「17歳の肖像」「ワン・デイ 23年のラブストーリー」のロネ・シェルフィグ監督が、第二次世界大戦下のロンドンを舞台に、幾多の困難を乗り越え、国民に勇気を与える映画の完成に執念を燃やす一人の素人女性脚本家と個性豊かな映画人が織りなす愛と情熱の物語を描いた戦時ラブ・コメディ。主演は「ボヴァリー夫人とパン屋」のジェマ・アータートンと「世界一キライなあなたに」のサム・クラフリン。共演にビル・ナイ。
あらすじ:1940年、第二次世界大戦下のロンドン。ドイツ軍の空爆が続く中、政府は国民を鼓舞するプロパガンダ映画の製作に力を入れていた。その一方、映画界は度重なる徴兵で人手不足。ある日、コピーライターの秘書をしていたカトリンが、いきなり新作映画の脚本家に大抜擢される。内容はダンケルクの撤退作戦でイギリス兵の救出に尽力した双子の姉妹の活躍を描く物語。戸惑いつつも、自分をスカウトした情報省映画局の特別顧問バックリーらと協力して初めての脚本執筆に挑むカトリン。しかしそんな彼女の前には、無理難題を押し付ける政府側のプレッシャーや、わがまま放題のベテラン役者など、いくつもの困難が待ち受けていたのだったが…。
<感想>17年の11月に公開されたのに、東北ではやっと1月に上映されました。映画製作現場を舞台にした作品には面白いものが多いが、この映画も優秀だった。第二次世界大戦時のロンドン。プロパガンダ映画の脚本家にスカウトされたコピーライターの女性の奮闘が描かれていた。
それも「ダンケルク」を題材にした戦意高揚映画づくりというのがとてもいい着想であり、脚本家と情報省との攻防戦には苦笑されっぱなしであった。
新人女性ライターを主役にして、先輩や老優が映画界に導いていく構成も巧い。主人公の主人公女性ライターのカトリンには、「007 慰めの報酬」でボンドガールを演じたジェマ・アータートンが演じていて、彼女の存在感も魅力の一つであり、情報省映画局の特別顧問バックリーには、サム・クラフリンと美男美女が揃いぶみ。そして老優アンブローズにはビル・ナイが脇を固める。
それに、カトリンの恋人には「高慢と偏見とゾンビ」のジャック・ヒューストンが扮しており、中々の二枚目であるが、ヒモ的存在になっているのが惜しい。
彼女が映画の仕事で忙しく、彼が仕事のために引っ越しをするというのに、一緒に付いて行けず、休みが取れて彼の家に行くと、別の女性とベッドを共にしていたのを見てがっかりする。
今年鑑賞した「ダンケルク」では、ドイツ軍の包囲から兵士を救出するためイギリス国民が、船をだして英国兵隊40万人を救出に行くという物語。救出の船の中がメインの撮影で、スクリューに絡まったものを取るビル・ナイが海の中へ潜るというシーンもある。他にもビル・ナイが歌うシーンもあります。
それが、戦争で疲弊した国民を勇気づけるための映画だったが、製作が開始され、ベテラン俳優のわがままや、政府と軍による検閲や横やりなどトラブルが続出。ですので、そのたびにカトリンたちの脚本は二転三転してしまうのである。なんとか撮影は大詰めを迎えるが、最後に最大級のトラブルが待ち受けていた。
女性ライターの視点で描かれている部分もあり、船を出す民間人の中には、美人の双子姉妹の感動秘話もあり、カトリンが双子姉妹に出演を受諾させる場面もある。
事実を基にした物語の映画化は、そのまま描いてもダメで、何とか作品にしなければいけないと女性は男性の相棒と、知恵を絞ってアイデアを出す。映画の中には、仕事をしている毎日の途中で空襲警報が鳴り、地下鉄に避難するカトリンたち。
脚本もアメリカに受けるために、マッチョな男優を起用する途端に、演出が冒険活劇になる押話などが入り笑える喜劇になる。それに、ヒロインは美人に、もっと大胆に、勇敢にと。その辺りの映画脚色の舞台裏が、ほのかなロマンスの匂いも交え、カトリンとバックリーの恋路が垣間見えるのも楽しいですよね。
しかし、この二人は結ばれないのですね。バックリーが撮影の機材が倒れ、その下敷きになって死んでしまうからなんです。どうしてこういう悲しい結末にしたのか分かりませんが、ここが不満なところですかね。
ですが、何よりも戦争という厳しい現実、それとは違う虚構の世界観、でもそこには救いがあり、真実が宿るという映画の本質が込められていて良かったです。映画が夢であった時代の一端だろうと思います。
2018年劇場鑑賞作品・・・3アクション・アドベンチャーランキング
トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ
トラックバックURL : http://koronnmama.exblog.jp/tb/29183184