アイザック・マリオンの小説「ウォーム・ボディーズ ゾンビRの物語」を実写化した、異色のゾンビ作。ゾンビと人類が対峙(たいじ)する近未来を舞台に、人間の女性に心惹(ひ)かれてしまったゾンビ青年の恋の行方を追い掛けていく。主人公の恋するゾンビを、『シングルマン』『ジャックと天空の巨人』のニコラス・ホルトが好演する。メガホンを取るのは、『50/50 フィフティ・フィフティ』で注目を浴びたジョナサン・レヴィン。奇想天外な設定とコミカルな展開もさることながら、随所にちりばめられたゴア描写も見応えあり。
あらすじ:ゾンビと人類が戦いを繰り広げる近未来。ゾンビのR(ニコラス・ホルト)は、仲間と一緒に食糧である生きた人間を探しに街へと繰り出す。人間の一団と激闘する中、彼は自分にショットガンを向けた美少女ジュリー(テリーサ・パーマー)に心を奪われてしまう。ほかのゾンビに襲われる彼女を救い出し、自分たちの居住区へと連れ帰るR。彼の好意をかたくなにはねつけていたジュリーだったが、徐々にその純粋さと優しさに気付き出す。ついに思いを寄せ合うようになった二人は、ゾンビと人類の壁を打ち壊そうとするが……。
<感想>太陽を浴びても死なないヴァンパイアが、普通の人間の女の子に恋をする有名な「トワイライト」シリーズの著者ステファニー・メイヤーが絶賛したというアイザック・マリオンの同名小説が原作で、よくあるゾンビ映画とは少し違う。
完全にゾンビになる前の未完成のゾンビのようで、不気味にヨタヨタと歩くが、少しは人間らしい気持ちを持っている。死か生か、結果は半々の病魔に侵された青年が主人公で、ゾンビ仲間を信頼する気持ちもあるし、可愛い女の子を見れば好きになって恋もする。
何と言えばいいのか、主人公のゾンビはただ動き回って人間を喰らう死体ではなくて、人間らしさをいくらか残しているのだ。顔色は悪いし、腐敗臭はするし、ご馳走といえば人間だし。その上死後硬直のせいで体の動きが鈍く言葉も上手く喋れないとマイナス要因だらけ。
なのに、男子ゾンビが人間の女の子を好きになるという、ゾンビ映画の青春篇。好きになると心臓がドキドキと鼓動し、気持ちが高まると体温が少し上昇して、このままその状態が続けば生き返られるって?・・・。そんな分け無いのに。
何だか新鮮で、主人公の男の子の名前がRで、女の子はジュリーっていうのは、もう、「ロミオとジュリエット」のような純愛ものですよね。
謎のウイルスの発生で街にはゾンビが溢れ、自分たちの居住区に立て籠もって戦時体制で暮らす普通の人間と、ゾンビになってあまり時間が経ってないらしいゾンビで思考能力もあり言葉も少し話せる。
そのゾンビが行き着くところまでいってしまうと、つまり飢えに耐えられず自分の肉体を喰った凶悪なゾンビ集団、ガイコツがいるという設定。人間が拳銃で撃っても直ぐには死なない、っていうか不死身状態。頭を撃つのがいい。それに、ゾンビ・ガイコツの素早いのなんの、走るのが速いのだ。
でも普通は、凶悪なガイコツがゾンビの設定だから、怖いばかりで愛想のないヤツラしか登場しない。ゾンビと名乗りを挙げてはいないが、最近では「ワールド・ウォーZ」や、「バイオハザード」に出て来るウイルス感染者もゾンビ仲間だから。愛想も愛嬌もなくて怖いばかりで感じが悪いったらない。
もっと悪いのが「ウォーキング・デッド」の歩き廻る死体、ウォーカー。これもゾンビでしかも狂暴。それに引き替え「ウォ−ム・ボディーズ」の主人公Rや親友のM「エンド・オブ・ザ・ワールド」に出ていたロブ・コードリーは生前の名前は忘れても、感情はかすかにある新型ゾンビで女性に好かれる“心”を持っているのが特徴。Rとジュリーが手を繋いでいるのを見て、いいなぁって顔をする。
Rと名乗ってはいるが、本当の名前は思い出せないし、家も家族も自分が何をしていたのかさえ忘れてしまった。Rが何の略なのか考えるのも観ている時の楽しみの一つになる。Rを演じているのが、『シングルマン』『ジャックと天空の巨人』の美青年ニコラス・ホルトなのだ。顔や手に白粉を塗って、目にはクマドリをしてゾンビメイクも様になっています。
