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パーティで女の子に話しかけるには★★★・8

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人気作家ニール・ゲイマンの同名短編を「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」「ラビット・ホール」のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が映画化した異色のSF青春ロマンス。1970年代のロンドン郊外を舞台に、冴えないパンク少年がパーティで出会った異星人の美少女相手に繰り広げる奇妙で甘酸っぱくて切ない恋の行方を描く。主演は「マレフィセント」「ネオン・デーモン」のエル・ファニングと、トニー賞主演男優賞を最年少で受賞した注目の若手アレックス・シャープ。共演にニコール・キッドマン。

あらすじ:1977年、ロンドン郊外。パンクが大好きなのに自分は内気で鬱屈した毎日を送る高校生エン。ある日、ライブの帰りに不思議なパーティに迷い込んだ彼は、そこで美少女のザンと出会う。規則だらけの生活にうんざりしていた彼女はエンが語るパンクに興味を持ち、パーティを抜け出し、エンと一緒に街へ繰り出す。そんな彼女の正体は、遠い惑星からやって来た異星人だった。そして彼女が地球にいられる時間は残りわずか48時間だったが…。

<感想>パンクロックが人気を得ていた77年のロンドンが舞台で、なんとも不思議な味わいのあるラブストーリーになっている。異色アニメの「コロラウンとボタンの魔女」の原作者として知られるSF作家、ニール・ゲイマンの短編集「壊れやすいもの」の中の1篇が基になっているが、原作が余りにも短いために、映画用に話をふくらませていったという。

内気な青年がパーティで無垢な女の子、ザンと出会って恋に落ちるが、彼女は地球の人間ではなかった。ザンは宇宙からやって来た少女(エイリアン)で、これまで自分の外見を変えながら生きてきた。

そして地球で初めて人間になってパンクの音楽にふれる。「パンクって何なの?」と質問した彼女に、マイナークラブのボス的なボディシーア(ニコール・キッドマン)が「それはブルースの終わりなの」と答える。

彼女に言わせるとブルースとはロックンロールのことで、その全盛期はもう過ぎてしまった。今度はパンクが出てきたが、そんなパンクも一時的なものと考えていたようだ。

そんな刹那な音楽とカラフルな色彩のファンタジー感覚を融合させることで、この監督らしいポップなセンスの映画になっている。前作の「ラビット・ホール」では、交通事故を起こした高校生の青年が、漫画を描いていたが、この作品の中での高校生のエンも漫画が得意という設定であり、ザンもそんな彼の絵に興味を持つ。

この作品もスィートなラブストーリーなのに、そこに死の影や切なさが入っている。地球にいられる時間が48時間だけの異星人ザンと、地球の青年エンとの、ちょっと切ない物語にはデイヴィット・ボウイが宇宙人を演じた70年代後半の異色SF「地球に落ちてきた男」に通じる奇妙なテイストと悲哀感も入っているが、70年代という時代に関しては、ロンドンではパンクは凄い規模で広がりやがては廃れた。そんな時代の象徴にはセックス・ピストルズとナンシー・スパンゲルのことをセリフに書き、これは77年イギリスのパンクロックを正面から取り上げ、選曲、ファッション、風景、アニメに至るまで、好きな人にはたまらない部分があり、ごったに詰め込まれた作品でもある。

エイリアンのザンと地球人のエンが、クラブでパンク風の曲を歌うシーンでは、特に印象的でありこの監督らしい臨場感があった。クラブではエル・ファニング自身が歌をこなしているというから凄い。

また、シックなのにかわいいザンのファッションには、ツイードコートや主人公たちの恋を応援するパンクの女王、ニコール・キッドマンの黒を基調とした奇抜なコスチュームにもインパクトがあった。その他、エイリアンたちが来ている7色の衣装もカラフルで素敵でした。

そして、異星人仲間のコントのような奇抜な集団行動など、冷静に観れば独りよがりにみえる演出もなくはない。

この映画の大きな原動力となっているのが、パンクの時代に迷い込んだ異星人のザンを演じるエル・ファニングの圧倒的な存在感だ。ここでは恋愛だけではなく、妊娠して親になることの責任感やリーダーシップモ描いている。彼女のキラキラするような恋と喜びだけでなく、それを経験した後の芯の強さも見せているのだ。

確かに観るものの期待をいい方向で裏切ることが快感なのだと確信する。エル・ファニングを主演にして、スィートなタイトルをそのままにしながら、マイペースで豪快そのものであり、言ってみればパンクの精神を込めて異色間のボーイ・ミーツ・ガールを奏でているように思えた。

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