本作は「MERU/メルー」のエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ&ジミー・チン監督が、前人未踏の偉業に向けて入念な準備を進めるアレックスに密着し、歴史的な挑戦の一部始終を、彼を支える恋人や先輩クライマー、さらには熟練クライマーでもあるジミー・チン率いる撮影クルーたちの葛藤とともに極限の緊迫感でカメラに収めた衝撃のドキュメンタリー。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞をはじめ数々の映画賞を受賞。
あらすじ:“フリーソロ”とは命綱はおろか一切の安全装置を使用することなく、自分の手と足だけで岩壁を登るもっとも危険なクライミング・スタイルのこと。アレックス・オノルドは、そんなフリーソロで数々のビッグウォールを攻略してきたクライミング界の若きスーパースター。彼の夢は、カリフォルニア州のヨセミテ国立公園にそびえ立つクライマーの聖地、エル・キャピタンをフリーソロで制覇すること。しかし、この世界屈指の断崖絶壁をフリーソロで登りきった者は未だかつて一人もおらず、誰もがロープなしでは絶対不可能と考えていた。
<感想>ラスト20分――極限を超えた体感。高さ975m断崖絶壁。ロープ無し、素手で登りきる。失敗したら死ぬ、成功したら金メダルものだ。しかし、このゲームは、たとえ登り切っても何ももらえないし、名誉だけである。それでも、この映画をドキュメンタリーで撮影して、我々が鑑賞できることになるとは、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞をはじめ数々の映画賞を受賞したおかげではないだろうか。今回はIMAXにて鑑賞したおかげで、リアルな臨場感や気分の高揚が半端じゃなかった。
命綱なしで断崖絶壁を登る天才クライマー、アレックス・オノルドのドキュメンタリーであります。それは“フリーソロ“という、命綱のロープなしで、ロープにたぐいする保険何もかけずに、たった一人で、断崖絶壁を登るというもの。落ちたら即死か、全身骨折で一生車いす生活だろう。彼も何度か滑落して、足を骨折して暫くの間登頂を断念した苦い思い出もある。
前にも「MERU/メルー」のエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ&ジミー・チン監督の映画を鑑賞したことがあるが、実に登頂した時の感動は何にも得難い美しい光景に感激する。
しかし、ただそれだけで登頂するわけではない。アレックスは、何も持たずに、手掛かりや足がかりのたぐいを使わず、自分一人で、肉体を駆使して大自然と対峙するのだ。
それはクライミングの一番シンプルな、一番原始的な、一番高度なかたちで登るからである。たった1日で登頂する試練の対決。朝早くから始まり、その日が悪天候だったら止める。晴天を狙って登頂するのだ。自分の身体に自信を持ち、体重を減量して筋肉と日頃のトレーニングだけで登頂するのだから。
ですが、今までのフリーソロのパイオニアたちは、クライマーの理想を実現すべく、多くのクライマーたちがそこに挑戦をしてきたが、彼らはみな滑落して死んでしまった。これに取り憑かれた人間は、みな死ぬまで挑戦するのだから。
それにしても、アメリカのアレックスは凄かった。カリフォルニア州のヨセミテ国立公園にそびえ立つクライマーの聖地、エル・キャピタンをフリーソロで制覇することだけを念願に、キャンピングカーで目的地に入り、入念にトレーニングをしてトライする。
だが、今まで一人で生活してきた彼に恋人ができる。自分の命を軽んじることはできないはず。だが、一度決めたら、今の若さの肉体を駆使し登頂するのだ。未だに誰もが登り切ったことのない難所であります。彼女の心配をよそに、自分が成し遂げるまで挑戦するというのだ。
とにかく、映画の始まりから、死亡フラグが立ちまくっている映画もないだろう。彼女は、傍に付いてはいない、彼が登頂する前の晩に家のあるところへ帰るのだ。いつもべったりと彼に付いて見ていると、きっとかれの神経が参ってしまうからと。登る時はいつも孤独で、自分と自然との戦いであるから。無用な人間的な心配ごとは忘れ去って登りたいのだろう。
ラスト近くで、Tシャツにズボンと、滑り止めを持ち、エル・キャピタンの絶壁の前に来る。それからは、アレックス一人で登り始めるのだが、途中で撮影隊の人たちのことが眼中に入り気が散るということで、断念して落りて来る。
2回目では、削ぎすまされて精鍛な顔つきで、もう何も思い残すことはないと言いながら、淡々とした感じでエル・キャピタンに立ち向かっていく。もし、失敗したらなんてことは、考えないでおこう。
それは確かに観ていて、ハラハラ、ドキドキするシーンもあるが、彼は自信に満ちた表情で、頂上を目指して素手で、登り切るのだった。もうお見事と言うしかない。感動のひと時でもある。誰にも成し得ないことを、成し遂げる勇気と挑戦に拍手を贈りたい。
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