マルグリット・デュラスの自伝的小説『苦悩』を「海の上のピアニスト」「ザ・ダンサー」のメラニー・ティエリー主演で映画化した戦時下ドラマ。ナチス占領下のパリを舞台に、ゲシュタポに連行された夫の奪還のために、いつしか身も心もぼろぼろになっていくマルグリットの苦悩と愛の葛藤を描く。共演はブノワ・マジメル、バンジャマン・ビオレ。監督は日本での劇場公開は本作が初となるエマニュエル・フィンケル。
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あらすじ:1944年6月、ナチス占領下のパリ。作家になったばかりの30歳のマルグリット・デュラスは、夫のロベールとともにレジスタンスの一員として活動していた。ところがある日、ロベールがゲシュタポに捕まり、どこかへ連れ去られてしまう。夫の情報を得ようと、パリのナチス本部に日参するマルグリット。やがてそんな彼女にゲシュタポの手先となって働く刑事ラビエが近づいてくる。ロベールの情報をエサに彼女との逢瀬を迫るラビエ。マルグリットの愛人でレジスタンスの同志ディオニスは、ラビエを警戒しながらも情報を引き出すチャンスととらえ、2人の逢瀬を許すのだったが…。
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<感想>わたしは待つ。それがわたしの愛の姿――。第二次世界大戦時、ナチス占領下ノパリを舞台に、ゲシュタボに逮捕された夫の帰還を待ち続ける女の愛と苦悩を描く。主演のマルグリット役を演じたのは「ザ・ダンサー」のメラニー・ティエリー。マルグリット・デュラスは映画「愛人/ラマン」の原作者としても知られているが、彼女には先鋭的な映像作家という、もう一つの顔があった。
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監督としては「インディア・ソング」など十数本の作品を発表している。原作者のマルグリットの映画化すると、どうしてもこの女性のカラーに染まってしまう。占領下のレジスタンスをしていた女が、逮捕された夫の情報を聞き出すため、ゲシュタボの手先の男と逢瀬を重ねる物語となっているためか、何とも艶めかしいデュラス的になっていた。
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何しろ、主人公のマルグリットをフレームの中に収めつつ、彼女の意識の流れのようなモノローグを重ねる映像と音声の構図もデュラス的なのだ。
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ゲシュタボの手先ラビエにブノワ・マジメルが扮している。いつの間にかすっかりと貫禄がつき、時の流れを感じると共に、別人になったかのような容貌の変化をみせている。それでも、役柄を魅力的に見せる俳優としてはいい。
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男たちの目線が女として美しいマルグリットに群がるのだが、貞操を守りつつも、一人だけレジスタンスの同志ディオニスとは、密通を重ねて寝ているのだ。
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やがて戦争も終結し、パリは解放され、戦時捕虜の帰還が始まるのだが、マルグリットの夫、ロベールは帰ってこないのだ。情報によると、ロベールは赤痢を患い死と戦っているというのだ。無事に帰って来るのを心待ちにするマルグリットの元に、フラフラになりながら、友人たちと一緒に戻って来た。
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その後、夫のロベールは病気で死ぬかと思っていたが、その後の療養がよかったのか、元気になり海へみんなと行くようになるのだ。だが、かくも長き不在により、夫を愛していた苦悩に、マルグリットの夫を愛せなくなってしまっている苦悩。陰影をもって絡み合わせた演出が優雅でした。
2019年劇場鑑賞作品・・・66 Image may be NSFW.
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