繁華街で起きたテロ・警官誘拐事件をきっかけに、香港警察内部の昇進をめぐる争いや陰謀渦巻く汚職の実態が明らかになっていくサスペンスアクション。予測不能のドラマが展開する本作は、香港でヒットし、第32回香港電影金像奨の主要9部門での受賞を果たした。レオン・カーフェイとアーロン・クォックを主演に、名優アンディ・ラウをはじめ、アーリフ・リー、ラム・カートンなど、ベテランから若手まで多彩な演者がそろう。
<感想>昨年10月に公開になり地方では上映されないと諦めかけていた。遅まきながら1月末に上映された。香港映画に新たな潮流があるのを如実に感じる1本。スタイリッシュとテンポの良さがウリの、韓国版とは一味もふた味も違う、これぞ香港警察物の醍醐味である。
物語は、香港で有名な繁華街モンコックで未明に起きた市街地爆破事件。時を同じく別の場所では暴走者を追跡していた5人の警官が車両ごと行方不明になる。あまりのタイミングに2つの事件に関連性を感じた当局は、現場たたき上げで顔面も含めイケイケ副長官であるリーは、海外出張中の警察長官の代理として全指揮権を掌握。
ところが、警察官が巨額の資金を投じた最新のシステムや、まったく機能しないGPSに疑問を感じ、内通者の存在が疑われる。それどころか消えた5人の警官の1人は、なんとリーの一人息子であるジョーが含まれていることも判明。
リーはこの事件をテロ認定し、レベル2の非常事態宣言を発令、香港警察の威信にかけて勤務時間延長し、休みを返上などなど、超絶ブラックな体制敷き、「コールド・ウォー(寒戦)」と名付けた作戦を遂行するのであった。
香港警察行動班副長官リーにはレオン・カーフェイと、その息子ジョーにはエディ・ポンが、そしてリーと次期長官の座を争う保安管理班副長官ラウには、アーロン・クォックが、部署が違うこの2人が引くぐらい揉めますから。
流れが、中小零細企業ばりの独裁と私情まみれのこの作戦に、労働基準局の如くもう一人の副長官ラウが異議を唱えます。泥にまみれて現在の地位を獲得した現場主義のリーに対して、エリート育ちで、冷静な判断力と分析力だけでなく、昔の床屋のポスターのような端正なリーゼント髪形で、イケメンの若きラウことアーロン・クォック。
時期長官と噂されるこの2人の対立を、圧倒的演技と緻密な構成で表現しグッと観客を引き込むんですよ。
ところがこの段階ではまだまだ物語は前半部分で、ここから数々のトリックや裏切り、渦巻く陰謀、その中で死んでいく同僚たち、いったい誰がこの事件の首謀者なのか?・・・。最後まで読めない展開にのめり込んで行き、あっという間に過ぎて行く102分。
まず何よりも、下手なギャグや無駄口が一切ないのがいいですよね。テロ誘拐事件に警察内部の暗闇を絡ませ、二転三転するトリッキーでスリリングなドラマに魅了されます。
血相を変えた男がBMWをドリフトさせつつ、高速道路を飛ばし、ハンドルを切り損ねて激突すると、車が前後まっぷたつにパカっと割れてしまい大破する。
カーチェイスから銃撃戦、過剰なサービスを盛り込んだ特殊部隊VSテロリストのド派手なドンパチなど、アクションもかなりの力のいれよう。それに、サスペンスパートでは、身代金輸送時のテロの狡猾さには、思わず生唾を飲むくらいの恐怖が。
そんな具合に画面のはしばしからサービス精神が噴出しつづける怒涛の刑事映画になっている。きっちり、カーアクションやド派手な爆破シーンも見せつつ、大部分は裏工作や汚職疑惑をめぐるディベート劇である。意外なほど会話シーンが多く、その内容も誰を口説いて味方につけるかの人心把握術や、職務の遂行を描いた大人のドラマになっている。だから、全篇を通して、愛だの恋だのと甘い恋愛劇はありませんから。
しかし、緩急の緩がゼロなので、その強引なほどの急展開のおかげで、辻褄の合わないツッコミどころがいくつか発生するのだが、そこは観客へのサービスが満載ということで目をつぶっておこうではないか。
特別出演として、話の分かる偉い人としてアンディ・ラウが顔をだしています。
犯人はすぐに分かるが、近年の香港映画で経済クライムサスペンスなどが増えた、質の安定を感じる作品になっていると思う。それに、カッコ良すぎるのが、叩きあげの副部長を演じたレオン・カーフェイの、頭を剃った怪優ぶりと情感も秀逸ですね。
