空海を主人公にした夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」を実写化した歴史ドラマ。7世紀の中国を舞台に、遣唐使として同国を訪れた若き日の空海が不可解な権力者連続死亡事件の真相を追う。メガホンを取るのは、『さらば、わが愛/覇王別姫(はおうべっき)』などの名匠チェン・カイコー。『ヒミズ』などの染谷将太が空海を、『黄金時代』などのホアン・シュアンが彼と一緒に事件に挑む詩人・白楽天を演じる。日中の俳優陣の顔合わせに加え、湖北省襄陽市に建てられた唐の都のセットにも注目。
あらすじ:7世紀、唐の時代の中国。若き日の空海(染谷将太)は、遣唐使として日本から唐へ向かう。密教の全てを会得しようという決意に燃える中、ひょんなことから詩人の白楽天(ホアン・シュアン)と出会う。交流を重ねていく一方、権力者が連続して命を落とす不可解な事件が唐の都で起きていた。その真相に迫ろうとする空海と白楽天だが、二人の前に歴史が生み出した巨大な謎が立ちはだかる。
<感想>弘法大師としても知られる真言宗の開祖・空海が、遣唐使として中国に渡った若き日の姿を描く日中合作の歴史スペクタクル大作。ですが、パンフを見て空海の伝記ものと勘違いしてしまう。僧侶と詩人という不思議な取り合わせの青年が唐王朝の歴史に隠された謎に立ち向かう絢爛豪華な歴史ファンタジーとなってた。
それが実は、楊貴妃と「長安の化け猫騒動」のナゾ解きでした。空海の染谷将太は、中国語を猛特訓してセリフは中国語で演じていたのに、吹き替え版しかなかったのが残念でした。染谷将太の若き空海は、超人的な部分とお茶目な部分がバランスよく演じていて、相棒の白楽天のホアン・シュアンもイケメンな青年であり、この映画の中での空海は必ずしも自ら望んで唐に来たわけでもないし、まだ無名の僧侶に過ぎない。白楽天も決して有名な詩人ではないのだ。
2人の若者が謎解きを通して、人生で最も大事なことを見つけていくという。日中の若手俳優が演じる僧侶と詩人のバディが生き生きとしていて可愛らしい。特に染谷将太が頭の毛を剃って可愛らしいく、空海の超人的な部分とお茶目な部分をバランスよく演じていたと思います。
名匠チェン・カイコー監督が、6年がかりで建築した長安の広大なセットに度肝を抜かれ、エキゾチックな中国の長安や妓楼など、シルク・ド・ソレイユばりの現代風な宴に、楊貴妃の空中ブランコなど。そして金ぴか、真っ赤な贅を凝らした衣装や美術などと絢爛豪華に目が疲れた。
やはり全篇、CGやVFXを使ったファンタジー要素の強い映像になっていて、娯楽性の強い作品になっていた。
この映画の中で描かれている玄宗皇帝と楊貴妃の関係も、人間には裏と表や裏切りがあるのが普通であると考え、白龍たち少年だけがそれを罪悪だと訴え、国のために楊貴妃を殺さなければならなくなり、楊貴妃には首に針を打ち、薬で眠らせて死んだように見せかけるというはずだった。
それが、石棺の中に入れられ埋葬された楊貴妃、皇帝が妖術使いに頼み、楊貴妃を後で生き返らせるという話はなかったということに。生きて石棺の中で苦しみ、息絶えてしまう。
それに兄弟のように育てられた幻術使いの2人の青年、白龍と丹龍。彼らは空中を飛翔し自在に変身する幻術を教えられた。この2人が楊貴妃が落としたかんざしを手にしたことがきっかけとなり、天下の美女と言葉を交わし、生涯の情熱を楊貴妃のために捧げようと誓う。白龍が黒猫に乗り移り、丹龍は別の道を選ぶ。2人が楊貴妃の死後を付き添って見守っているという物語でもある。途中で、スイカ売りの幻術使いが出て来るが、もしかして彼は丹龍だったのではないのか?謎が残る。
玄宗皇帝が楊貴妃を溺愛したあまり「安史の乱」を引き起こしたとされることから、「傾国の美女」ともいわれる。確かに皇帝の寵愛を受けて、とても幸せだったと思いますが、同時に気の毒な女性とも言えます。
というのも、「一つの王朝の栄枯盛衰を、一人の女性が左右するわけがない」と考えるからであり、楊貴妃が、皇帝の寵愛を一身に受けて、とても大事にされたのに、国が滅びかけると、その罪をたった一人で背負わされてしまったのですから、何だか楊貴妃に同情してしまう。楊貴妃と言えば、“世界三大の美女“と言われるだけあって、楊貴妃役のチャン・ロンロンが本当に美しくて、これでは男たちが放っておかないですよ。
その中でも楊貴妃に恋していたのは、皇帝だけではなく、日本からきた阿倍仲麻呂の阿部寛が、楊貴妃に見とれて愛を囁くのに近づくシーンもある。それに、側近の李白といい、おデブの安禄山までもが楊貴妃の虜になってしまうのだから。
仲麻呂の妻に松坂慶子が扮していたが、ほんのちょっとの出番。
序盤は、楊貴妃と玄宗皇帝に飼われていた黒猫・妖術を使う黒猫に引っ掻き回されます。どうやら楊貴妃の死に関して、恨みある人たちを祟ってたらしいですね。空海はそこでは名探偵であり、彼の鋭敏な頭脳と、達観した世界観のもとに、それまで語ることができなかった歴史の真実が解き明かされていくというのが、この作品の仕組みでもある。
幻術使いが虎や鶴に変身し宙を舞うなど、エキゾチックでファンタスティックであり、魔術的な幻惑の魅力に満ちた作品であり、最後まで夢を見ているようなそんな幻覚も感じました。
2018年劇場鑑賞作品・・・35アクション・アドベンチャーランキング
「映画に夢中」
トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ
トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/29613186