ヒップホップ・アーティストRZAが、クエンティン・タランティーノのバックアップを得て初監督を務めた異色カンフー・アクション。19世紀の中国を舞台に、名もなき男が抗争に巻き込まれていくさまを壮絶なバイオレンス描写満載で描く。脚本には、『ホステル』シリーズのイーライ・ロスが参加。主演のRZAと『アメリカン・ギャングスター』で共演したラッセル・クロウ、『キル・ビル』のルーシー・リューら豪華キャストが顔をそろえる。
あらすじ:数多くの部族が抗争に明け暮れる19世紀中国のジャングル・ヴィレッジで、後継者問題から族長が暗殺されたことを発端にライオン族の内部紛争が勃発。それは部族内にとどまらず他部族も巻き込んだ巨大抗争へと発展してしまう。争いの絶えない街の中で唯一平和だった娼館ピンク・ブロッサムでも、ついにし烈な戦いが巻き起こり……。
<感想>未だアメリカには、かつての少林寺シリーズや武侠ものなど、日本人にはおよびもつかないほどカンフー好きがいるようだ。これはそんなオタクが作った荒唐無稽、奇々怪々、驚天動地、空前絶後、など四文字熟語をたくさん並べたが、主人公にヘビーなハンディキャップを背負わせる設定が面白いし、その主演のブラック・スミス役をもちろんRZAが自ら演じている。今まで誰も観たことのないカンフー映画になっている。
オープニングのカン・リーの素敵なアクションに、武闘派集団、ライオン族の首領金獅子を演じるのは、RZA憧れのショウ・ブラザーズ映画スターであるチェン・カンタイとレオン・カーヤンのバトルシーン。そして、多くのジェット・リー主演作で監督・武術指導を務めたコーリー・ユンを起用。ロケ・スタジオ撮影も本場中国、上海や浙江省で行う徹底ぶりである。
主人公のブラック・スミスは、常に自由を追い求めている男だが、中々自由になれないでいる。アメリカ時代は奴隷として虐げられ、中国に流れ着いてからは、鍛冶屋になるが人を殺すための武器を作らされ、その挙句、両腕を切断された主人公が鋼鉄の義手を装着して復讐に挑む。
そして、ゴードン・リューがブラック・スミスの師匠役で出演。RZAが少年時代からの憧れの「少林寺三十六房」を観て、それが、脚本にないのに、どうしてもゴードン・リューに出て欲しくて、ブラック・スミスが寺院でゴードン演じる僧侶と逢うシーンを作ったそうです。それだけ、大好きな俳優さんだったので夢が叶ったわけですね。
その後、全身に武器を内蔵したバトルスーツを装着したリック・ユーンにプロレスラーのデビッド・バウディスタが演じるのは、最強の敵ブラスト・ボディ。全身をブロンズに変えてしまう秘技のオーナー。しかも、映像の美しさやアクションシーンの見事さは香港作品以上で、SMと拷問シーンもありの残虐描写が満載で、さすがタランティーノの全面サポートを受けたクンフーアクション映画と納得。
「キル・ビル」の青葉屋。またはショウ・ブラザーズの古い装い姿の格闘シーンを、ザック・スナイダー風映像加工で煮詰めて、フランク・ミラーぽいが、中身のない主人公の独り言を混ぜた作品になっているのが残念。
そういうビジュアルだけ観ていたい人向けで、物語はない。本当に話のなさはびっくりするレベルで、「アメリカン・ギャングスター」で共演以来、友達になったラッセル・クロウも出演している。
まぁ、その他、ルーシー・リュー、リュー・チャーフィー、パム・グリアが出ているので、思わず観るひともいるだろうが、懐かしのキン・フー映画や、「片腕カンフー対空とぶギロチン」などを思わせる、SFX仕掛け満載の会心作である。
人類滅亡後、たまたま宇宙人が1本だけ残された映画を発見する。そんなことがありうるとして、その1本がこれだったらなんて痛快だろう。面白さだけを純粋に追及したらこうなるという世界。面白いこと以外起きないという世界。美女ばっかり、カンフー映画がこれまで蓄積してきた豊かなムーヴの中の最良のものを選りすぐり、自分で作った楽曲と一緒に再構成する。
