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ハウス・オブ・グッチ★★★★

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巨匠リドリー・スコット監督が、ファッションブランド「GUCCI(グッチ)」の創業者一族の崩壊を描いたサスペンスドラマ。サラ・ゲイ・フォーデンのノンフィクション小説「ハウス・オブ・グッチ」を原作に、グッチ一族の確執と3代目社長マウリツィオ・グッチ暗殺事件を描き出す。

あらすじ:1995年3月27日、GUCCI創業者グッチオ・グッチの孫にあたる3代目社長マウリツィオが、ミラノの街で銃弾に倒れた。犯人の特定が難航する中、犯行を指示した驚きの黒幕が明かされる。マウリツィオの妻で、グッチ家の崩壊を招くパトリツィア・レッジャーニを「アリー スター誕生」のレディー・ガガ、夫マウリツィオ・グッチを「マリッジ・ストーリー」のアダム・ ドライバーが演じ、アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジャレッド・レトが共演。

<感想>物語は、華麗なるGUCCI一族の崩壊までを描いた愛、裏切り、退廃、復讐、殺人のスキャンダル。世界中の人々が憧れる美と富の証、グッチ。1921年、創業者グッチオ・グッチ(ジェレミー・アイアンズ)が、イタリアに創業して以来、最強のブランドとしてファッション界に君臨してきたこの一族には、かつて世間を驚愕させる大スキャンダルが起きていた。

創業者のグッチオにジェレミー・アイアンズが演じていたが、過去の栄光に浸り、一人息子を溺愛し、嫁のパトリツィア(レディー・ガガ)トラック業の父親との結婚に世間体が悪いと、大反対するも、息子のマウリツィオ(アダム・ドライヴァー)が一目惚れし、結婚をしてしまう。父親の遺産を継ぐも商才はなく、娘一人を産んだ妻とも仲たがいをする始末。そして、幼馴染のパオラと浮気をして、そのまま愛人関係になる。

一族の稼業にパトリツィアが口を出すことで、二人の関係はすれ違う。主人公は嫁のパトリツィアを演じたレディー・ガガ。納得の好演で役に成りきり、大正解であった。パトリツィアが自分も家業に口出しする権利があると感じたことで、夫婦の間に亀裂が入り、自滅に拍車がっかったと思う。叔父のアル・パチーノが、パトリツィアを気に入り、ニューヨークの店に呼び寄せる。

夫役のマウリツィオにはアダム・ドライヴァーが、「最後の決闘裁判」で、スコット監督と組み、どうも気に入られてしまったような。アダムの容姿と背が高くて、上品な感じがぴったり。大学を出て家業を継ぐきはなく、弁護士の仕事をしたいと言う。

グッチを世界的なブランドに飛躍させたアルド・グッチ役のアル・パチーノはハマリ役でした。その息子のジャレッド・レトは、素顔をメイクによって完璧に封印して、頭をハゲ鬘で、体もデブ親父と、デザイナーの才能があると思い込み、家族の足を引っ張る役に。

経済も流行もファッションも、すべてが激しく変動する時代の流れの中で、頑なに一族の絆にしがみついたグッチ家の、人々。その姿は時には哀しく、時には可笑しい。ともすれば稀代の悪女ものとしても描ける物語を、もっと幅を広げて、一族のドラマ、一つの時代の終焉にしたところはさすがのスコットにある。監督の辛辣な視点が、大きくものを言った見応えのある、人間ドラマになっているのだ。

驚いたのは、ラストの離婚調停中の妻が、格式や血筋とは無縁のパトリツィアが、離婚することに腹を立てて、殺し屋を雇い夫のマウリツィオを殺害してしまうことです。妻が夫をまだ愛しているような、だから愛人と一緒に住む夫を許せない。グッチの経営に口を挟もうとしては「君はグッチじゃない」と疎外され続けたパトリツィアの愛が、憎しみへと変わっていくさまを演じたレディー・ガガが、実にぴったりのハマリ役でした。

原作はグッチ家の光と影を描いたサラ・ゲイ・フォーデン著の、同名ノンフィクション小説。グッチ家80年の栄枯盛哀を描く原作の中から、最大のスキャンダル「3代目当主暗殺事件」に焦点を当てて、後に「黒い未亡人=ブラック・ウィドウ」と呼ばれえる妻のパトリツィアが、最初っから財産目当てで、大富豪のお坊ちゃんを手玉に取り、最後は離婚をしたので、自分の子供に残される財産を独り占めにしたいと考え、再婚相手の妻が子供を産む前に、元夫を殺して全財産を自分のものにしようと、パトリツィアが企んだ末の犯行に至るまでの、真相を解き明かしてゆく。何とも浅ましい限りの大馬鹿な、浅はかな、女の結末なり。

 

 

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