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白ゆき姫殺人事件 ★★★

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『告白』などの原作者・湊かなえの小説を基に、美人OLの殺害容疑を掛けられた女性をめぐって人間の悪意を浮き彫りにしていくサスペンスドラマ。報道によって浮かび上がる容疑者像をきっかけに、インターネット上での匿名の中傷やマスコミの暴走など現代社会の闇が描かれる。監督は、『ゴールデンスランバー』などの中村義洋。容疑者である地味なOLを井上真央が熱演。テレビディレクター役の綾野剛のほか、菜々緒、貫地谷しほりらが共演する。容疑者がいかなる結末をたどるのか最後まで目が離せない。
あらすじ:人里離れた山中で10か所以上を刺され、焼かれた死体が発見される。殺害されたのは典子(菜々緒)で、容疑者は化粧品会社のOL城野美姫(井上真央)。テレビディレクターの赤星雄治(綾野剛)は、美姫の同僚、家族、幼なじみなどに取材。典子が美姫の同期入社で、美人で評判だった一方、美姫は地味で目立たない存在だったことが報道され……。

<感想>美人OL殺害事件の真相をワイドショーのディレクターがデジカメで追っていくというPOVスタイルで、臨場感たっぷりに、また最後まで真犯人が断定できないユニークな構成になっている。関係者の噂話、ツイッターでのつぶやき、ワイドショー出演者の発言などが重なって事件を煽り、冤罪事件を生み出していく展開が恐ろしいですよね。
容疑者となる冴えないOLを井上真央、ツイッター中毒の軽薄なディレクターを綾野剛、噂好きな後輩に蓮佛美沙子、引きこもりの幼馴染を貫地谷しほりと、普段とは異なるキャラクターを演技派キャストが演じている点でも楽しいです。
二面性のある美人OLを演じた菜々緒の熱演も効果的でした。

TVドラマや、「シャニダールの花」に於ける綾野剛の魅力を感じ、それから注目を置くようになった。彼の覇気のないような静かな演技、どう見てもアクション俳優には向かない。本作でもしがない映像ディレクター役だが、社会人としての甘さがある男。自分のことを過大評価し、いかに注目されるかを考え、雇われではなく正社員になりたい。でも回りが見えず視野の狭い空回りキャラをイメージしているように見えた。
彼は鼻の下にちょび髭はやし、インチキ臭い顔になって、仕事に対する姿勢だってとにかく薄っぺらい奴、浅はかでみんなが発信していることを鵜呑みにして、そのまま世に出してしまう。スクープを得た時の知り合いの記者のことや、その対象になり得る自分自身のことを客観的に分析していて面白かったです。赤星が初めて殺害現場の“しぐれ谷”に行ったシーンでの、剛くんの芝居が特に印象に残っています。カメラを持ったままそこへやってくる感じが、本当にビビッている、あのヘタウマ感も良かった。

それに、映画の冒頭で彼が見せるツイッターを打ちながら電話で話をするシーンも、化粧品会社に勤める大学時代の後輩から最新情報をもらい、そのままネットに垂れ流す。いつもの習慣って恐ろしいです。「犯人わかちゃいました。行方不明の城野美姫で間違いないでしょう」って、実名で流すのはどうかしている。赤星は特ダネ狙いで関係者を取材、これでテレビ局との契約更新は確実でしょう、と勘違いしている。
ところが、赤星の推理はワイドショーでオンエアされ、城野美姫は、ほぼ犯人と世間では断定される。真実を追求しないで、勝手に憶測で犯人をマスコミが実名でオンエアするなんて、これは冤罪です。

マスコミやネットによるミスリードの怖さが描かれている。視聴率やPV数を意識して事実を面白おかしく脚色していくメディアの情報を鵜呑みにすると、とんでもないことになってしまう。
酷いのが、城野美姫の職場の人や、大学時代の友人、小中学時代の友人など、美姫を知る人たちが、みんな自分の都合のいい美姫像しか語らない。だから、犯人でもない彼女は、追い詰められてホテルに隠れて閉じこもる。

実際は、美姫が犯人ではなく、化粧品会社の同僚で○○さん、美人で男性社員からもちやほやされ殺された典子が憎らしかったのだ。その人間が嘘の情報を流して、自分が殺人を犯したことを他人になすりつけようとしたわけ。

犯人と実名で報道されてしまった、美姫のこれからの人生は、暗い闇の中での生涯となる。子供時代に「赤毛のアン」の小説が好きで、自分をアンに仕立て、仲のいい貫地谷しほりをダイアナと呼び、家も対岸にあるためローソクの火でモールス信号のように、自分の気持ちを伝えるシーンも好きです。
真実はなんだろう!・・・って言うことを判断する能力が非常に低下してると思います。それこそ、SNSの嘘の情報が本当になってしまったりとか。非常に一方通行で、とても危険な時代になりましたね。
殆どのひとたちは、たぶんそう思わない。これが当然だと思っている。知らない人が、知らない人に文句言ったり、炎上したりだとか、実にめちゃくちゃだと思います。私はツイッターはしてませんが、怖いですよね、勝手に好きなことをつぶやいて、それが相手を傷つけることもあるのですから。
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