ヒロインの彼女の名前がジュリーで、一人で人間の居住区へ帰ってしまい、Rが彼女を追い掛けて家まで行くシーンで、彼女が何度かバルコニーが出て来ては、強面の彼女の父親のマルコヴィッチが邪魔をする。と言えばかの有名な悲恋のカップルがモデルの、「ロミオとジュリエット」で、Rって名前にジュリーが付けたのだ。
何度かRに危ないところを救われたジュリーは、彼に対して感謝の気持ちがあっても初めは怖くて怯えていて、どこまで信じていいのか分からない状態だった。彼はジュリーの元彼ペリーを襲ってその脳みそを食べ、彼がしていたかっこいい腕時計をしていた。それでも、Rの居住している飛行機の中へ連れて行き、レコードをかけて彼女を慰め食料も調達してくれる。そして、彼女とドライブまでするのだ。でも、Rは運転を忘れてしまったようで、まるでダメ。
ゾンビが人間の脳を食べると、その人の記憶が追体験できるわけ。体だけ食べるとゾンビ化してしまうらしい。だからRの脳にはペリーの記憶が残って、ジュリーに恋をしてしまうのは当然のようだ。でも、ジュリーは親切にしてくれ、自分を他のゾンビやガイコツから守ってくれるRが頼りなのだ。
ここで、人間居住区には高い防護塀が巡らされており、門の前には武装した兵隊が守っている。ジュリーの父親グリジオ大佐が、軍を組織してゾンビ退治の先頭に立つわけだから、ゾンビの危険は重々承知で、それに妻をゾンビに殺された彼は娘を守ろうと躍起となっている。だが、彼にはまだ人間の近くにいるゾンビと、ガイコツと呼ばれる殺人鬼のような狂暴なゾンビがいて、相手かまわず襲い掛かってくることなど知る由もない。だから、ゾンビは当然のごとく危険だと、娘がゾンビと親しくするなんて許せないし、娘もその気持ちは知っている。
というような青春映画とゾンビものを合体させた本作は、ホラー+ラブコメの要素を持ち、不気味に造形されたCGガイコツを使って恐怖を煽りながら、そこは青春ラブロマンスものだから、ジュリーの元彼ペリーも登場させて、ジュリーが元彼を考えるうちにRの良さも見えてくるという、でも恋人がゾンビってなんてことありうるのか?・・・。で、ラストでは、CGガイコツが人間の居住区に襲ってくるというシーン。どうなるのかって、それは「ラブロマンス・ゾンビ映画」だから、二人が手を繋いで歩いたり、キスをする二人にRの胸の鼓動がドキドキと動いて、ゾンビが元の人間に戻るってことなのね。
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あらすじ:ゾンビと人類が戦いを繰り広げる近未来。ゾンビのR(ニコラス・ホルト)は、仲間と一緒に食糧である生きた人間を探しに街へと繰り出す。人間の一団と激闘する中、彼は自分にショットガンを向けた美少女ジュリー(テリーサ・パーマー)に心を奪われてしまう。ほかのゾンビに襲われる彼女を救い出し、自分たちの居住区へと連れ帰るR。彼の好意をかたくなにはねつけていたジュリーだったが、徐々にその純粋さと優しさに気付き出す。ついに思いを寄せ合うようになった二人は、ゾンビと人類の壁を打ち壊そうとするが……。
<感想>太陽を浴びても死なないヴァンパイアが、普通の人間の女の子に恋をする有名な「トワイライト」シリーズの著者ステファニー・メイヤーが絶賛したというアイザック・マリオンの同名小説が原作で、よくあるゾンビ映画とは少し違う。
完全にゾンビになる前の未完成のゾンビのようで、不気味にヨタヨタと歩くが、少しは人間らしい気持ちを持っている。死か生か、結果は半々の病魔に侵された青年が主人公で、ゾンビ仲間を信頼する気持ちもあるし、可愛い女の子を見れば好きになって恋もする。
何と言えばいいのか、主人公のゾンビはただ動き回って人間を喰らう死体ではなくて、人間らしさをいくらか残しているのだ。顔色は悪いし、腐敗臭はするし、ご馳走といえば人間だし。その上死後硬直のせいで体の動きが鈍く言葉も上手く喋れないとマイナス要因だらけ。
なのに、男子ゾンビが人間の女の子を好きになるという、ゾンビ映画の青春篇。好きになると心臓がドキドキと鼓動し、気持ちが高まると体温が少し上昇して、このままその状態が続けば生き返られるって?・・・。そんな分け無いのに。
何だか新鮮で、主人公の男の子の名前がRで、女の子はジュリーっていうのは、もう、「ロミオとジュリエット」のような純愛ものですよね。
