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Channel: パピとママ映画のblog
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僕がジョンと呼ばれるまで ★★★.5

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日本で開発された脳活性化プログラムを基に、アメリカの高齢者介護施設で行われた認知症改善の取り組みを追ったドキュメンタリー。読み書き、計算を通じ認知症改善を目指す「学習療法」に挑戦することで、プログラムに参加する人たちが再び笑顔と自分らしさを取り戻していく様子を映し出す。当初は会話もかみ合わず、家族や自分自身のこともわからなかった老人たちが再び趣味やおしゃれを楽しみ、積極的にコミュニケーションを取るようになっていく姿に感動。
あらすじ:平均年齢80歳以上の入居者のほとんどが認知症を患うアメリカ・オハイオ州の高齢者介護施設。スタッフのジョンは入居者に毎日自己紹介した上で自分の名前を尋ねるが、答えは「いいえ」。しかし、「脳トレ」でおなじみの脳科学者・川島隆太教授らが開発した認知症改善プログラム「学習療法」に取り組み始めてから、彼らの日常に変化が生じる。

<感想>日本発の認知症治療の試みがアメリカの老人介護施設で行われ、病気への不安を希望に変えるヒントを投げ掛けるドキュメンタリーである。
仙台放送が20年も前から続けているという認知症取材や、脳機能の回復に取り組む川島博士のことは全く知らずに、なんで日本じゃなくアメリカのオハイオ州の介護施設のドキュメンタリーなのって?・・・。
認知症の治療、というか症状の改善に劇的な効果をもたらす「学習療法」の実際を描いています。公文式の公式宣伝映画みたいな趣もあるが、だからって別に非難をしているわけではない。

つまりは認知症には国境はないってことなのね。脳トレ効果は万国共通ということで、なるほど説得力があります。始めは、無表情にうずくまっていた認知症の人々が、作動記憶のトレーニングの繰り返しの中で、少しずつその人なりの個性が出て来て素晴らしい。
しかし、日本人学者の開発した学習療法を行えば、認知症の症状が改善するらしいのだが、治療例紹介ビデオとして観るのみなのだ。
映画としての興味は、5分前に話した相手の名前も忘れてしまう老人たちの「5分後の世界」と、海外ドキュメンタリーふうにパッケージされている点だけ。
日本では効果があったものの、厚生省から認可が降りないので、アメリカに持ち出して異文化で検証しようとしたらしいのだが、劇中ではそういうことは描かれない開発者の戦略こそが、映画的で面白いと感じた。

大真面目に取り組んでいて好感が持てるし、介護士のジョン君の視線で患者さん一人一人の人生が過去を振り返る構成も無理がなくていい。従って、推薦するにやぶさかではないが、映画としてはどうかなと思った。
記録したい場面だけ撮っている気がするようにも見えた。終わり方が読めてきちゃうのが残念。「道化師になりたい」と歌う老婆がキュートに映っていた。
各患者の家庭へのインタビューも効果的である。ただ、ちょっと疑問があるのだが、回復した脳機能は、脳トレ後も持続するのだろうか?・・・。
しかしながら、これから自分にも訪れる老後の人生。認知症にだけはなりたくないなどと思っていても、知らず知らずに訪れて来る。それをただ待っているだけではダメだと教えてくれる。そして、人はいつまでも学ぶことが出来るということ、これからでも遅すぎることはないと痛感させられました。
2014年劇場鑑賞作品・・・74  映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


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