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ANNAアナ★★★★

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「ニキータ」「レオン」「LUCY ルーシー」など、戦うヒロインを主人公にした作品を数多く手がけてきたリュック・ベッソン監督がロシア出身のスーパーモデル、サッシャ・ルスを主演に迎えてメガホンを取ったアクション。アナ役のルスのほか、オスカー女優のヘレン・ミレン、「ワイルド・スピード」シリーズのルーク・エバンス、「ダークナイト」のキリアン・マーフィらが脇を固める。

あらすじ:1990年、ソ連の諜報機関KGBによって造り上げられた最強の殺し屋アナ。ファッションモデルやコールガールなどさまざまな顔を持つ彼女の最大の使命は、国家にとって危険な人物を消し去ることだった。アナは明晰な頭脳と身体能力を駆使し、国家間の争いをも左右する一流の暗殺者へと成長していく。そんな中、アメリカCIAの巧妙なワナにはめられ危機に陥ったアナは、さらに覚醒。KGBとCIAがともに脅威する究極の存在へと変貌していく。

<感想>「ニキータ」のリュック・ベッソン監督が、“十八番”とも言えるジャンルで、新作「ANNA アナ」(6月5日公開)は、スーパーヒロインが戦い、躍動するアクションエンタテインメントである。だが、ベッソンの十八番であるがゆえに、自身の過去作品物語をごった煮したようなスパイスにエロスを一振り、終盤ではヤケクソ気味などんでん返しを尺が満ちるまでしつこく繰り返していて、マシュー・ボォーンあたりでは、まだまだ負けないわというベテランの気質を唸らせながらも、微妙にやぼったくなってしまっているのは否めない。

やりすぎなアクションシーンもまたベッソン印であり、ここまでくると殆どセルフパロディなのだが、だからつまらないというわけでもなく、二番煎じとはいえ清々しさを獲得したかのような楽しい娯楽映画になっていた。

しかしながら、実際に本編を鑑賞すれば、アクションファンには「ベッソンの良いところが全部出ている!」と恍惚の表情を浮かべるに違いないだろう。好きな要素、全部のせており、洗練されたルックスとアクションの“美”に、骨の髄まで痺れさせてくれる。

物語の舞台は1990年代のソ連。諜報機関KGBによって造り上げられた殺し屋アナが、国家に仇なす人物を次々と消し去っていく。しかし、アメリカのCIAによる巧妙な罠にはめられ、アナは驚がくの取引きを迫られる。それは、「KGBを監視する“二重スパイ”として活動しながら、長官を暗殺せよ」というものだった。

これまでベッソン監督は、繰り返し“戦うヒロイン”を、迫力たっぷりに描き出してきたが、女優の素質を見抜くその目はまさに一流であり、「レオン(1994)」ではナタリー・ポートマン(出演当時13歳!)、そして「フィフス・エレメント」ではミラ・ジョボビッチを発掘しており、彼女たちはその後一躍スターダムを駆け上がっていった。

本作では、主演にロシア出身の超新星モデルを抜擢。主演は新星サッシャ・ルス、ロシアの妖精が豪快アクションを披露する。
16歳でランウェイデビューを果たした、ロシア出身のモデルであり、「ヴァレリアン千の惑星の救世主」では脇役で出演して、その存在感がベッソン監督の目に止まったというわけ。“妖精”と呼ぶにふさわしい美貌で、表はファッションモデル、裏は暗殺者という“2つの顔を持つ”アナ役を、魅力たっぷりに体現してくれる。

一方で、約1年間にわたりマーシャルアーツの特訓を積むなど、役作りでは長期間の準備に身を捧げており、その成果はスクリーンに如実に現れているので説くとご覧あれ。
サッシャ・ルスのハッとするほどの輝かしい美貌を見せたかと思えば、数秒後、血しぶきを浴びながら銃を構える。そのギャップが狂おしいのだ。

共演にはヘレン・ミレンら、独自の世界を切り開く演技派がそろい、ニューヒロインと得も言われぬ化学反応を引き起こしている。とかく、ヒロインによるアクションの質が非常に良い。アナがわずか5分で40人の男を屠ったり、割れた皿を武器に華麗に舞うさまなど、見どころ満載だ。

それにだ、なんといってもバイタリティなヘレン・ミレン伯母さん、「クィーン」などのアカデミー賞女優ヘレン・ミレンは、本作ではアナを鍛えるKGBの上司オルガ役に。タバコをスパスパと吸いながら、強烈なロシア語訛りの毒舌で無理難題をふっかけるなど、その立ち居振る舞いはまさに“パワハラ上司”である。しかし、悪戦苦闘しながらも食らいついてくるアナに対し、職務を越えた感情が芽生え始めてきて、当初は罵りまくっていたのに、段々とデレてくる過程がなんとも微笑ましい。