謎のウイルスの発生で街にはゾンビが溢れ、自分たちの居住区に立て籠もって戦時体制で暮らす普通の人間と、ゾンビになってあまり時間が経ってないらしいゾンビで思考能力もあり言葉も少し話せる。
そのゾンビが行き着くところまでいってしまうと、つまり飢えに耐えられず自分の肉体を喰った凶悪なゾンビ集団、ガイコツがいるという設定。人間が拳銃で撃っても直ぐには死なない、っていうか不死身状態。頭を撃つのがいい。それに、ゾンビ・ガイコツの素早いのなんの、走るのが速いのだ。
でも普通は、凶悪なガイコツがゾンビの設定だから、怖いばかりで愛想のないヤツラしか登場しない。ゾンビと名乗りを挙げてはいないが、最近では「ワールド・ウォーZ」や、「バイオハザード」に出て来るウイルス感染者もゾンビ仲間だから。愛想も愛嬌もなくて怖いばかりで感じが悪いったらない。
もっと悪いのが「ウォーキング・デッド」の歩き廻る死体、ウォーカー。これもゾンビでしかも狂暴。それに引き替え「ウォ−ム・ボディーズ」の主人公Rや親友のM「エンド・オブ・ザ・ワールド」に出ていたロブ・コードリーは生前の名前は忘れても、感情はかすかにある新型ゾンビで女性に好かれる“心”を持っているのが特徴。Rとジュリーが手を繋いでいるのを見て、いいなぁって顔をする。
Rと名乗ってはいるが、本当の名前は思い出せないし、家も家族も自分が何をしていたのかさえ忘れてしまった。Rが何の略なのか考えるのも観ている時の楽しみの一つになる。Rを演じているのが、『シングルマン』『ジャックと天空の巨人』の美青年ニコラス・ホルトなのだ。顔や手に白粉を塗って、目にはクマドリをしてゾンビメイクも様になっています。
ヒロインの彼女の名前がジュリーで、一人で人間の居住区へ帰ってしまい、Rが彼女を追い掛けて家まで行くシーンで、彼女が何度かバルコニーが出て来ては、強面の彼女の父親のマルコヴィッチが邪魔をする。と言えばかの有名な悲恋のカップルがモデルの、「ロミオとジュリエット」で、Rって名前にジュリーが付けたのだ。
何度かRに危ないところを救われたジュリーは、彼に対して感謝の気持ちがあっても初めは怖くて怯えていて、どこまで信じていいのか分からない状態だった。彼はジュリーの元彼ペリーを襲ってその脳みそを食べ、彼がしていたかっこいい腕時計をしていた。それでも、Rの居住している飛行機の中へ連れて行き、レコードをかけて彼女を慰め食料も調達してくれる。そして、彼女とドライブまでするのだ。でも、Rは運転を忘れてしまったようで、まるでダメ。
ゾンビが人間の脳を食べると、その人の記憶が追体験できるわけ。体だけ食べるとゾンビ化してしまうらしい。だからRの脳にはペリーの記憶が残って、ジュリーに恋をしてしまうのは当然のようだ。でも、ジュリーは親切にしてくれ、自分を他のゾンビやガイコツから守ってくれるRが頼りなのだ。
ここで、人間居住区には高い防護塀が巡らされており、門の前には武装した兵隊が守っている。ジュリーの父親グリジオ大佐が、軍を組織してゾンビ退治の先頭に立つわけだから、ゾンビの危険は重々承知で、それに妻をゾンビに殺された彼は娘を守ろうと躍起となっている。だが、彼にはまだ人間の近くにいるゾンビと、ガイコツと呼ばれる殺人鬼のような狂暴なゾンビがいて、相手かまわず襲い掛かってくることなど知る由もない。だから、ゾンビは当然のごとく危険だと、娘がゾンビと親しくするなんて許せないし、娘もその気持ちは知っている。
というような青春映画とゾンビものを合体させた本作は、ホラー+ラブコメの要素を持ち、不気味に造形されたCGガイコツを使って恐怖を煽りながら、そこは青春ラブロマンスものだから、ジュリーの元彼ペリーも登場させて、ジュリーが元彼を考えるうちにRの良さも見えてくるという、でも恋人がゾンビってなんてことありうるのか?・・・。で、ラストでは、CGガイコツが人間の居住区に襲ってくるというシーン。どうなるのかって、それは「ラブロマンス・ゾンビ映画」だから、二人が手を繋いで歩いたり、キスをする二人にRの胸の鼓動がドキドキと動いて、ゾンビが元の人間に戻るってことなのね。
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