「ぼっちゃん」「さよなら渓谷」の大森立嗣監督が「まほろ駅前」シリーズに続いて三浦しをんのベストセラー小説を映画化したバイオレンス・ドラマ。幼なじみとの突然の再会で消滅したはずの過去の罪が蘇り、再び暴力と狂気が目覚めていく男の運命を描く。主演は井浦新と瑛太。共演に長谷川京子、橋本マナミ。
あらすじ:東京の離島、美浜島。中学生の信之は同級生の美花と付き合っていた。父親から激しい虐待を受けていた小学生の輔は信之を慕い、いつも彼の後をついていた。ある夜、信之は神社の境内で美花が男に犯されている姿を目撃する。激高し、美花を救うために男を殺してしまう信之。その後、島は津波に襲われ、信之の罪も消し去られたかに思われた。25年後、信之は結婚し、一人娘にも恵まれ、穏やかな生活を送っていた。一方、美花は過去を捨て、華やかな芸能界で活躍していた。そんなある日、25年前の秘密を知る輔が信之の前に現われるのだったが…。
<感想>とにかく轟音で鳴り響く大音量のBGMにげんなりして意気消沈、いいのか悪いのか意見が分かれると思います。私には合わない作品でしたね。とにかく子供のころから仲の良かった兄弟のような関係の二人。そんな子供の頃でも好きな女の子・美花がいて、その女の子から「助けて」と言われ、大人の男に暴行されているとばかり思っていたのだが、その大人の男が言うには、彼女がOKサインを出して付いて来たと言うのだ。
それでも、年上の兄と慕っている信之に付いていき、一部始終を見ていた人殺しを。それから25年が経ち、みな違う道を歩き、ふと25年ぶりに出会う場面の表情の違い。その違いに、島での幼少の頃の懐かしい関係が現れている。
慕う者と慕われる者。その非対称の関係は持続しており、そんな彼らの上には、「殺して」と呟く不感症の少女美花がいる。現在は女優として成功して、美人の長谷川京子が演じている。
何気ない日常が抱える虚無。そこに暴力が噴出する。暴力と言えば、弟分の輔の父親を演じる平田満の足蹴りも凄まじいのだ。幼い頃、輔が父親に殴る蹴るをされ傷だらけの身体でいるのを、兄と慕われている信之は見て見ぬふりをする。助けてと言わないからだと言うのだが、どうみても好きな女の美花だけしか目に入ってないように見えた。
だから、結婚して娘がいるも、夜泣きする赤ん坊に知らんぷりする父親、母親の方は、そんな父親にゲンナリして返って娘を叱り飛ばし虐待してしまう。そんな妻が、弟分の輔の女になっていることは気づいていても知らん顔なのだ。つまりは、女は美花以外は目に入らないという感じなのだ。
最後が凄まじかった。弟分の輔の父親が訪ねて来て金をせびり、居座ってしまうのだ。輔は兄貴分の信之に相談するも、「助けてくれ、殺してくれ」と頼むなら殺してやると言うのだが、断ってしまう。それで、毎日のようにうんざりする日が続き、次第に父親が病気で死んでしまうのにホットする輔。葬式を質素に上げて弔ってやる親孝行のところがあるのに感心した。
だが、信之の方は自分の妻を輔に寝取られて怒っているのかと思えば、そうでもない。しかし、結局は許さないのだろう。輔を殺してしまうラストが目に余る。しゃべるで殴られ血が滴り落ちて、笑っているような、泣いているような顔の輔。殺されるのが分かっていたのだろう。観念して死んでゆく男。
その後は、美花とベットを共にするも、「私不感症なの」と言われ、男として馬鹿にされたような、人殺しまでして美花を守ったのに、信之のプライドがズタズタにブチ切れたように見えた。
とにかく、島の菩提樹なのか大木の木々の中から指す陽の光、朧げな淡い陽の光が差し込み、どうみても信之の心の闇と、そこにおどろおどろしく大音量が耳ざわりのように鳴り響き、何を「光」とタイトルにしているのかが理解できなかった。
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