超天才だけどコミュニケーション能力に難ありのヒロインの幸せさがしの悪戦苦闘をユーモラスに描いた青春ラブ・コメディ。主演は「ミニー・ゲッツの秘密」のベル・パウリー。監督は「さよなら、僕らの夏」の本作が長編初監督作品となるスーザン・ジョンソン。
あらすじ:ニューヨークのマンハッタンに暮らすキャリー・ピルビーはIQ185の超天才少女。ハーバードを飛び級で卒業したものの、実はコミュニケーション能力に乏しく、引きこもり気味で、読書するばかりの孤独な毎日を送っていた。そんなキャリーを心配したセラピストは、彼女に“ペットを飼う”“友だちをつくる”など6つの課題が書かれたリストを渡し、それをクリアするようアドバイスする。半信半疑ながらも、ひとまず外へ出て一つずつ課題をクリアしようとするキャリーだったが…。
<感想>「幸せになるためのリスト」はじめます。女性のリアルな本音を描き、現状を変えようとする主人公の姿に励まされる前向きなメッセージが詰まった作品。主人公のベル・パウリーの丸顔と背格好が、いかにも18歳でハーバード大を飛び級で卒業したIQ185の超天才少女にピッタリとハマっていた。
本作のベルはロンドン育ちの屈託した少女役で、独特のクィーンズ・イングリッシュのアクセントがNYでは浮いているように見えた。と思って観ていたら、エル・ファニング主演の「メアリーの総て」では、ベルがバイロン卿と火遊びをして妊娠をする義理の妹を演じていると言うのだ。「メアリーの総て」は、12月にミニシアターで上映されるので、今から楽しみです。
IQ185の超天才少女の悩みなど想像もできないが、コミニケーション能力に問題のある辛さは理解できる。要は、高知能=万能女子ではないと言うことだ。
セラピスト(演じているネイサン・レインがなぎら健壱にそっくりなのにびっくりした)が、提示した幸せになるためのリストが、果たしてどれほどの効き目があるかは疑問だが、やたらコミュニケーションの必要性が論じられる現代でもある。
コミュニケーション障外のこじらせ女子は、結局イケメンに気に入られなければ幸せにはなれないのか。学力と実力が比例しないのも、ありのままの自分で生きるにはそれなりの覚悟が必要なのも納得できるのだけれど、自分の能力を生かせる場所や、相手を探す方がよっぽど現代的なのではないかと思う。
ただし、主演のベル・パウリーのキャスティングが良かったので勝ちですよね。ファニーフェイスなのに、プリンセス感があってこの手のヒロインにぴったりなだけに、前時代的な価値観に基づいたドラマに説得力を持たせてしまっているのが皮肉ですよね。
キャリーのリストは「ペットを飼う」「子どもの頃好きだったことをする」「1番お気に入りの本を読む」などと、すぐに実行できそうな項目が多いが、6つの課題リストをきっかけに、戸惑いながらも成長していく姿を描く感動作。
最初に登場する大学教授のハリソン教授(コリン・オドナヒュー)は、孤独だったキャリーに手を差しのべてくれた、大人の魅力あふれる男性。
その次に出会いのシーンが映されるマット(ジェイソン・リッター)は、2カ月後に結婚を控えた恋人がいるにも関わらず、新聞に恋人募集の広告を載せていた男性。キャリーは怪しく思い偽名を使いながらも、リストの課題をクリアするためにデートをする。
最後はキャリーの隣に住むサイ(ウィリアム・モーズリー)が登場し、路上で怪しげな楽器を弾いているサイに文句をつけたことで知り合う。「ナルニア国物語」での美少年から、現在はぐっと大人の魅力が増したモーズリー。本作では、キャリーの背中をそっと押してくれる隣人のサイを演じている。キャリーが幸せを見つけたとき隣にいる男性は誰なのか、本編の結末を期待させる映像になっている。
引きこもりだったキャリーが意を決して外に出てみると、実は世の中に、自分と同じような「ヘンな人」がけっこういるものだ――というあたりが、あったかくていい。それは「人と会わずにすむ」という理由で集う深夜バイトの仲間だったり、MIT卒の優柔不断すぎるイケメンだったり。そんな人々との関わりから、キャリーは自然と一歩、おとなの階段を登るのだ。その他にも、キャリーの父親を演じたガブリエル・バーンが渋い。
恋も仕事も自分には関係ないと決めつけていたキャリーだったが、リストをきっかけにやがて人生が変わっていく。天才だがリストをこなすのに苦労するキャリーを身近に感じ、本作の鑑賞後には実際に自分用のリストを作成した人々が多いそう。リストに従い克服するヒロインは嫌味がなく感じが良かったのも好感がもてる。
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