ジャ・ジャンクーやホウ・シャオシェン作品をはじめ数々の作品で映画音楽を手がけ、「雨にゆれる女」で商業長編映画監督デビューを果たした半野喜弘による長編監督第2作。妻夫木聡と豊川悦司を主演に迎え、全編台湾ロケで撮り上げたノワール・ムービー。共演に「黒衣の刺客」のニッキ―・シエ。
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あらすじ:一年前、ある事件がきっかけで、日本から台湾に逃げてきたヤクザの島。台北で身を隠すように生きていた彼の前にある日、牧野というお調子者の男が馴れ馴れしく話しかけてきた。牧野は一年前の事件のことを知っていると、思わせぶりな態度で島を挑発する。やがて牧野が命を狙われていることを知った島は、牧野を連れて台北から花蓮へと向かう。すると2人はそこで、ある女性と瓜二つの台湾人女性シャオエンと出会い、驚愕するのだったが…。
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<感想>異国の地、孤独な男たちの運命が交わるノワール・サスペンス。孤独な男たちの運命が、交錯していく様子を全編台湾ロケで描いたノワールサスペンスで、プロモーションビデオは半野監督自らが編集した。異国情緒溢れる台湾の風景を背景に、何かを求めるワケありの男ふたりの旅路、詩情溢れるシーンが切り取られており、本編への期待が高まる映像になっていた。
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なんか、香港映画へのオマージュをこめた映像設計が特徴のようだった。主演二人の演技は濃厚であり、どちらかというと、牧野役の妻夫木聡は、「悪人」で演じたようなチンピラヤクザ風であり、ヘラヘラした演技で安っぽい人間を演じていた。
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一方の島の役を演じた豊川悦司は、貫禄がある香港ヤクザふうで、入れ墨を背中に入れており、口数が少ない怖い兄ちゃんと言う風貌。殺された島の恋人と、後半で出て来るお嬢さんふうの女の二役をニッキ―・シエが演じていた。
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それぞれの事情から台湾に逃れてきた男たち。帰る場所をもたない二人にとっては、そこは幻想の楽園でありこの世の果てでもあるのだろう。だんまりな男に、妙に軽いおしゃべりな男二人、何が始まるのだろうと思わせながら、始まったこの逃避行は、ストーリーは平板なものの、画面の温度や街の匂い、人々の熱気などが満ち溢れている。
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台湾という土地柄なのか、解体した豚の生肉をトラックに積み込み、展開からして登場人物は強面ばかりだが、そんな中にあってトレードマークの屈託のない笑顔に、寄る辺ない虚ろさが滲む妻夫木聡の演技が際立っている。
罪から逃れられない二人には、楽園はあるのか、・・・と思うと、生きる哀しさも辛くなってくる。
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このドラマにおける台湾のロケーションは、そのようなものとして機能するべきだが、どうしても観ている観客には画力が冴えないように見えてしまう。謎めいたヒロインの存在は曖昧であり、彼女を介した豊川悦司と妻夫木聡の関係性が読みとりづらいために、お互いの心情描写がうまく交差していないのだ。
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ロマンと表現の距離感は難しいと思う。とはいえ、妻夫木聡の泣き顔はやはりテッパンでありますね。
音楽は坂本龍一であり、映像を活かしていて、台湾の民族の音楽を間に使っているし、ラストでは英語で歌を歌っているのも良かった。
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風景では、花蓮の自然の力である台北の街の市場や、ちょっとした路地裏だとか、今の台北の顔ではなく、少し懐かしい台北の名残がある場所。それと、ラストの海辺をパラダイスとして見立て、しかし何故にクラブの女シャオエンを殺す必要があったのか、車の中の花に埋もれているシャオエンを、ボートに乗せて泣き顔の妻夫木聡が沖へと流れて行くところ。
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そして、車の中にはもう一人男が死んでいて、車ごと焼いてしまう終幕。どこかの映画で見たことがあるなぁと思いながら、坂本龍一の音楽が流れて来るという。ちょっとかったるい物語で、眠くなってしまう。
2019年劇場鑑賞作品・・・111 Image may be NSFW.
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