直木賞作家・中島京子の同名ベストセラーを「チチを撮りに」「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督が映画化した家族ドラマ。認知症を患い、症状がゆっくりと進行していく父と、それに戸惑いつつも懸命に支えていく妻や、それぞれに人生の岐路に立つ娘たちが織りなすお別れまでの7年間を切なくも温かな筆致で綴る。出演は蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山崎努。
あらすじ:かつて中学校の校長をしていた厳格な東昇平が認知症と診断される。父の70歳の誕生日に、久々に顔を揃えた娘たちは、母・曜子からその事実を告げられ、動揺を隠せない。近所に住む次女の芙美は、カフェを開く夢を抱いて奮闘しながらも、上手くいかない恋愛に思い悩む日々。一方、夫の転勤でアメリカ暮らしの長女・麻里は、いつまでたっても現地の生活に馴染めず、思春期の息子のことも気がかり。そんな中、徐々に記憶を失っていく昇平が引き起こす、いくつもの予測不能のアクシデントに振り回されていく妻と娘たちだったが…。
<感想>だいじょうぶ。記憶は消えても、愛は消えない。父親に山崎努さん、いつもながら演技が秀悦であります。私の父親は胃癌で30年前に他界しましたが、親が認知症になるということは、一緒に暮らす家族の介護が必要であり、いろんな映画でも取り上げられてきましたが、何といっても身内である家族の苦労が一番大変ですね。
冒頭での遊園地のメリーゴーラウンドの前に、雨傘を持って現れる山崎さんの顔にドキリとさせられた。それは認知症がかなり進んだ段階であることが後でわかるのだが。
この辺りの病気の進行具合を、時間軸で切っているのですが、山崎がそれを肉体的な表現として見せたのはさすがだと思った。そんな彼に対して、常に変わらないのが、妻役の松原智恵子さん、かなりの高齢なのだろうが美しく年を重ねていて、夫の認知症の世話などと大変なのに、怒らずにいつも優しく夫に接しているのが微笑ましい。
母親が白内障手術 をした時に、医師からうつ伏せ状態維持することと言われて、本当に大変な姿勢で寝なければならないんですね。これって、本当なのかしらって思ってしまった。松原智恵子さんの母親役は、のんびりしていていいですね。
一番に父親のことに世話をやくのが、次女の芙美役の蒼井優と父親の山崎努が、縁側での二人のやりとりですね。これは本当に自然であり、自分のことも大変だし、家族のことも大変なのに、以前はかなり厳格であったであろう父が、校長先生まで勤め上げ、今では認知症になってしまった父との心温まるシーンですかね。娘が何を言っても、とんちんかんな答えしか返ってこないことが、娘にはどうしようもなく哀しくてしょうがないのだ。
長女の竹内結子さんは、アメリカへ夫と一緒にカリフォルニア州モントレー在住している。日本にいる両親のことを心配しながら、全部妹に任せてきたのが心の重荷になっている。だから、毎日のように電話をしては、両親の様子を聞くのだ。それが、アメリカで海外生活をしているのに、英語が話せず困った長女なのだが、夫は仕事のことで頭がいっぱいであり、妻の両親のことなど相談されても上の空。それに、アメリカ生活に馴染めず、すぐに実家のことばかり口にするのだ。
そして孫の崇は反抗期で、登校拒否をしている。ガールフレンドのエリザベスちゃんがいるのだが、お爺ちゃんに電話で漢字に詳しいので、エリザベスと漢字で書いてと電話をしてくる。それが、認知症なので、当て字のエリザベスになっていたのが笑える。
アメリカでは、認知症を患い少しずつ記憶を失っていく事を、「長いお別れ」=ロンググッドバイと言うそうだ。
それでも、認知症の父親にふり回されて、苛立つ次女の蒼井優ちゃんなのだが、万引きをしてポケットの中に入っていたものは、ボンタンアメとじゃがいもに生鮭の切り身だった。自分が大好きなものを自然にポケットに入れたらしいですね。
警察では、かなりお小言を言われましたが、確かに認知症の老人を抱えている家族にしてみれば、老人ホームに預けるのが一番いいのだろう。
しかし、その老人ホームの入所者が一杯で、順番が回ってこないのだ。国の介護保険制度で、ケアプランを立ててくれる役所の人に聞いて、先に、1日置きでもいいからデイサービスに入所するといいですよね。現在母親が認知症で、実際にデイサービスや、介護ヘルパーさんなどお願いして、自分の時間を作っては映画を観に行ってます。
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