今更ながら、香港の夜景の空撮は息を飲むほどに美しい。だいぶ前になるが、香港に旅行した時に見た、ヴィクトリア・ピークの夜景の美しさを想いだしました。
2014年劇場鑑賞作品・・・31 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
<感想>昨年10月に公開になり地方では上映されないと諦めかけていた。遅まきながら1月末に上映された。香港映画に新たな潮流があるのを如実に感じる1本。スタイリッシュとテンポの良さがウリの、韓国版とは一味もふた味も違う、これぞ香港警察物の醍醐味である。
物語は、香港で有名な繁華街モンコックで未明に起きた市街地爆破事件。時を同じく別の場所では暴走者を追跡していた5人の警官が車両ごと行方不明になる。あまりのタイミングに2つの事件に関連性を感じた当局は、現場たたき上げで顔面も含めイケイケ副長官であるリーは、海外出張中の警察長官の代理として全指揮権を掌握。
ところが、警察官が巨額の資金を投じた最新のシステムや、まったく機能しないGPSに疑問を感じ、内通者の存在が疑われる。それどころか消えた5人の警官の1人は、なんとリーの一人息子であるジョーが含まれていることも判明。
リーはこの事件をテロ認定し、レベル2の非常事態宣言を発令、香港警察の威信にかけて勤務時間延長し、休みを返上などなど、超絶ブラックな体制敷き、「コールド・ウォー(寒戦)」と名付けた作戦を遂行するのであった。
香港警察行動班副長官リーにはレオン・カーフェイと、その息子ジョーにはエディ・ポンが、そしてリーと次期長官の座を争う保安管理班副長官ラウには、アーロン・クォックが、部署が違うこの2人が引くぐらい揉めますから。
流れが、中小零細企業ばりの独裁と私情まみれのこの作戦に、労働基準局の如くもう一人の副長官ラウが異議を唱えます。泥にまみれて現在の地位を獲得した現場主義のリーに対して、エリート育ちで、冷静な判断力と分析力だけでなく、昔の床屋のポスターのような端正なリーゼント髪形で、イケメンの若きラウことアーロン・クォック。
時期長官と噂されるこの2人の対立を、圧倒的演技と緻密な構成で表現しグッと観客を引き込むんですよ。
ところがこの段階ではまだまだ物語は前半部分で、ここから数々のトリックや裏切り、渦巻く陰謀、その中で死んでいく同僚たち、いったい誰がこの事件の首謀者なのか?・・・。最後まで読めない展開にのめり込んで行き、あっという間に過ぎて行く102分。
まず何よりも、下手なギャグや無駄口が一切ないのがいいですよね。テロ誘拐事件に警察内部の暗闇を絡ませ、二転三転するトリッキーでスリリングなドラマに魅了されます。
血相を変えた男がBMWをドリフトさせつつ、高速道路を飛ばし、ハンドルを切り損ねて激突すると、車が前後まっぷたつにパカっと割れてしまい大破する。
カーチェイスから銃撃戦、過剰なサービスを盛り込んだ特殊部隊VSテロリストのド派手なドンパチなど、アクションもかなりの力のいれよう。それに、サスペンスパートでは、身代金輸送時のテロの狡猾さには、思わず生唾を飲むくらいの恐怖が。
そんな具合に画面のはしばしからサービス精神が噴出しつづける怒涛の刑事映画になっている。きっちり、カーアクションやド派手な爆破シーンも見せつつ、大部分は裏工作や汚職疑惑をめぐるディベート劇である。意外なほど会話シーンが多く、その内容も誰を口説いて味方につけるかの人心把握術や、職務の遂行を描いた大人のドラマになっている。だから、全篇を通して、愛だの恋だのと甘い恋愛劇はありませんから。
しかし、緩急の緩がゼロなので、その強引なほどの急展開のおかげで、辻褄の合わないツッコミどころがいくつか発生するのだが、そこは観客へのサービスが満載ということで目をつぶっておこうではないか。
特別出演として、話の分かる偉い人としてアンディ・ラウが顔をだしています。
犯人はすぐに分かるが、近年の香港映画で経済クライムサスペンスなどが増えた、質の安定を感じる作品になっていると思う。それに、カッコ良すぎるのが、叩きあげの副部長を演じたレオン・カーフェイの、頭を剃った怪優ぶりと情感も秀逸ですね。
今更ながら、香港の夜景の空撮は息を飲むほどに美しい。だいぶ前になるが、香港に旅行した時に見た、ヴィクトリア・ピークの夜景の美しさを想いだしました。
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