「オーシャンズ11」シリーズのスティーヴン・ソダーバーグ監督がチャニング・テイタムとアダム・ドライヴァーを主演に迎えて贈るクライム・コメディ。NASCARのビッグ・イベントでの一攫千金を企むローガン一家が繰り広げる破天荒な強盗計画の行方をコミカルに描く。共演はライリー・キーオ、セス・マクファーレン、ケイティ・ホームズ、キャサリン・ウォーターストン、ヒラリー・スワンク、ダニエル・クレイグ。
あらすじ:運に見放されたローガン家の長男ジミー。妻には逃げられ、仕事も失い、追い詰められた彼はある大胆不敵な強盗計画に最後の望みを託す。それは全米最大のモーター・スポーツ・イベントNASCARのレース中に、地下の金庫に集められた莫大な売上金を盗み出すというもの。しかしそれを成功させるためには、弟クライドと妹メリーのほかに、どうしても爆破のプロ、ジョー・バングの協力が必要だった。そこで現在服役中のジョーを脱獄させ、強盗終了後に再び刑務所に戻すという前代未聞の作戦が決行されるのだったが…。
<感想>犯罪のスペシャリストたちが大仕事に挑む「オーシャンズ」シリーズの生みの親であるスティーヴン・ソダーバーグ監督が、4年前の監督引退宣言を撤回して、「オーシャンズ」シリーズの従兄弟版として、新たに手掛けた痛快クライム・アクション。どん底からの一発逆転を狙い、運も腕もないド素人集団が強盗団を結成する。標的はジミーのかつての職場・レース場の地下に眠る金庫。決行は全米最大のストック・カーレース開催日。その日に、一発逆転の現金強奪計画に挑むというお話。
まったくツキのない呪われた人生と決別すべく前代未聞の強盗計画をする主人公、ローガン兄弟に扮するのは、「マジック・マイク」で筋肉ムキムキダンスを披露したチャニング・テイタムと「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」で一躍躍り出た俳優のアダム・ドライヴァー。
彼らに協力をするのは伝説の爆破師役には六代目ジェームズ・ボンドことダニエル・クレイグ。服役中の伝説の凄腕爆破師、ジョー・バングであり、性格は短気でコワモテ。出来の悪い弟2人がいて、強奪計画に無理やり加入させる。
さらにはエルヴィス・プレスリーの孫娘ライリー・キーオが、ジミー兄弟の末っ子妹で、車の運転が滅茶苦茶上手いときてる。オスカー女優のヒラリー・スワンクは、FBI捜査官で。それに元トム・クルーズの妻ケーティー・ホームズがジミーの元女房役で出演。
個性派キャラが集まって強盗計画、という設定は本作のソダーバーグ監督自身の「オーシャンズ」シリーズと同じだが、本作の首謀者であるローガン家の兄弟妹は盗みのプロでもないし、ジミーが足が悪いということだけ、炭鉱の仕事をクビになってしまう。弟はイラク戦争で片腕を失くして、バーテンとして働いている。
そして、伝説の爆破師ジョー・バングは現在服役中なので、犯行当日に彼を脱獄させて、仕事が終わったら刑務所へ戻すという作戦なのだが。ジミーの弟クライドが、わざと車をガソリンスタンドの店へ突っ込み、5か月の服役になる。一応、戦争で片腕を失くしたこともあり、楽な仕事で刑務所にいる。
そして脱獄の日に、食堂で腹痛を起こしたジョーが医務室へ運ばれ、そこでトイレへ行きたいと言い、一緒にジミーの弟のクライドがトイレに連れて行く。すると、トイレの手拭きの紙の鉄板を外して、外へと出れるようになっていた。
二人は楽々と脱獄して、妹の運転で刑務所のあるところから、サーキット場まで時速160キロで飛ばして州越えして、サーキット場の地下トンネルまで到着する。待っていたジミーと会い、トンネル中にサーキット場から金庫までのチューブが何本も通っているのを、切り取りそこへ簡単な爆弾を突っ込むというわけ。ジョーの爆弾作りは、まるでオモチャのようにビニール袋にいろんな物をぶち込んで混ぜる。それを筒の中に押し込みチューブの中へと。笑ったのが、それが戻ってきたことで、大慌てて作り直すのかと思っていると、ビニールをきつく締め過ぎたと言うのだ。もちろん、上手くいくのだが。
素人集団なだけに、華麗なる手口とはいかず、ハプニングが続出でハラハラします。けれども、意外な展開が待ち受けていて、ハラハラ・ドキドキが“おお!”に変わる瞬間が面白くて笑えるし、この計画の行方に目が離せなくなること必至ですから。
綿密に練られたサーキットの売上金強奪計画だが、その大胆さと愉快な仲間とドタバタ喜劇のような面白さは、「オーシャンズ」と同じような出来栄えで、脚本が素晴らしい。
この兄弟は、かなりアブナい性格なので、ドラマ展開は滅茶苦茶なもので、金は全部黒いゴミ袋に詰めて、トラックの荷台に。そのトラックはガソリンスタンドに止めて、警察へ電話するというもの。盗んだ金はトラックの荷台の他にも、黒いゴミ袋に詰めた札束は、いつものように埋め立て地へと。それがみんなの分け前なのだ。
もちろん、仕事が終わればジミーは娘の美人コンテストへと行き、娘が綺麗にお化粧をして「カントリー・ロード」を歌う可愛らしさに涙が出て来る。
ダニエル・クレイグのジョーと弟のクライドは、妹の車のスピード運転で刑務所へと帰る。その時間は、あっと言う間の短時間だ。誰にもバレずに刑務所に戻っている2人。その間に刑務所は、仲間たちが火事騒ぎを起こして、刑務所署長も問題を起こすと自分のクビが飛ぶので、うやむやにしてしまう。
5か月で出所する弟のクライドと、ジョーは刑期を終えて出所するという。そして、ダニエル・クレイグのジョーが、自分の取り分を貰ってないのでイライラ。すると、玄関にスコップが、それでブランコの下を掘ってみると分け前の現金があったのだ。
ジミー曰く、あんまり欲を出すと後の楽しみが無いからと、適当な金額を盗むということに。そうすると、サーキットの被害金額は、正確には教えないので、戻って来たトラックの金に、残りの被害金額は保険で清算するということになるわけ。どうみても、サーキットの方は損はしないので、さすがにジミーの考えることに、納得がいった。いや、久しぶりに、スカットするドタバタ強盗の話に笑えた。
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