ドン・ウィンズロウ原作のベストセラー小説を、『プラトーン』などでオスカーを受賞したオリヴァー・ストーン監督が映画化。平和に暮らす3人の男女が、巨大麻薬組織相手にとんでもない戦いを仕掛けるさまを生き生きと描く。主演はテイラー・キッチュ、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブレイク・ライヴリーら注目の俳優たち。そのほかオスカー俳優のベニチオ・デル・トロら濃い役者総出で見せる驚がくのエンディングに絶句。
あらすじ:平和主義者のベン(アーロン・テイラー=ジョンソン)と元傭兵(ようへい)のチョン(テイラー・キッチュ)は親友同士。彼らはカリフォルニア州ラグーナ・ビーチを拠点に大麻栽培のベンチャー起業で大成功を収め、二人の共通の恋人オフィーリア(ブレイク・ライヴリー)と3人で生活している。だが、ある日、彼女がメキシコの麻薬組織に拉致され……。
<感想>カリフォルニアの高級リゾート地の邸宅で暮らす、イケメンふたりと美女“O”(オフィーリア)。イケメンの一人は真面目で名門バークレー大学で、植物学を学んだインテリが、マリファナ栽培するベン。演じているのは「キック・アス」のヘタレ君でおなじみのアーロン・ジョンソン。
もう一人は悪の匂い漂う元傭兵のチョン。違法なマリファナで商売しているギャングたちともめる、トラブルを暴力で解決してくれるのが、アフガン帰りの演じるのは「バトルシップ」のテイラー・キッチュ。この文武コンビが手を組んでバリバリ稼ぐわけ。
そして、二人は親友で金持ちの娘の“O”は二人にとっては最愛の恋人なのだ。過剰に干渉し合わず、奪い合いや嫉妬とも無縁に楽しく暮らす彼らは「私たちルームシェアで〜す」などと、複数の男女で時には性的な関係にもなりながら、基本的には仲良く無邪気に生活している。この3人は高級大麻の栽培(自宅の裏に広い大麻栽培工場を持っている)で得た富で暮らしているのだが、そのビジネスはちゃんとライセンスを取っている店に卸すからクリーンな商売なんだけど。しかも収入でアフリカの支援を行うなど「CSRを大切にするIT企業ですか」と言いたくなる。腐敗や堕落、ドロドロとは無縁。これが現代のヒッピー生活なのだろうか。
しかし、いつまでも学生気分の彼らに、メキシコの大手麻薬カルテルが接近してくる。それまでカリフォルニアのマリファナを供給していたメキシコ系のマファア。女ボスを演じるのは、サルマ・ハエック。エリカ様みたいなおかっぱ頭のズラ被って、化粧もキツイよね。で、サルマはアーロン&キッチュのコンビに「上納金をよこせ」ってプレッシャーをかけてくる。ところが、キッチュはシールズの仲間を私設軍隊として使っているから、マフィアなんか怖くない。だが、アーロン&キッチュには弱点があった。その2人の恋人“O”(ブレイク・ライヴリーって女優さん、まぁまぁ綺麗)を、サルマ・ハエックは誘拐するわけ。
その仕事をする殺し屋ラドーが、ベニチオ・デル・トロ。表向きは庭師の会社を経営しているのだが、アメリカではメキシコ系の人々が一番多いのはレストラン経営と庭師なんだそうです。「マチェーテ」にも出てきましたね。庭師のフリしてどんな所にも入り込んで殺す。このベニチオの殺し方が酷くて、人間の首をグリグリと切断したり、ガソリンをかけて生きたまま焼いたりする。サドでスケベでずる賢くてキモイのだ。生理的にここまで不快な悪役も珍しいです。
だから、ベニチオが一番の野蛮人だと、拉致した“O” ブレイク・ライヴリーがベニチオに唾を吐く。するとニヤっと笑いながら、彼女の顔をベローと舐めたりね、本当に楽しそうに演じている。以前彼が熱血麻薬刑事を演じてアカデミー賞を取った「トラフィック」を思いっきり茶化しているのだ。こっちは、麻薬ギャングだものね。
そこからイケメン二人は、中々の活躍ぶりで、一人は元傭兵なので親友や武器の調達はお手者も、もう一人は頭脳派として作戦を練る。対するメキシコの組織はあくまで昔ながらの悪というイメージなのだが、その非情な女ボスは、実は娘との葛藤というイマドキの問題を抱え、悩んでいる。
それに、麻薬取締の刑事にデブ・ハゲ・ゲイのジョン・トラボルタが出ていて、もう悪徳警官だね、これは。クライマックスの別バージョンで、ヘリを飛ばしパトカーでやって来て、麻薬のボスや子分どもを逮捕するお手柄で表彰されるのよ。こんなの有りって感じ!
