事故現場などで救急医療を担う“ドクターヘリ”とそこに乗り込むフライトドクターをテーマに描いたフジテレビの大ヒット・ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」シリーズ初の劇場版となるヒューマン・サスペンス。成田空港と東京湾・海ほたるで発生した未曾有の連続大事故に立ち向かう主人公たちの活躍を、シリーズ史上最大のスケールで描き出す。主演は引き続き山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介。監督はＴＶ版も手がけた西浦正記。本作が映画初監督作となる。
＜感想＞０８年７月に、フジテレビ系木曜２２時枠で、1stシーズンがスタートして、救命医療の理想と現実の狭間で葛藤する、藍沢たちのもがく姿を描いたドラマであった。１本のスペシャルを挟んで、翌々年１月に“月９枠”で2ndシーズンを放送。藍沢（山下智久）と父親との確執などが明らかにされ、そして１７年、3ndシーズンでは救命の最前線で活躍する藍沢たち５人と、４人のフェローたちが織りなす人間模様が映し出された。
そして、劇場版では地下鉄トンネル崩落事故から３か月。翔陽大学附属北部病院救命救急センターで救命に従事する藍沢（山下智久）を始めフェロー時代から10年間を一緒に過ごしてきた５人の仲間たちには、別れをも意味する旅立ちの時が迫っていた。
トロント医科大学に移る藍沢を始めとし、白石恵（新垣結衣）はフライトドクターとしてまい進していく。
緋山（戸田恵梨香）は、周産期医療センターへの異動が目前に控えており、朝から恋人の元料理人の緒方と喧嘩したまま職場にいました。
藤川一男（浅利陽介）と冴島はるか（比嘉愛未）は、結婚式を間近に控えていた。
そんな中、乱気流に巻き込まれて負傷者を出した旅客機が、成田空港に舞い戻る。そこにはちょうど日本に帰ってきた藍沢が居合わせ、先行して手当てを進めていました。乱気流に巻き込まれた負傷者の中には、富澤未知という女性がいて負傷は軽いものだったが、彼女は末期のスキルス性胃がんに犯されていた。そこへ婚約者の彰生が現れ、彼女の傍に寄り添いたいと言う。
一度は病に倒れた彼女のもとを去った彼氏でしたが、二人ともまだ愛が残っており、彼氏は彼女との結婚を望みます。しかし、結婚式場は１か月先にしか取れず、そこまでは彼女の命が持たないことを知った冴島が、自分たちの結婚式場を彼女たちにプレゼントするのですね。藤川はしぶしぶ承知したものの、冴島の言い分も聞かないわけにはいかない。そして、一度は取りやめになった未知と彰生の結婚式が行われることになるも、指輪交換をした直後に吐血して、救命センターに逆戻りとなります。間に合わなかったのかと心配したセンターの一同は、未知の左手薬指に指輪がはめられていることに気が付きます。ですが、命の灯が消えかかることになるとは。
それに、新たに海ほたるに客船が衝突する事故が発生。藍沢たちが現場へと急行して負傷者の処置にあたるが、思いもよらない事態が待ち受けていたのです。
フェリーの車両甲板の事故現場では、この映画のなかでの最高の見せ場でもある緊急オペシーンが始まる。衝突の影響で、積まれていた鉄パイプが乗用車の助手席にいた男の腹部を貫通、乗っている車に串刺しのような状態になってしまった患者を救うため、藍沢や白石らができる限りのあらゆる手段を尽くしていく、という下り。
乗用車の助手席という非常に狭いスペースでの緊急オペのため、現場の空気も張り詰め、観ている観客も息を呑みます。傍にいる息子と思われる男が、父親は「いつ死んでもいい、と言っていた」なんて馬鹿なことを言う。一生懸命に命を助けようとする救命医たちに失礼だろうと、怒りが込み上げてきた。
腹に刺さった鉄パイプを、電気カッターで切断しようと試みるも、車の下にはオイルが漏れていつショートしてもおかしくない。パイプの切断が出来ないと判れば、ここでパイプを腹の中から取り出すしかないと。
幾度となく修羅場をくぐってきた藍沢たちは、白石による頼もしい会話が交わされる芝居に、思わず唸らされた。時間がない短い間に次のオペが始まる。腹を裂き、鉄パイプを抜いた瞬間の手際よさに、瞬く間に患者は車の外へ運び出されて、ヘリポートへと急ぐのだった。
そして、外では海へ転落したと思われる男性の遺体が浮かんでいたのを発見する。順位に名札を付けて、てきぱきとこなしていくフライトドクターや後輩フェローたちの仕事ぶりも見どころの一つですよね。
そんな中、再びフェリー船内に戻った藍沢は漏電を発見する。薄暗い階段を下りて来る白石、雪村をかばって二人を突き飛ばし、藍沢が感電してしまい、階段の中断から数メートル下の水の中へと落下してしまいます。
すぐに藍沢を助けて救命措置をとるも、意識が回復せず藍沢の負傷は重く、呼吸レベルも安定していませんでした。ヘリで急きょ病院へ搬送されるも、容態は微妙であります。
それに、病院内では救急車が入り、頭に包丁が刺さっておりアル中患者の母親、かたせ梨乃が運び込まれる。親子の縁を切っていた娘はドクターヘリ緊急救命の看護師であります。手に負えない我儘な母親に、手こずる娘の辛さを身に染みて見守ります。この母親は、アル中患者であり、精神的にも不安定でそういう専門の病院へ入院させるべきですね。
そして、１４歳の男の子の脳死状態の話、息子が亡くなる前に、自分の身体の臓器もろもろを提供するという意志の書類を書いていたこと。知らなかった両親が、息子の意志を尊重するか、そのまま遺体を解剖せずに葬るかを迷う話もあります。
最後には、やっと藤川と冴島の結婚式が、病院の中庭で急きょ行われることになるのも良かった。その中には、無事危機的状況から生還した藍沢がいたことを、嬉しい悲鳴が上がると共に、またみんな活躍することを祈ります。
２０１８年劇場鑑賞作品・・・１４９
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