公道で繰り広げられる過酷な自動車レース“ラリー”を舞台に贈るカー・アクション・ムービー。ドライバーとメカニックとして世界を目指す兄弟の葛藤と絆を迫力のカー・アクションとともに描く。主演は「聖の青春」の東出昌大と「ちはやふる」の新田真剣佑、共演に森川葵、北村匠海、吉田鋼太郎。監督は「海猿」シリーズ、「暗殺教室」の羽住英一郎。
あらすじ:世界最高峰のラリー競技“WRC(世界ラリー選手権)”の登竜門となる国内トップリーグカテゴリーSCRS。そこでは若き才能たちがコンマ1秒を巡って熾烈な極限のバトルを繰り広げていた。スピカレーシングファクトリーの天才ドライバー、檜山直純は勝ち気にはやって無謀な走りを繰り返す。一方、兄の檜山篤洋は真面目で仲間からの信頼も厚いチーフメカニック兼エンジニア。そんな2人はレースのたびに衝突を繰り返し、いつしかチーム内にも険悪なムードが漂い始める。そこへある日、直純の新たなエージェントとして、ラリー競技はずぶの素人の遠藤ひかるがチームに加わるのだったが…。
<感想>「海猿」シリーズで極限状態の海難救助を描いた羽住英一郎監督が、今度は自動車競技“ラリー”で速さの限界に挑む男たちを映し出している。主人公の東出昌大と新田真剣佑が、速さの追求のために衝突しながらも絆で結ばれた兄弟を演じている。
レーシングチーム・スピカレーシングファクトリーの司令塔とも言うべき、チーフメカニックの兄の檜山篤洋を演じている東出昌大。すごくマシンオタクなんですが、何故にそうなったかは自分自身が気づいていない。彼は現状の仕事にやりがいを感じている。29歳というある程度キャリアを積んだ身として多少の窮屈感も覚えている。映画の中では本人の成長とともに、何故に彼がマシンを好きになったのかという、部分も明かされていきます。
ラリーの世界には本気で男たちが、自分のすべてを懸ける世界があって、その熱量は本当に素晴らしいと思いましたね。使用されている車は、トヨタ・ヴィッツ(ヤリス)で1600CCながら380馬力。カラフルにコーティングされた車体が、目に爽やかな青色で素敵でした。山道の凸凹道や泥んこ道を走行するので、あっという間に青色の車が汚い色になっていた。それだけ、運転技術に技巧がいることを知る。
東出は、まず車のパーツや工具の名前を覚えることから始めて、長い時間をかけてメカニックの技術を身につけたと言う。メカニックを演じるみんなで、車をバラしていくという練習も何度もやった。自然に行動が出来るようにしていこう。という意気込みで取り組んでいく。
ラリーに関してはドライバーの方が危険なのはもちろんなので、メカニックもネジ1本締め忘れたらドライバーの命に関わるので、仕事に心血を注いでいる“車バカ”なんだというのだ。
そして、天才ドライバー檜山直純を演じた新田真剣佑は、体を鍛えて筋肉まんみたいに、上半身を見せるシーンがよくあった。彼はラリーに関するいろんな資料を読み、ルールやどんなレースでも、「1分1秒を争う」と言うことを言いますが、ラリーというモータースポーツは、本当にコンマ1秒まで争う過酷なスポーツだと知ったと言う。直純は誰よりも勝ことに熱心で、とにかく一番速くなりたいと思っている。
だから兄貴の篤洋とは対立するし、彼は過去に起きたある出来事を、今も背負っていて、でも自分の夢を叶えるため、そしてある人との約束を果たすために前に進んでいく男なんですね。映画の中では、観ていて胸が熱くなるような速さの限界を見せつけられます。
またライバルである新海には、北村匠海が扮しており、ふたりがプライドを賭けて戦います。新海は寡黙な役なんですけど、野性的な直純との対比ともいう意味で、ライバルが新田真剣佑で良かったと思いますね。新海のバックグラウンドや生い立ちを考えると、新海彰は代々、車に関わって来た家庭で、英才教育が凄くて、車のことしか頭にない男なんだと思えた。ただ、飄々とはしているが、中身はものすごく熱い男だと。酔っぱらって寝ている直純と新海がパーティで乱闘を繰り広げるシーンも、迫力がありましたね。
その後、兄貴の篤洋が車から降りてきた弟の直純と口論をする。危険に攻めすぎた走りをする弟を、冷静に叱る篤洋に、「俺は俺の走りをする」と反抗する直純の天才レーサーらしい生意気ぶりが、対照的な兄弟を表していて面白い。
そこに、素行の悪い直純のマネージメントとして、森川葵扮する遠藤ひかるが近づこうとして、メカニック班に「作業の邪魔だ」と言われ突き飛ばされる場面もある。まさにラリーのテントの中では、ちょっとした戦場のような雰囲気が出ているのが判る。
途中で少年時代の檜山兄弟が、自転車で山頂からふもとまでを競うシーンが織り込まれているのも感慨深い。公道を全開走行で駆け抜ける、最も過酷な自動車競技“ラリー”。その最高峰WRC(世界ラリー選手権)への出場を目指す、決して諦めない男たちの熱き闘いと絆を、「海猿」シリーズの羽住英一郎監督が描く。
チームで一緒に速さを求めていくので、メカニックとドライバーの間には、アツい友情が芽生えて来るし、一方では互いを認め合うからこそ、意見の衝突や闘いがあるのだ。モータースポーツとは非常に魅力的なスポーツでもある。
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「映画に夢中」
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