劇があるでしょうか。
しかしながら、27年間という長い歳月で、憎しみを捨て思慮を深めていったマンデラに対して、外の世界で迫害され、夫を救い出すために武力闘争へと傾いていった妻のウィニー。すべては夫への愛ゆえなのに、二人の溝がどんどん広がってしまう運命の皮肉が、あまりにも切ないですね。
彼が最終的に辿り着いた結論は、闘うのではなく「許す」ことを学ぶ姿勢だったのです。敵の立場や心境も理解しようと努めること。それなくしては、あらゆる人種が共存できる平和な世界が実現することはあり得ないと思うようになったことです。
どんな人に対しても分け隔てなく同じように敬意をもって接すること、それが海外の要人でも、ホテルのドアマンでも。彼をネルソン・マンデラとしてたらしめている資質ですが、これも27年間の時を経て形成されたと思うと皮肉ですが、・・・。享年95歳、世界の平和の象徴であり英雄であるネルソン・マンデラ氏に合掌。

インビクタス/負けざる者たち」(09)

マンデラの名もなき看守」(07)

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