「呪怨」シリーズなどで知られるホラー映画の名手・清水崇監督が、福岡県に実在する心霊スポットを舞台に描くホラー。主演は「ダンスウィズミー」の三吉彩花。主人公の奏役を三吉が演じ、坂東龍汰、大谷凛香、古川毅、奥菜恵、寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子らが脇を固める。
あらすじ:臨床心理士の森田奏の周辺で奇妙な出来事が次々と起こりだし、その全てに共通するキーワードとして、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が浮上する。突然死したある女性は、最後に「トンネルを抜けた先に村があって、そこで○○を見た……」という言葉を残していたが、女性が村で目撃したものとは一体なんだったのか。連続する不可解な出来事の真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルへと向かうが……。
<感想>コロナウィルス感染により映画館が開いているところが少ない。それに、観たい作品は全部依然に観てしまい、仕方なくこの映画を観ることに。物語は、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が題材です。ここは本当に実在するところで、旅行好きな私は、まだ行ってないところ。
足を踏み入れたら二度と生きて戻ることはできない!恐怖の都市伝説「犬鳴村」がまさかの映画化です。都市伝説にはマイノリティに対する後ろめいた気持ちが「噂」として立ち上がったものが多い。そこには社会から隠された何かやましい出来事、言ってはいけないタブーが潜んでいる。清水崇の最新作「犬鳴村」が一筋縄でまとめられないのは、まさにその点を鋭くえぐっているからである。
都市伝説はもはや素朴な怪談として楽しく消費する代物ではないのだ。そのモデルとなった場所は、「犬鳴トンネル」心霊スポットとしても知られている。「血筋と因果」というテーマで、実在する心霊スポットを舞台にするとは過激な企画ですよね。
映画は犬鳴村にまつわる都市伝説で、最も有名な「この先、日本国憲法は通じず」と書かれた看板を見つけるところから始まる。
犬鳴村に肝試しに行ったばかりに、不幸が立て続けに起こる森田家。父親(高嶋政伸)は「この家に入り込んだ汚れた血が原因だ」と謎の発言をする。血筋の話がまさか心霊スポットと繋がる発想がこうして生まれて、今までにない結びつきの映画となったわけ。
土地と血縁を巡る因果の物語とは、まさに横溝正史的な世界。戦前、戦中に怪しい施設が片田舎にあったとか、今では誰も知らない謎の集団の存在。過去におぞましいことが起こって、その責任を取ろうとしない誰かしらの思惑や風習、人間の悪しき部分が「この先、日本国憲法は通じず」の看板を生んだ。隠された歴史があるという設定ならば、舞台は九州の犬鳴峠に限られることはない。調べて行けば日本国中、どこにでも存在するものになるのだが。
犬鳴トンネルが心霊スポット化した最大の理由は、80年代に不良たちがリンチ殺人事件を起こした場所として新聞報道されたことが大きいという。その後ネットの時代になって、そこに行くと禁忌に触れる、行ったらいけない場所。現在はブロックの壁で封鎖されたトンネルしか残ってない。
犬鳴村村自体は実在していた。ダム建設により水の底に沈んでしまい、村の名前を刻んだ石碑がある。その村人たちの怨念か、しかし、実は村の山に棲んでいる山犬が原因で、村の女性たちがその山犬と交わり、人間と犬との子供が生まれるという不気味な物語。フィクションでありながら、何とも不気味でありミステリーなところもある。
「わんこがねぇやにふたしちゃろ」というわらべ唄、この歌の意味をどう思うのか?・・・クライマックスで歌に隠された本当の意味がわかる仕掛けになっていた。
ホラーせいが強いフィクション映画であり、過去に起こった忌まわしい出来事を見せている。ゾンビや幽霊、見える人には見える過去に生きていた人の霊などぞろぞろと出現する。今回もおぞましいことが写っているフィルムが劇中に出てくる。それは隠ぺいされた過去があり、その証拠としてフィルムが現存する。
見てはいけないという部分をどう見せるかが問題になっているが、それは劇場でご覧いただくとして、隠れた土地と因縁の鎖でつながれた一族の、呪われた運命の焦点を見せていく。
霊感ヒロインを取り巻く家族関係は、隅々まで厭な味付けが濃厚であり、淀んだ空気が漂う大豪邸。不気味なわらべ歌を口ずさみながら、小便を漏らして徘徊する少女。電波塔から自殺志願者が飛び降り、都市伝説を思わす無残な死。背後に忍びより、走る車の中へ駈け込んでくる幽霊たち。
高密度な心霊描写の連打に目を奪われるが、この物語には幾重にも積み重なる禁忌が仕込んであります。結構、観た後で嫌~な雰囲気が頭の奥にこびりついて、実際にこんなことが、昔にはあったのかと思わせるような雰囲気です。まるで吸血鬼のような牙が、最後にあのヒロイン三吉彩花の歯が、犬歯という牙が2本ニョキと生えてきて、笑みをもらす。
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