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タクシー運転手 ~約束は海を越えて~★★★・8

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1980年5月に韓国で起きた歴史的な民主化運動での悲劇“光州事件”を背景に、厳しい取材規制の中で現地入りしたドイツ人記者と、彼を乗せることになった平凡なタクシー運転手の知られざる真実の物語を描いた感動ドラマ。主演は「殺人の追憶」「密偵」のソン・ガンホと「戦場のピアニスト」「ワルキューレ」のトーマス・クレッチマン。共演にユ・ヘジン、リュ・ジュンヨル。監督は「義兄弟 SECRET REUNION」「高地戦」のチャン・フン。

あらすじ:1980年、韓国のソウル。妻に先立たれ、幼い娘を抱えて経済的に余裕のない毎日を送る陽気なタクシー運転手のキム・マンソプ。その頃、光州では学生を中心に激しい民主化デモが発生していたが、戒厳令下で厳しい言論規制の中にいるマンソプには詳しい事情など知る由もなかった。そんな中、ドイツ・メディアの東京特派員ピーターが光州での極秘取材を敢行すべく韓国入りする。英語もろくに分からないマンソプだったが、“通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う”というピーターの言葉に二つ返事で引き受ける。こうして現地の深刻さに気づかぬまま、ピーターを乗せて意気揚々と光州へ向かうマンソプだったが…。

<感想>以前に「光州5・18」を観ました。光州事件は1980年5月18日、軍事独裁政権の復活を警戒した市民らが光州市内で10日間にわたり民主化を訴える大規模なデモなどを行い、空挺部隊が市民への発砲や暴行を行った事件。「5.18記念財団」に認定された死者は154人、行方不明者は70人、負傷者は1628人に上る。当時は報道規制が敷かれていたため、事件の真相は長く明らかにならなかったが、実情を世界に伝えるためドイツ人記者の故ユルゲン・ヒンツペーター氏が、タクシー運転手の故キム・サボク氏と光州に乗り込んだ。

私の大好きなソン・ガンホ主演であり、小市民の生活を朗らかに描くことで、彼らの目の前で起きている「光州事件」の残酷さを炙り出していた。冒頭での朝に、家の外に出て「今日はいい天気だ」と言い、「またいつか」と笑顔で別れの挨拶を交わすありふれた光景。そして、チョー・ヨンピルのヒット曲である「おかっぱ顔」で始まります。

それに娘とのエピソードをふまえつつ遺体に靴を履かせる時の主人公の優しさに、正義感に胸が痛くなります。もちろん、娘の土産に赤いリボンの付いた靴を買って、心がソウルへと焦ります。

監督のチャン・フンは、キム・ギドク組の助監督出身とは思えないほど、徹底的なエンターテイナーであります。テーマが北朝鮮であろうが、光州事件だろうと、スリルあり、笑いがありに仕立て上げていたのに感心しました。

光州事件を深刻に語らずに、笑いとハラハラの味付けで見せたこの脚本と演出。そうなると主役のソン・ガンホはまさに敵役であり熱演でした。政治などには無関心のこの運転手が、次第に事件に巻き込まれていき、最後には光州に引き返すかどうか迷ってしまう。

というのも、ドイツ人の東京特派員ピーターが光州での極秘取材をすると言うのを聞き込み、家賃も滞っている彼は、チャンスとばかりに英語も話せないのに気楽に光州まで乗せていく。途中の検問で通行止めをくらい、何やら不穏な空気を感じるのだが、村人に山間の回り道を聴いて無事に光州まで着くのだが。

そこで、事件に巻き込まれて、光州は軍部による庶民の弾圧が度を越した状態で、まるで戦場のようになっていた。ソウルで聞いているニュースの報道とのあまりの落差に驚く運転手。

ピーターらと行動を共にし、私服軍人に命を狙われながらも、現実を目の当たりにしたのだが、やはりソウルに残してきた娘が気になり、光州を後にしようとする。光州のタクシー運転手には「コンフィデンシャル 共助」のユ・ヘジンが、通訳を引き受けた歌手志望の学生にリュ・ジュンヨルが演じている。

ひょんなハプニングから1晩過ごすことになった光州のタクシー運転手のユ・ヘジンの自宅での光景では、温かい雰囲気に囲まれて食事を楽しんでいるピーターや、妻に対して「客をもてなすのに、たったこれだけか!?」と食事の品数の少なさに怒るユ・ヘジン、大学の歌謡祭への出演を目指すジェシクが熱唱する姿をとらえている。

そこからが、ピーターを乗せて、軍部の執拗な追跡も仲間のタクシー運転手らに助けられソウルに着く。この軍部の車とのカーチェイスも本当にあったのかどうかは、定かではないが無事にソウルに到着した時にはホットしましたね。

ラストで、ドイツ人記者のピーターが運転手の名前を聞き書き留めるも、後でお礼の手紙を書くも、運転手の名前と住所は違っていた。

エンゴロールで、ドイツ人記者のピーター本人が出てきて、運転手を探していますというところで終わるなんて、・・・新緑の如き清々しいそれらは、凄惨な事件にまったくそぐわない運転手役のソン・ガンホに、また惚れ直してしまいました。

 

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