銀行強盗をしてそのまま行方不明となった両親の葬儀を行うため10年ぶりに集まった4きょうだいが、財産分与を巡って醜い骨肉の争いを繰り広げるさまをブラック・ユーモアいっぱいに描いたコメディ・ドラマ。主演は「任侠ヘルパー」の草なぎ剛。監督は「箱入り息子の恋」「ハルチカ」の市井昌秀。
あらすじ:台風が近づくある夏の日。鈴木家の長男・小鉄が妻子を連れて実家へ戻ってきた。目的は、10年前に銀行強盗をし、奪った2000万円とともに行方不明になった両親の葬儀に参列するため。ただし実際に遺体があるわけではなく、法的に死亡したと認定されたことによる形式的な葬儀にすぎなかった。その真の目的は、10年ぶりに再会する4人のきょうだいで財産分与を話し合うことにあった。そして長男である小鉄は話し合いをリードし、遺産を独り占めしようと目論んでいたのだったが…。
<感想>だいぶ前に鑑賞したが、草薙くんのファンとしては公開されて良かったと思いますね。物語は市井昌秀監督が12年間あたためてきた“両親への想い”を形にしたというオリジナル。葬儀屋を営んでいた両親が、銀行強盗を働き、奪った2千万円と共に姿を消してしまってから10年後。
その事件の時効を機に、両親の犯罪によって人生を狂わされた鈴木家の男3人、女1人の4兄妹が、両親は死んだものとして葬儀を行おうと、10年ぶりに実家で顔を合わせることになる。
長男の妻と娘、さらには長女の恋人までも揃った鈴木家では、それまでの確執や遺産をめぐる様々な想いや、感情が交錯して、台風のようなめまぐるしい1日が繰り広げられる。
鈴木家の兄妹役には、長男の草なぎ剛、妻に尾野真千子にその娘に甲田まひるが、そして次男MEGUMI、三男中村倫也。失踪した両親には、藤竜也と榊原るみ、他には、若葉竜也、長内英里香、相島一之、斎藤暁らが共演している。
鈴木家の4兄妹には、みな何かしら人格に問題がありそうで、家族だけにそれを隠さずぶっつけあうのだ。人間臭くリアルともいえるが、最も本性をむき出しにして、金に汚いクズっぷりを見せつけるのが草薙演じる長男の小鉄だ。草薙は現場では明るく穏やかに振舞っているが、金のことになるとガラリと違う顔付になり感情をむき出しにして見せたり、無感情のような表情も見せる。草薙の緩急の芝居のうまさは定評があるが、現場でスイッチが入った時にテンションはやはりすごい。
子供たち全員は集まった鈴木家に、遅くなってから末っ子の中村倫也が来て、ある秘密を明かすシーンがある。今までの皆のやり取りを隠しカメラで、ユーチューブに実況中継しているのだと明かして、皆を驚かせ慌てさせるのだ。
ユーチューブ実況は、ちょっと意表を突いたアイデアで、それがどう展開するのかと興味深々だったが、そこへ、それを見て二人の人物が訪ねてくる。
訪ねてきた若い女から銀行強盗の裏の話を聞かされるのだが、それによると父親が強盗をしたのは、女が掛けた小鉄の交通事故という詐欺電話のためだとのこと。しかし、受けた電話一本で、何の確認も考えもせずに、いきなり銀行強盗に走ることってあるのだろうか。まだボケたはいないが老人の父親と母親が、今まで長い間葬儀店を経営してきたのに、何故、すぐに銀行強盗などに走ったのか。家族がこのことで、激しくぶつかりあうことになるが、傍からみると滑稽なシーンともなっている。
長男が遺産相続の話を始めていると、次男、三男、妹と貰えるものならいくらでも貰いたいと言い争う姿は、どこの家庭でも起きることである。それが、結局は2千万円泥棒した金を返さなければいけないので、家を売り払っても、足りないのだった。バカげているけど、それを真面目にやると人間臭さが出て来るあたりがすごくいいなと、見る側にとってはコメディとも取れる。
そして、昔みんなで、家族で行ったキャンプ場へと言ってみることになる。それも台風の土砂降りの中を、車に分乗して行くのだ。10年も経っているのに、行ってみると、河原に一目瞭然の状態で両親と思われる遺体の骸骨が存在するという、びっくり仰天なハチャメチャなお話。
それに、その遺骨が暴風雨のために、川が氾濫して流れ出し家族揃って追いかけるのだ。後は観てのお楽しみということで。
この映画は、当初は6月に公開予定だったが、出演者の中の次男・京介役の新井浩文が警察沙汰になったことで、公開延期となり、7月21日に公開されたもの。ブラックユーモアあふれたジャンルレスな本作は、観ていて何処に行きつくのか分からない面白さがある。笑いもあれば感動もあり、観る人によって様々な感情を湧き立たせてくれるはずです。
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