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ヘレディタリー/継承★★★・8

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サンダンス映画祭で絶賛され、低予算ながら全米でスマッシュ・ヒットを記録した衝撃のホラー・サスペンス。グラハム家を支配してきた祖母の他界をきっかけに、忌まわしき“何か”を受け継いでしまった家族を待ち受ける戦慄の運命を、緻密な脚本と俳優陣の迫真の演技で描き出していく。主演はトニ・コレット、共演にガブリエル・バーン、アレックス・ウォルフ、ミリー・シャピロ、アン・ダウド。監督は本作が長編デビューとなるアリ・アスター。

あらすじ:グラハム家の祖母エレンが亡くなり、娘のアニーは夫のスティーブに支えられ無事に葬儀を終える。夫婦には高校生の息子ピーターと13歳の娘チャーリーがいたが、チャーリーは次第に異常な行動をとり始める。そんなある日、ピーターがパーティに行くことになり、アニーはチャーリーも連れていくことを条件にこれを許可するのだったが…。

<感想>祖母の亡くなった家庭で、残された家族を襲う死よりも残酷な運命を描き、注目の映画スタジオ“A24”の史上最高の全米オープニング興行収入を記録したホラー映画。監督・脚本は本作が長編映画デビューとなる新人のアリ・アスター。すべてのシーンがラストの恐怖への伏線となる緻密な構成が、2018年のサンダンス映画祭などで高評価を受けた。

主演は「シックス・センス」「リトル・ミス・サンシャイン」のトニ・コレットが、グラハム家の母親であり、ドールハウスやミニチュアを制作するアーチストで、作品展が迫っている。

そのアニーが、こっそり参加していた遺族カウンセリングで、亡くなった母であるエレンが解離性同一性障害を発症していたという問題や、父が統合失調症だったこと、兄の被害妄想的な自殺、そして自身も重度の夢遊病に悩まされ、子どもさえも危険にさらした過去を抱え、自分の家族がなんらかの先天性遺伝による“負”を背負っているという不安を持っています。

だからなのか、亡くなった祖母をミニチュアの部屋においたり、はたまた悲惨な“事故”によって死亡した娘のチャーリーの、凄惨な現場をなぜかミニチュアで再現したり。序盤では病院を作っていたらしい話も。つまり、全部が現実と関係のあるものです。家庭で起こる奇妙な出来事は、亡くなった母の生前の行為に関係があるのではと疑っている。

アニーの夫で、心理療法士のスティーブンにはガブリエル・バーンが扮しており、グラハム家を襲う奇怪な出来事から家族を守ろうとするのだが。

そして、家族の息子ピーター役にアレックス・ウルフが、グラハム家の高校生の息子であり、修復不可能な悲劇を引き起こし、その後も奇妙な体験に次々と襲われる。

妹のチャーリーに、舞台出身で10歳の時にトニー賞を受けたミリー・シャピロが扮しており、亡くなった祖母が溺愛しており、人付き合いが苦手で特別支援クラスに通っている。

最近、近親者を亡くした主婦のジョーンには、アン・ダウトが扮していて、物語のキーとなる役で出演している。

ハリウッドのジャンル映画かと思って観ていると、新人監督アリ・アスターの、ホラーの語り口は調子が違うようだ。美術デザインはデリケートに出来ているのだけれど、カメラの位置が不安定で落ち着かないのだ。

それは、崩壊していく家族の気持ちを表現するのにはマッチしているので、不幸な家族を描く私小説の映画化だと考えた方がいいのかもしれない。

監督自身が、自分の一家の出来事を、ホラー仕立てたと言っているのだから、その狙いが作品内容を分裂させて、混乱を招いたのかもしれませんね。

家族を襲った悲劇を再現したミニチュアとドール・ハウス、街で擦れ違ったら思わず振り返ってしまいそうな娘役のミリー・シャピロの、独特すぎる風貌に目を背けたくなる。

屋敷の中で怪奇現象が続発するホラー映画かと思えば、家族の心理のもつれを覗き込むかのような、これまたサイコスリラーの趣きでもあった。

どの画面にも異様な吸引力があり、奥行きを強調した構図の魅力を生かすべく、シネスコではなくて、ビスタの画面を選択しているのも良かったと思う。

映画の雰囲気構成に貢献している音楽を担当したのは、アバンギャルドなサックス奏者のコリン・ステットソンで、監督は制作の始まる2年前に、彼に音楽を依頼したという。だからなのか、何だか虫唾の走る音楽と、重苦しい感じや、恐ろしい感じが良く出ていると思う。ストーリーうんぬんの前に、そちらに震えてしまうタイプのホラーでもある。

終盤の展開をどう見るかで評価が別れそうだが、何が事実か分からなくなっていく中盤の展開が面白くて、ドールハウスのイメージが強調されるのも、エンドロールにあの曲が流れるのも、たぶんそういうことなのだろう。

雰囲気だけと言ってしまえばそれまでだが、嫌~な感じは観終わった後もしばらくは抜けない。だが、最も刺さったのは、ある事件を契機に壊れて行く家族の姿だったりするのも恐ろしい。離れられない、家族のしがらみが辛くて怖い。

 

2018年劇場鑑賞作品・・・238  アクション・アドベンチャーランキング

 

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