その無上の幸福感たるや、私はとくに双飛夫妻のところが好きだった。カンフーを無効化する吹き矢の罪を軸とした物語構造も完璧の出来だと思う。
2013年劇場鑑賞作品・・・270 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:数多くの部族が抗争に明け暮れる19世紀中国のジャングル・ヴィレッジで、後継者問題から族長が暗殺されたことを発端にライオン族の内部紛争が勃発。それは部族内にとどまらず他部族も巻き込んだ巨大抗争へと発展してしまう。争いの絶えない街の中で唯一平和だった娼館ピンク・ブロッサムでも、ついにし烈な戦いが巻き起こり……。
<感想>未だアメリカには、かつての少林寺シリーズや武侠ものなど、日本人にはおよびもつかないほどカンフー好きがいるようだ。これはそんなオタクが作った荒唐無稽、奇々怪々、驚天動地、空前絶後、など四文字熟語をたくさん並べたが、主人公にヘビーなハンディキャップを背負わせる設定が面白いし、その主演のブラック・スミス役をもちろんRZAが自ら演じている。今まで誰も観たことのないカンフー映画になっている。
オープニングのカン・リーの素敵なアクションに、武闘派集団、ライオン族の首領金獅子を演じるのは、RZA憧れのショウ・ブラザーズ映画スターであるチェン・カンタイとレオン・カーヤンのバトルシーン。そして、多くのジェット・リー主演作で監督・武術指導を務めたコーリー・ユンを起用。ロケ・スタジオ撮影も本場中国、上海や浙江省で行う徹底ぶりである。
主人公のブラック・スミスは、常に自由を追い求めている男だが、中々自由になれないでいる。アメリカ時代は奴隷として虐げられ、中国に流れ着いてからは、鍛冶屋になるが人を殺すための武器を作らされ、その挙句、両腕を切断された主人公が鋼鉄の義手を装着して復讐に挑む。
そして、ゴードン・リューがブラック・スミスの師匠役で出演。RZAが少年時代からの憧れの「少林寺三十六房」を観て、それが、脚本にないのに、どうしてもゴードン・リューに出て欲しくて、ブラック・スミスが寺院でゴードン演じる僧侶と逢うシーンを作ったそうです。それだけ、大好きな俳優さんだったので夢が叶ったわけですね。
その後、全身に武器を内蔵したバトルスーツを装着したリック・ユーンにプロレスラーのデビッド・バウディスタが演じるのは、最強の敵ブラスト・ボディ。全身をブロンズに変えてしまう秘技のオーナー。しかも、映像の美しさやアクションシーンの見事さは香港作品以上で、SMと拷問シーンもありの残虐描写が満載で、さすがタランティーノの全面サポートを受けたクンフーアクション映画と納得。
「キル・ビル」の青葉屋。またはショウ・ブラザーズの古い装い姿の格闘シーンを、ザック・スナイダー風映像加工で煮詰めて、フランク・ミラーぽいが、中身のない主人公の独り言を混ぜた作品になっているのが残念。
そういうビジュアルだけ観ていたい人向けで、物語はない。本当に話のなさはびっくりするレベルで、「アメリカン・ギャングスター」で共演以来、友達になったラッセル・クロウも出演している。
まぁ、その他、ルーシー・リュー、リュー・チャーフィー、パム・グリアが出ているので、思わず観るひともいるだろうが、懐かしのキン・フー映画や、「片腕カンフー対空とぶギロチン」などを思わせる、SFX仕掛け満載の会心作である。
人類滅亡後、たまたま宇宙人が1本だけ残された映画を発見する。そんなことがありうるとして、その1本がこれだったらなんて痛快だろう。面白さだけを純粋に追及したらこうなるという世界。面白いこと以外起きないという世界。美女ばっかり、カンフー映画がこれまで蓄積してきた豊かなムーヴの中の最良のものを選りすぐり、自分で作った楽曲と一緒に再構成する。
その無上の幸福感たるや、私はとくに双飛夫妻のところが好きだった。カンフーを無効化する吹き矢の罪を軸とした物語構造も完璧の出来だと思う。
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