人気芸人・品川祐が品川ヒロシ名義で監督を務めた『ドロップ』『漫才ギャング』に続く第3作。映画化もされた「悪夢のエレベーター」の原作者・木下半太の小説を基に、人生における大逆転を狙う小悪党3人が銀行強盗で奪った大金の分け前をめぐり、壮絶な争いを繰り広げるさまを描く。内輪もめを始めてしまう男たちには、藤原竜也をはじめ、元KAT-TUNの田中聖、ブラックマヨネーズの小杉竜一。さらに彼らが強奪した金を狙う者たちに、中島美嘉、窪塚洋介、池畑慎之介がふんする。
あらすじ:人生の一発逆転を願って企てた銀行強盗が見事成功したキャバクラ「ハニーバニー」店長のシュウ(藤原竜也)、ボーイのコジ(田中聖)、常連客の健さん(小杉竜一)。彼らは奪った数億円の大金を均等に分け合うはずだったが、自らの取り分を少しでも増やしたいという欲から壮絶な争いが始まる。さらにほかにもその金を奪おうとする者が現われ、事態は予測できない展開に……。
<感想>吉本芸人監督の中で唯一才能を感じさせるのが、品川ヒロシであることは前作の『ドロップ』『漫才ギャング』での、実直な演出と佳作ぶりで実証済みだが、今回は他人の木下半太原作、かつ時系列が思いきり錯綜しまくる展開もハデに前後するだけに、ユニークというより一人で脚本書いて撮るには手に余ったように見受ける。
このけたたましい展開は、誰かの映画に似ていると思った。そうです「地獄でなぜ悪い」だ。もちろん血しぶきも死体の山もあの作品とは全然異なるし、設定だって全く似ていない。だが、盗んだ大金を巡ってのハイテンションの繰り返しは、ただただケタタマシイだけで、途中から勝手にやってればと思ってしまった。
競馬で店の売上金400万円の入ったカバンを紛失するなんて、なんて大馬鹿者だ。店長のシュウが渋柿から借金をするはめになり、その返済にまりあの勧めで銀行強盗を計画し、決行して見事に1億6000万円を強奪する。その金を3分の1に山分けするはずが、金の分配を巡って仲間割れが勃発。さらには、その大金をかっさらおうと狙う破魔翔とか、高利貸しのババアが出て来る。
逆転劇というのか、どんでん返しがこうも続くと、やけくそゲームと同じで、メインの駒、藤原竜也の立ち位置も何がなにやら。
しかし、達也ファンにとっては、高利貸しのババアの悪趣味な脳みそズルズルには参ったね。それに、拷問の末にオカマを掘られる下りには幻滅したよ。それでも、出て来るヤツはみんなワルという話だけに、誰が勝とうと知ったこっちゃないが、なんだか、品川監督が園子監督のマネをしたようにも見受けられ幻滅しました。
舞台となる川崎も、架空の都市として構築されているらしいが、ハニーバニーの経営者であるぶっ飛んだ窪塚洋介の破魔翔とか、高利貸しのババアである渋柿多美子の池畑慎之介など、中島美嘉の誘いで銀行強盗をやらかすという。その計画を考えたのがシュウの藤原竜也である。
キャスティングはいい、運転手のバーテンのコジ役の田中聖に、焼肉屋のハゲデブの健さんに小杉竜一という顔ぶれも最高。
銀行強盗はアメリカの文化という台詞もいいが、わざわざ「GG」とって略するのも可笑しいだろうに。素人3人に、プラス女による犯罪プランは、想定外の事態でこじれていくものの、こじらせ方に仕掛けがたっぷりある。
強盗後の心理戦と、犯行までの数日間の回想を織り交ぜているも、でも本当に辻褄が合っているのか、途中から分からなくなる。いいのは、よくある騙し合いのための、騙しになっていないことで、根拠がトリッキーに描かれているのだ。
マリア役の中島美嘉の語りが、複雑な時制構造に絡むのはいい。ですが、欠点はすっきりとしない結末にある。原作と違う結末だというが、どうして、あの破魔翔が最後に出て来て、美味しいとこ取りするのか理解できません。
タランティーノ作品へのオマージュとして書き上げた同名小説の映画化だと言うが、タランティーノの多弁は無駄話の魅力にある。日本の映画で、真似ると設定やクサイ台詞へのツッコミになってしまい、言い訳に利用されてしまうのがおち。だから、本作も逃れられていないのが惜しまれる。しかし、才能に溺れず演出力を磨こうとする志向は支持したいです。