見どころは、彼女を助けるべく身代金調達のため、車に大麻を大量に積んで高速道路を走ると、後ろからパトカーが追いかけてきてのサスペンスなど、どうってことのないシーンだが、ハラハラさせる。語りのブレイク・ライヴリーが、冒頭で映画の最後まで生きていないかもしれないと、言い出すだけにエンディングで本物の悪たちとの戦いを通して、現代のヒッピーであるイケメンらと美女は無事大人になれるのであろうか。
ラストには、「やっぱり、大人になるにはあまりにも大きな痛みが伴うのだ」と、足を洗って、東インドネシアで仲良く暮らそうって言ってたのに、3人が銃弾あびて死ぬところ。そんなしんみりとした後にだ、とんでもない反則があるのよね。夢オチ以上に反則な展開があるんですよ。もう一つのエンディングが、エッって、目を疑うような仕掛けが待っていて、思わず笑ってしまう。
テンポのある筋運びの才人、オリヴァー・ストーンの真骨頂で、スタイリッシュな語り口とシャープなアクションが、程よいバランスで配置されている。権力者シリーズやドキュメンタリーよりも、ストーンはB級活劇が相応しいと思った。
2013年劇場鑑賞作品・・・242 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:平和主義者のベン(アーロン・テイラー=ジョンソン)と元傭兵(ようへい)のチョン(テイラー・キッチュ)は親友同士。彼らはカリフォルニア州ラグーナ・ビーチを拠点に大麻栽培のベンチャー起業で大成功を収め、二人の共通の恋人オフィーリア(ブレイク・ライヴリー)と3人で生活している。だが、ある日、彼女がメキシコの麻薬組織に拉致され……。
<感想>カリフォルニアの高級リゾート地の邸宅で暮らす、イケメンふたりと美女“O”(オフィーリア)。イケメンの一人は真面目で名門バークレー大学で、植物学を学んだインテリが、マリファナ栽培するベン。演じているのは「キック・アス」のヘタレ君でおなじみのアーロン・ジョンソン。
もう一人は悪の匂い漂う元傭兵のチョン。違法なマリファナで商売しているギャングたちともめる、トラブルを暴力で解決してくれるのが、アフガン帰りの演じるのは「バトルシップ」のテイラー・キッチュ。この文武コンビが手を組んでバリバリ稼ぐわけ。
そして、二人は親友で金持ちの娘の“O”は二人にとっては最愛の恋人なのだ。過剰に干渉し合わず、奪い合いや嫉妬とも無縁に楽しく暮らす彼らは「私たちルームシェアで〜す」などと、複数の男女で時には性的な関係にもなりながら、基本的には仲良く無邪気に生活している。この3人は高級大麻の栽培(自宅の裏に広い大麻栽培工場を持っている)で得た富で暮らしているのだが、そのビジネスはちゃんとライセンスを取っている店に卸すからクリーンな商売なんだけど。しかも収入でアフリカの支援を行うなど「CSRを大切にするIT企業ですか」と言いたくなる。腐敗や堕落、ドロドロとは無縁。これが現代のヒッピー生活なのだろうか。
しかし、いつまでも学生気分の彼らに、メキシコの大手麻薬カルテルが接近してくる。それまでカリフォルニアのマリファナを供給していたメキシコ系のマファア。女ボスを演じるのは、サルマ・ハエック。エリカ様みたいなおかっぱ頭のズラ被って、化粧もキツイよね。で、サルマはアーロン&キッチュのコンビに「上納金をよこせ」ってプレッシャーをかけてくる。ところが、キッチュはシールズの仲間を私設軍隊として使っているから、マフィアなんか怖くない。だが、アーロン&キッチュには弱点があった。その2人の恋人“O”(ブレイク・ライヴリーって女優さん、まぁまぁ綺麗)を、サルマ・ハエックは誘拐するわけ。
その仕事をする殺し屋ラドーが、ベニチオ・デル・トロ。表向きは庭師の会社を経営しているのだが、アメリカではメキシコ系の人々が一番多いのはレストラン経営と庭師なんだそうです。「マチェーテ」にも出てきましたね。庭師のフリしてどんな所にも入り込んで殺す。このベニチオの殺し方が酷くて、人間の首をグリグリと切断したり、ガソリンをかけて生きたまま焼いたりする。サドでスケベでずる賢くてキモイのだ。生理的にここまで不快な悪役も珍しいです。
だから、ベニチオが一番の野蛮人だと、拉致した“O” ブレイク・ライヴリーがベニチオに唾を吐く。するとニヤっと笑いながら、彼女の顔をベローと舐めたりね、本当に楽しそうに演じている。以前彼が熱血麻薬刑事を演じてアカデミー賞を取った「トラフィック」を思いっきり茶化しているのだ。こっちは、麻薬ギャングだものね。
そこからイケメン二人は、中々の活躍ぶりで、一人は元傭兵なので親友や武器の調達はお手者も、もう一人は頭脳派として作戦を練る。対するメキシコの組織はあくまで昔ながらの悪というイメージなのだが、その非情な女ボスは、実は娘との葛藤というイマドキの問題を抱え、悩んでいる。
それに、麻薬取締の刑事にデブ・ハゲ・ゲイのジョン・トラボルタが出ていて、もう悪徳警官だね、これは。クライマックスの別バージョンで、ヘリを飛ばしパトカーでやって来て、麻薬のボスや子分どもを逮捕するお手柄で表彰されるのよ。こんなの有りって感じ!
見どころは、彼女を助けるべく身代金調達のため、車に大麻を大量に積んで高速道路を走ると、後ろからパトカーが追いかけてきてのサスペンスなど、どうってことのないシーンだが、ハラハラさせる。語りのブレイク・ライヴリーが、冒頭で映画の最後まで生きていないかもしれないと、言い出すだけにエンディングで本物の悪たちとの戦いを通して、現代のヒッピーであるイケメンらと美女は無事大人になれるのであろうか。
ラストには、「やっぱり、大人になるにはあまりにも大きな痛みが伴うのだ」と、足を洗って、東インドネシアで仲良く暮らそうって言ってたのに、3人が銃弾あびて死ぬところ。そんなしんみりとした後にだ、とんでもない反則があるのよね。夢オチ以上に反則な展開があるんですよ。もう一つのエンディングが、エッって、目を疑うような仕掛けが待っていて、思わず笑ってしまう。
テンポのある筋運びの才人、オリヴァー・ストーンの真骨頂で、スタイリッシュな語り口とシャープなアクションが、程よいバランスで配置されている。権力者シリーズやドキュメンタリーよりも、ストーンはB級活劇が相応しいと思った。
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