Quantcast
Channel: パピとママ映画のblog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2328

バトル・オブ・ザ・セクシーズ★★★・5

$
0
0

1973年に世界が注目した女子テニスの現役世界チャンピオンのビリー・ジーン・キングと、元男子チャンピオンのボビー・リッグスによる性別を超えた世紀の一戦の知られざる舞台裏を、「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンと「フォックスキャッチャー」のスティーヴ・カレルの共演で映画化した実話ドラマ。監督は「リトル・ミス・サンシャイン」「ルビー・スパークス」のヴァレリー・ファリス&ジョナサン・デイトン。

あらすじ:全米女子テニス・チャンピオンのビリー・ジーン・キングは、女子の優勝賞金が男子の1/8であることに反発し、仲間たちともに“女子テニス協会”を立ち上げる。世の中でも男女平等の機運が高まる中、幾多の困難を乗り越え、女子だけの大会の開催にこぎつけるビリー・ジーン。そこへ55歳の元世界王者ボビー・リッグスが対戦を申し込んでくる。男性至上主義を恥じることなく、女子選手を小馬鹿にするボビーは、ビリー・ジーンとの対決で再び脚光を浴びようと目論んでいた。そんなボビーの挑発に、一度は対戦を拒否するビリー・ジーンだったが…。

<感想>時代はウーマンリブが産声をあげた60年代後半から、70年代前半を舞台に、テニス界で起こった象徴的な事件を描いている本作。男女平等はもちろんだが、そこにゲイ・レズビアンを含む幅広い多様性への期待を盛り込んでいることも見逃せません。

当時はまだ女子テニスは日本では、メジャーなスポーツではなかったはずで、ビリー・ジーン・キング夫人の名前を知ったのがこの映画である。まさか、映画の中で描かれたキング夫人とボビー・リッグスとの対戦があったこともです。

ですが、三拍子そろった映画であることには変わり有りません。男性至上主義の元テニス選手と、女子テニスのチャンピオンの男女対決という実話。特に、エマ・ストーンらの俳優陣の役作り。冴えない髪型にほぼスッピンで洒落っ気のないメガネ。テニスウェアを着ても若い女性プレイヤーらしく華やかさはなく、性別も年齢も不詳な感じが悪いのだ。

もっと面白くなってもいい作品なのですが、ビリー・ジーンが夫を持ちつつ、ツアーを重ねる中で、同性とのランデヴーを楽しむ恋愛模様は、女性解放運動とそのイデオロギーが、スポーツ選手の私生活に与えた影響としては新鮮に映りました。レズの相手の美容師の女の子が可愛らしくて良かった。

なんでトッププレイヤーがそんな滑稽とも思える試合をしたのか、今回はこの映画を観てその背景やら、結果としてそのことによって興行としての女子テニスが盛り上がるきっかけとなったと知り、いささか驚きました。

ボビー・リッグスなど女性プレイヤーたちを見下したり、その要求を拒絶する業界幹部の男性たちは、現在の視点からみればへんくつな悪役にすぎないが、当時にしたらむしろそれが当たり前で、常識的な立場だったとも言える。

男性と同じ労働や条件で、性的な平等を求めるリブの声は、同性である女性たちからもあざ笑われることが珍しくなかった。

ビリー・ジーン・キングが男性との異性間マッチを受けて立つ心持も、冷めた視点から引いてみたら、それは滑稽にも映るような試みかもしれないが、彼女の中にも「会心の一撃」をもたらすことだと想像する。

これまで男性優位な社会において、さんざん理不尽な差別や侮辱にさらされてきた一人の女性として、この一見は、見世物小屋のようなショーの誘いをうけることも、避けては通れなかったのだろう。

それが結果として自分たちにマイナスをもたらすことになったとしても、やらずにはおれなかったと思う。だから彼女は必死に戦った。そのおかげで、女性プレーヤーたちの可能性も広がり、女性の運動の背中を押すことともなったからなのだ。

ですが、本作でのビリー・ジーンの同性愛関係についての描き方は、物足りなかったはずです。多分ビリー・ジーン自身もこの時点では、同性愛に肯定的だったとは想像しにくい。何故ならアメリカでは同性愛は、この試合の4年前にやっとストーンウォール事件(ゲイバーを襲撃した警察に対して、女装のゲイらが抵抗をし、暴動にまで発展したこと)で、表沙汰になったばかり。

現在のようなLGBTの運動の規模とは、レベルの異なる小さなカウンターパワーにすぎなかったのだから。また、レズビアンであることは、まだ大方の当事者にとっても恥ずかしいし、受け入れがたい属性だったはずです。事実、彼女の男性と結婚をしていて、「夫人」となっていて、カミングアウトをするのも離婚後だったというから。

2018年劇場鑑賞作品・・・170 アクション・アドベンチャーランキング

 

 「映画に夢中

 トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/30026115

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2328

Trending Articles