アナを好きになる男優たちに、ルーク・エバンス&キリアン・マーフィが好演 アナの魅力にメロメロになっている。「ワイルド・スピード」シリーズではミレンと親子役を演じているルーク・エバンスは、本作ではKGBエージェントのアレクセイ(肉体派)に扮する。アナをKGBにスカウトし、オルガとともに育成する一方で、二人は深い渓谷に身を投じるような恋に落ちていく。

さらに「ダンケルク」などのキリアン・マーフィが、アナに二重スパイの使命を課し、次第に恋愛感情も抱いていくCIAエージェントのレナード(頭脳派)に扮している。アナはKGBとCIAだけでなく、アレクセイとレナードの間でも揺れ動いていく。

それに、驚いたのが「T-34」のあの人も出演。しかもこんな役にと、脇役も必見ですよ。目を向けるべきは、メインキャストだけではない! 特筆すべきは、アナのかつての恋人役を担うアレクサンドル・ペトロフだ。ペトロフは映画ファンの間で話題を呼んだ「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」に主演していた俳優。そんな彼が、本作では「そうくるか?」という驚きの展開を見せている。

さらに、パリのモデル事務所でアナと絆を深めるモード役、レラ・アボヴァが印象深いですね。目が覚めるようなショートカットに、透き通るような瞳が見るものを魅了する。まるでレズビアンのような仲になってゆくのだ。
ベッソン監督作品では、暗殺、KGB、CIA… アクションファンの大好物がてんこ盛り。アナはKGBに所属しながら、CIAのスパイとしてKGBの動向を探る。昼はモデルとしてフラッシュを浴び、夜は暗殺者として闇にまぎれる。そしてKGB長官からもたらされる暗殺命令を忠実にこなしながら、その長官の暗殺をCIAから命じられる……。

アクションファンには溜まらないほどの要素がふんだんに盛り込まれているのもいい。肉弾戦の興奮、人間ドラマ、展開のスリルが有機的に連鎖し、陶酔の映画体験をもたらしてくれる。もう一つの特徴は、ストーリーテリングが直線的ではない、という点である。映画は1985年のモスクワからスタートするが、次のシークエンスでは1990年のパリへ。その後も時系列をシャッフルし、舞台と時代を目まぐるしく移動。伏線の展開と回収を交互に繰り返しながら物語は進んでいく。

アナはなぜ、KGBに身を置くのか? 彼女が求めるものは手に入るのか? 観客の予定調和をぶち壊し、信じていたものがひっくり返るサプライズが連続。さらに「TAXi」シリーズなどで見せるベッソン監督独特のユーモアがスパイスのように効いており面白い。
その結果、鑑賞中、心はアップダウンを繰り返し、一瞬たりとも飽きがこないのだ。1990年、ソ連の諜報機関KGBによってつくり上げられた殺し屋アナ。美しきファッションモデルやコールガールなど複数の顔を持つ彼女の使命は、国家にとって危険な人物を次々と消し去ること。一流の暗殺者となったアナだったが、アメリカのCIAの巧妙な罠にはめられ、捜査官レナードから驚愕の取引を迫られる。

アナを演じたサッシャ・ルスが、武装した男たちと戦うレストランでのシーンでは、アクションを彼女にレクチャーした、「ボーン・アイデンティティー」でマット・デイモンに、「96時間」シリーズではリーアム・ニーソンをファイターに仕立て上げたアラン・フィグラルツなのだ。本作のスタント&ファイト・コレオグラファーを務めているフィグラルツは、アナのターゲットとなる敵ボス役でレストランのシーンにも登場しており、“師弟同士”のバトルも見どころの一つとなっている。

アナ役のルスは、約1年間も役作りと体力作りに励んだそう。想像以上に熾烈を極めたシーンの連続に、スタントを使えばいいと提案されたこともあったが、「戦い方を知らなければ、アナにはなれない。だから全力を尽くした」と体当たりで挑戦。生半可ではない覚悟と入念な準備により、5分で40人を倒すリアルかつ壮絶なファイティングシーンを完遂した。

大勢の敵を撃ち倒していく見せ場では、悪漢が次々に倒れてゆき、強い女の姿を見せたり、自立する生き方に目覚めさせるテーマは現代的に思えるが、根本的に女性の若さや美貌に魅せられていく”オッサンたちの視線”があるのが描写の端々からわかるのもいい。

特にあり得ないほどの超絶なアクションシーンでは、強さで生きる女性に比べると、KGBもCIAも男性には物足りなさも感じる。ラストの対決シーンが面白くて、目が離せません。気になったのが、上の写真を見ると、「ソルト」のアンジーに似ているよね。断然アンジーの勝ちだけどね。

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