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猫は抱くもの★★★

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大山淳子の同名連作短編集を「グーグーだって猫である」「ゼロの焦点」の犬童一心監督、沢尻エリカと吉沢亮の主演で映画化。元アイドルのこじらせアラサー女子と自分を人間だと思い込んでいる猫の恋の行方を舞台劇やアニメーションを織り交ぜハートウォーミングに綴る。共演は峯田和伸、コムアイ、岩松了。

あらすじ:元アイドルで今はスーパーで働く妄想好きのアラサー女子、沙織。思い通りにならない人生に、すっかりこじらせてしまった彼女が唯一心を開くのは、ロシアンブルーの猫・良男だけ。毎日、沙織の妄想混じりの話を聞かされていた良男は、いつしか自分を彼女の人間の恋人と思い込むように。そんなある日、沙織はゴッホと呼ばれる売れない画家の後藤保と出会い、心惹かれていく一方、良男のほうはひょんなことから外の世界に飛び出して迷子になってしまうのだったが…。

<感想>物語は、元アイドルで歌手の夢を諦め、今はスーパーで働く沙織・沢尻エリカは、思い通りの自分になれなくて、いつしか投げやりな生き方に慣れてしまっていた。そんな彼女が心を開くのは、こっそりとスーパーの倉庫で飼っている、ロシアンブルーの猫・良男。沢尻エリカと吉沢亮の主演で映画化。

一日ので小言を妄想を交えつつ良男に話て聞かせる沙織。彼女の心に寄り添ううちに、良男は自分が沙織の人間の恋人で、彼女を守れるのは自分だけと思い込んでしまう。現実離れした物語の展開と、ファンタジーふうになっている構成が良かったです。

そんなある日のこと、沙織の前にゴッホと呼ばれる売れない画家・後藤保が現れる。通称ゴッホには峯田和伸が扮しており、良男は沙織のゴッホに対する変化を目の当たりにする。そして、ある晩のこと、良男は沙織を守るべく、外の世界に飛びだすが迷子になってしまう。と言うか、川に流されてしまう。

ゴッホは個性的な画家で、現実離れしていながら、世界を全部知っている空気感が纏う“スナフキン”のような人でした。部屋にある絵は、黄色の絵ばかりを描いており、全部中途半端な未完成の作品ばかり。つまり、ゴッホも三毛猫の“キイロちゃん”という猫を飼っていた。それがモデルでもあるようだ。

劇中では沙織の妄想が炸裂しており、未だにアイドルだったことが忘れられなくて、歌うことが大好きだったのですが、それが形にならず田舎で働いているんです。まだ歌いたいと思っていても行動に移せず、現実逃避として妄想をしている。未練や果たせなかったことが妄想として残る気持ちはすごく分かりますね。誰もが経験したことのある葛藤が描かれています。

そうそう、猫好きな方たちにはちょっとがっかりなこともあります。それは、猫を人間が演じているので、猫カフェみたいなことを想像していたら、飛んでもないことになっていた。それは、劇場の客席を「橋の上」と河原にして、野良猫たちの個性豊かなドラマが描かれているから。別に猫のかぶりものとかはしてません。

確かに、主人公の内面をどう表現したらいいのかと、犬童監督は迷ったのではないかしら。だから、演劇のように舞台装置で撮影されたシーンが登場したり、何でもCGでリアルに表現できる時代なのに、逆にアナログ、手作り感が溢れているのに驚かされた。

主人公の沙織は、売れない画家のゴッホと心を通わせるのだが、それも現実なのか妄想なのか分かりません。でも、ラストで彼女が喫茶店で見た自分の“裸婦像”は本物のようで、ゴッホが描いてくれたものが飾ってあった。

沢尻さんの映画は久しぶりだったので、新鮮に映りました。アイドル歌手時代の回想ほか、本人が歌っている歌唱シーンもあるので彼女のファンなら必見でしょう。エリカさんの、可愛いらしいミニスカートの水色ワンピースが良く似合っていましたね。

最近では、劇中にアニメーション技術を導入した実写映画が多くなっているが、「恋は雨上がりのように」でも、劇中で教科書に落書きされていたパラパラ漫画が、エンドタイトルでアニメ表現されていた。それに、本作品に於いては、アニメももちろんのこと、舞台劇も導入されていているから、尚更複雑極まりない。

川の橋の下で暮らしているノラ猫たち、良男とキイロちゃんがそこに留まって暫くの間生活をするのも舞台劇。沙織が働いているスーパーも舞台劇だし、ゴッホが沙織に対して放つ独白のようなセリフは凄く印象的でした。

この沙織もゴッホも、やりたいことがあるのに、すごくもがいている途中ですよね。この二人のように、手が届きそうで届かないジレンマがある時に、沙織が突然、全裸になり自分をゴッホに描いてくれと。今まで画家として本気で描いたことがないゴッホが、全裸の沙織に心を動かされて必死に描き続ける姿は良かった。その全裸の油絵は、喫茶店の2階の壁に飾られていた。

沙織にも、昔のプロデューサーから依頼があり、TV番組に出て見ないかという嬉しい仕事が入って来る。だが、それは、昔のようなアイドルの仕事ではなく、お笑いのタレントとして扱われる仕事でした。カラオケで歌の練習を必死にしていた沙織。歌手になることが夢だったのに、それはかなりショックを受けたようです。そう簡単には、昔のように歌手として蘇ることは出来ないことを実感する沙織。でも、そこに良男が帰って来て、抱きしめてやる沙織の嬉しそうな顔が素敵でしたね。

人気推理小説「猫弁」シリーズを手掛けている作家・大山淳子原作。美しい川が流れる東京郊外の町を舞台に、足を滑らせて川に落ち、流されてしまった飼い猫の良男が、飼い主の沙織に会いたい一心で、足を引きずりながらも歩き続ける物語全5話を収めた、猫と人間の絆を描く切なくも温かい作品でした。

2018年劇場鑑賞作品・・・128アクション・アドベンチャーランキング

 

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