狩撫麻礼・作、いましろたかし・画による伝説的コミックス『ハード・コア 平成地獄ブラザーズ』を「リンダ リンダ リンダ」「味園ユニバース」の山下敦弘監督が実写映画化した異色コメディ。不器用ゆえに世間に居場所のない男たちの運命が、不思議なロボットとの出会いをきっかけに大きく動き出していくさまを奇想天外かつオフビートなタッチで描き出す。出演は山田孝之、佐藤健、荒川良々。
あらすじ:あまりにも純粋で信念を曲げることができずに世間からはみ出してしまった権藤右近。今は怪しげな活動家・金城銀次郎の下で埋蔵金探しを手伝う日々。唯一の友は一緒に働く牛山だけ。そんなある日、その牛山が謎の古びたロボットを発見し、2人は“ロボオ”と名付けて奇妙な友情を育んでいく。そこへ、いつも右近の尻ぬぐいをしているエリート商社マンの弟・左近がやって来て、ロボオが見た目とは裏腹に、現代の技術をはるかに凌ぐ性能を有していることが明らかになるのだったが…。
<感想>家族なんていらねぇ。俺たちは空だって飛べるんだ――。謎のロボットが彼らの未来を変える。不器用だけど真っ直ぐ生きる男たちの人生劇場。
第一に佐藤健さんとロボットが出るので鑑賞したのですが、立派な商業映画であり、キャストも豪華でした。スプリットは初心のままで自由ですよね。原作は読んでないのですが、山田孝之さんがプロデユーサーも兼ねていて企画を引っ張ってくれていた。
最底辺を彷徨う男たちの話であり、埋蔵金を探すぞというテーマなんですが、主役は山田孝之演じる右近が、渋谷のハロウィンパレードの夜に、カラオケバーに入って来る仮装をしたガキ共を尻目に、「クソが」と吐くのがヤバかった。
その中に一人で飲んでいる女が松たか子で、右近と騒ぎ始めてキスをする場面。
そこで右近が若い奴らにブチ切れるんだから。右近と友達の牛山(荒川良々)は、神経衰弱のためか知能が足りないが、いつも右近を頼っている。一人で廃墟に住んでいるが、根は真面目で右近の言うことは絶対である。
それに、佐藤健は右近の弟であり左近という名前。別に暮らしておりエリートサラリーマンと言う設定。右近たちの廃墟での生活は、毎日、群馬の山奥にある洞窟の穴掘りで、機械で掘るのではなく手作業だから、重労働なのだ。
彼らに給料を払っている金城銀次郎爺さんは、怪しげな結社のような、絶対にその穴には戦時中の埋蔵金が埋まっていると決めつけている。兄貴分の水沼(康すおん)は、穴掘り作業の見張り役として現場監督のようでもある。
ある日、牛山が住んでいる廃墟で古びたロボットを発見。頭が弱い牛山は、そのロボオを人間のように慕い、自分の友達にして連れて歩く。右近もそのロボットを見て、牛山が友達だと言って可愛がるのを見て仕方なく連れて歩く。
とにかくこの3人がピユアすぎるのだ。埋蔵金の採掘の仕事にも、そのロボットが一役かうのだが、人間よりも数段良く働くので、給料も多い。そのことに文句を言う牛山くん。悪者に追いかけられて万事休すのところで、ロボットが2人を抱いて空へと飛ぶんですよ。これは痛快でした。
AIのロボオは言うまでもなく、間違ったことを聞き流せない右近も、人間の腹黒さからは程遠いところにいる。そんな彼らと対照的な存在として登場するのが、商社マンで右近の弟の左近である。彼が、兄貴の右近に吐き捨てるように言う言葉、「間違っているのが世の中だろう」というセリフは、現代社会に要領よく溶け込んだ側の人間の言葉だと。そんな左近に「間違っていることを間違ってるって言って何が悪いんだ」と、叫び返す右近は、圧倒的に正しいのに、社会や世間からは遠いところにいて、だからこそ尊いものとして私たちの胸を突くのだろう。
左近がロボットを見て、お腹を開けて機械を動かし、金塊捜しをロボットの能力で探すことが出来るといい、洞窟の中へとロボットを連れて入る。そして、見事に金塊のある場所を見つけて掘り起こし、親分の金城銀次郎には暫く黙っていることにする。だが、左近がトラックを持ってきて、その金塊を全部自分の物にして、3人に言う、香港へ行って金塊をお金に換えて来ると言うのだ。
その内に、兄貴分の水沼が親分の金城銀次郎を殺してしまう。その死体をカバンに詰めて右近と牛山の所へ来て、そのカバンを預かってくれと頼むのだ。さて、弟の左近は香港でうまく金塊を金に換金できるのだろうか。
純粋で不器用すぎる3人の運命は、原作にはない予想外のラストを迎えるのだが、それをどう受け止めるかは、その人がどのように立ち回って生きているかによると思いますね。
2019年劇場鑑賞作品・・・12 アクション・アドベンチャーランキング
「映画に夢中」
トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ
トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/30386348