2014年劇場鑑賞作品・・・77 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:人生の一発逆転を願って企てた銀行強盗が見事成功したキャバクラ「ハニーバニー」店長のシュウ(藤原竜也)、ボーイのコジ(田中聖)、常連客の健さん(小杉竜一)。彼らは奪った数億円の大金を均等に分け合うはずだったが、自らの取り分を少しでも増やしたいという欲から壮絶な争いが始まる。さらにほかにもその金を奪おうとする者が現われ、事態は予測できない展開に……。
<感想>吉本芸人監督の中で唯一才能を感じさせるのが、品川ヒロシであることは前作の『ドロップ』『漫才ギャング』での、実直な演出と佳作ぶりで実証済みだが、今回は他人の木下半太原作、かつ時系列が思いきり錯綜しまくる展開もハデに前後するだけに、ユニークというより一人で脚本書いて撮るには手に余ったように見受ける。
このけたたましい展開は、誰かの映画に似ていると思った。そうです「地獄でなぜ悪い」だ。もちろん血しぶきも死体の山もあの作品とは全然異なるし、設定だって全く似ていない。だが、盗んだ大金を巡ってのハイテンションの繰り返しは、ただただケタタマシイだけで、途中から勝手にやってればと思ってしまった。
競馬で店の売上金400万円の入ったカバンを紛失するなんて、なんて大馬鹿者だ。店長のシュウが渋柿から借金をするはめになり、その返済にまりあの勧めで銀行強盗を計画し、決行して見事に1億6000万円を強奪する。その金を3分の1に山分けするはずが、金の分配を巡って仲間割れが勃発。さらには、その大金をかっさらおうと狙う破魔翔とか、高利貸しのババアが出て来る。
逆転劇というのか、どんでん返しがこうも続くと、やけくそゲームと同じで、メインの駒、藤原竜也の立ち位置も何がなにやら。
しかし、達也ファンにとっては、高利貸しのババアの悪趣味な脳みそズルズルには参ったね。それに、拷問の末にオカマを掘られる下りには幻滅したよ。それでも、出て来るヤツはみんなワルという話だけに、誰が勝とうと知ったこっちゃないが、なんだか、品川監督が園子監督のマネをしたようにも見受けられ幻滅しました。
舞台となる川崎も、架空の都市として構築されているらしいが、ハニーバニーの経営者であるぶっ飛んだ窪塚洋介の破魔翔とか、高利貸しのババアである渋柿多美子の池畑慎之介など、中島美嘉の誘いで銀行強盗をやらかすという。その計画を考えたのがシュウの藤原竜也である。
キャスティングはいい、運転手のバーテンのコジ役の田中聖に、焼肉屋のハゲデブの健さんに小杉竜一という顔ぶれも最高。
銀行強盗はアメリカの文化という台詞もいいが、わざわざ「GG」とって略するのも可笑しいだろうに。素人3人に、プラス女による犯罪プランは、想定外の事態でこじれていくものの、こじらせ方に仕掛けがたっぷりある。
強盗後の心理戦と、犯行までの数日間の回想を織り交ぜているも、でも本当に辻褄が合っているのか、途中から分からなくなる。いいのは、よくある騙し合いのための、騙しになっていないことで、根拠がトリッキーに描かれているのだ。
マリア役の中島美嘉の語りが、複雑な時制構造に絡むのはいい。ですが、欠点はすっきりとしない結末にある。原作と違う結末だというが、どうして、あの破魔翔が最後に出て来て、美味しいとこ取りするのか理解できません。
タランティーノ作品へのオマージュとして書き上げた同名小説の映画化だと言うが、タランティーノの多弁は無駄話の魅力にある。日本の映画で、真似ると設定やクサイ台詞へのツッコミになってしまい、言い訳に利用されてしまうのがおち。だから、本作も逃れられていないのが惜しまれる。しかし、才能に溺れず演出力を磨こうとする志向は支持したいです。
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