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LOOPER/ルーパー ★★★

未来から転送されてくるターゲットを始末する殺し屋のジョーの前に、30年後の自分自身が送られてきたことから始まるスリリングなSFアクション。失敗の許されない殺し屋が未来の自分を前にしたときに躊躇ってしまった隙をついて、未来から来たジョーはある目的を遂げるため逃走する……。現在のジョーを「ダークナイト ライジング」「インセプション」のジョセフ・ゴードン=レヴィット、30年後の未来から来たジョーを「RED/レッド」「ダイ・ハード」のブルース・ウィリスが演じる。他、「プラダを着た悪魔」のエミリー・ブラントが出演。監督・脚本は「ブリック」でもジョセフ・ゴードン=レヴィットと組んだライアン・ジョンソン。(作品資料より)
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<感想>タイムトラベルSFという使い古されたジャンルを、ハードボイルドと掛け合わせた、これまたオリジナリティ溢れる作品である。未来の自分を殺さねば今の自分が殺される。さて主人公はどうする?・・・未来の彼はどう決着をつける?・・・っていう発想は面白いよね。ルーパーが指定された時間に、いつもの場所でライフルを構える。
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すると頭に布袋を被されたターゲットが突然現れて、ドーンと撃ち殺す。ここまでは「ブレードランナー」の如き“人間狩り”のSFノワールを意識したチェイサーの爽快さ。尚且つ、自分に殺されるまでは死なないはずの若き主人公と、過去の自分がどうするか判ってて目的遂行を目指す老主人公との、知的な興味をくすぐる丁々発止の展開。これに自分を追う組織からの逃走戦を交え、まずはこの頭脳戦めまぐるしい追跡戦を、すこぶるドライな映像でハイテンポに進んでいくのだが。
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そうなんです、この作品はタイムトラベルの“知の感性”で観客を引き込み、未来スリラーの映像やカッティングを楽しませる“体感“の映画だったのですね。タイムマシンの造形なんて見たことないくらい地味なのである。本当は時間軸のことなんて判ってないのかも。今の自分と未来の自分がカフェで会話するシーンがあるんですけど、「タイムトラベルのこと聞かせてくれ」とジョゼフが聞く、するとウィリスが「タイムトラベルの話は断る。複雑すぎる。どうでもいい」という台詞に腹が立つ。
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もしも私だったら、未来の自分が現れたら殺さないと思う。この主人公も一瞬ためらった時に、30年後の自分に逃げられてしまうわけ。そうして徐々に、この自分VS自分の闘いをもたらした要因は何だったのか?、誰だったのか?・・・と犯人探しに移行していく。その時にはもう時間旅行など二の次になっているという。
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それにラストが気にいらない。未来の自分が奥さんを殺したレインメーカーを殺しに行くのですが、それを見た今の自分(ジョー)が、老ウィリスがレインメーカーの母親を殺すと想像すると、レインメーカーは逃げて憎しみを秘めながら大人になる。そして、ルーパーの組織を壊滅させて、最後はウィリスの奥さんを殺すわけ。そう、想像した瞬間、若いジョーは自殺という自己犠牲なんですね。
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「憎しみの連鎖を断ち切る」なんてカッコいいこと言って、レインメーカーを殺さないと、未来の自分も殺さないと、今の自分は生きていたいだろうに。気持ち悪いよこんな終わり方って。確かにウィリスは自分の愛する妻を殺された復讐で、過去に戻ってレインメーカーを殺すためにきたのだから。人違いで、関係ない母親と子供をバンバン殺すし。例え今は子供でも、いくらまともに育てるとサラが言っても、エスパーの子供なんだから将来は分からないよ。
それがこの映画の身上だと納得したならば、もう実のところ時間テーマに沿って描く事件の結末に感嘆するしかあるまい。「ターミネーター」のごとくアクション・スリラーと見せかけた映画を、もう一度ひっくり返して、やっぱり時間テーマのSFだったと思い知らせてくれた。
2013年劇場鑑賞作品・・・4  Image may be NSFW.
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