世界は今日から君のもの★★★

「愛の渦」「二重生活」の門脇麦が、不器用な引きこもりのオタク女子を演じるハートフル・ドラマ。人付き合いが苦手なオタクのヒロインが、父親が探してきたバイトがきっかけで思わぬ才能を発揮し、人生が好転したことで少しずつ成長していく姿を優しく見つめる。共演は三浦貴大、比留川游、マキタスポーツ、YOU。監督は数々のＴＶドラマを手がける人気脚本家で、本作が監督２作目の尾崎将也。
あらすじ：両親が離婚して以来、父親と２人暮らしの真実は、引っ込み思案なオタク女子。引きこもり生活を送っていた彼女は自立のためにと工場でバイトを始めるが、すぐにクビになってしまい、ニート生活に逆戻り。そんな娘の将来を案じた父親が、人付き合いが苦手でも勤まると、ゲームのバグを探す“デバッカー”のバイトを見つけてくる。こうして、新たなバイトを始めた真実は、ひょんなことから製作部ディレクターの矢部遼太郎にイラストの才能を見出されるのだったが…。

＜感想＞何とも言えないがファンタジーと言うのでもなしに、つまりは引き籠り女性の話なんですがね。小学校の時に、自分がゴミ捨て場とか道端で拾ったビー玉や、瓶の欠片、古い本から破った好きな映画女優のグラビア、母親の裁縫箱から見つけた綺麗な布切れ、ボタン、とかいろんな物をビスケットの缶の中に入れて、自分の宝物として大事にしまって置いたのに。

それを母親が見つけて、捨ててしまった。そんな大事なことを、この娘は声を大にして母親に怒鳴りはしないのだ。その後のピアノを習いたいとか、私立に行きたいとかも、母親に「あんたには無理」と言い任されてしまう。
だから、その言いたいことを心の中にしまい込んでしまい、それから学校でも意地悪をされたのだと思う。友達もいないし、そのまま中学校、高校生になり、学校も登校拒否癖がつき、親も子供のことなど構ってはいられない。何故かって、両親は離婚をしてしまったからだ。

娘は、心が優しい父親に引き取られる。離婚の原因が、父親がリストラをされて無職になり、現在は喫茶店の店長をしている。父親が、そんな娘を外へ出して働かせて、自立をするようにと考えたのだろうか、それとも引き籠りから脱出させるため、、まあ、そんなことなのかもしれない。それが、運よく荷造梱包をする仕事に就くも、長続きせずに辞めてしまう。それからも、家の中に引きこもって、父親ともあまり話しが噛みあわないようだ。

そうこうしている内に、運よくPCでゲームのバグを探すバイトを見つけ、そこは何とか続いていた。そこの会社で、何気なく拾った漫画のイラストを拾うのだ。その製作部ディレクターの矢部が、手直しをしてくれと漫画家に頼むも忙しいからとそのまま。思わぬイラストの才能を見出されて、企業の求めに応じた仕事が出来るようになるのだが。その矢部には、三浦貴大が扮している。

真実の才能に目を付けたディレクターの矢部が、真実に新しくマンガを描いてくれと頼むのだが。実は、彼女は美大に行ったわけでもなく、ただ毎日マンガの本を見ては、好きな漫画を模写しているだけ。それがまぁ、上手いと言えば上手いのだが、それだけのことで、自分で発想をしてマンガを描くということは出来ない。

そのことが分るディレクターの矢部は、じゃ、好きな絵を描いてくれと頼む。それからは、スケッチブックに好きなものを描くようになる。自分流に花を散らしたり、描く人物の顔もいい。そのスケッチブックを盗まれてしまう。

その後に家には帰らずに、道で優しく声をかけてくれた綺麗なお姉さんの家に転がり込む。家賃の代わりに、掃除、洗濯、料理となんでもする真実、合間に好きな絵を描きだすのだ。
そうこうしていると、その綺麗なお姉さんは、ディレクターの矢部の元カノだったことが分って、スケッチブックも見つかって、絵も認められ、その後は個展とか絵本の押絵を描くような仕事に就けるといいよね。

彼女の挫折はあってもという物語に、主人公の真実が門脇麦なので、ただ顔がひたすら愛らしく見せるための狙いだったのでしょうね。素で演技しているような感じも取れる門脇麦さん。引きこもりの彼女の天然が結局世界を豊かにしていくからだろう。
困った母親のYOUとの対決というデリケートなテーマも含んでいるが、そいうシチュエーションにありがちないたたまれなさはない。いい加減だが、一番娘のことを理解している父親のマキタスポーツのいい加減さがいい味を出して良かった。
見ている間はご都合主義だなぁと、と思って見終わってから、それがこんな作品もあるよね。ってことなのかも。

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