『レザボア・ドッグス』などで俳優としても活躍した作家エドワード・バンカーの小説を、ニコラス・ケイジ主演で映画化。地元のギャングから誘拐の仕事を引き受けた前科者の男たちが、追い込まれていくさまを描く。監督は、『ラスト・リベンジ』でもニコラスと組んだポール・シュレイダー。主人公の仲間を『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』などのウィレム・デフォー、テレビシリーズ「ウォーキング・デッド」などのクリストファー・マシュー・クックが演じる。
あらすじ:服役を終えて出所したトロイ(ニコラス・ケイジ)は、刑務所で仲間だった薬物中毒のマット・ドッグ(ウィレム・デフォー)、巨漢のディーゼル(クリストファー・マシュー・クック)と再会。どん底人生からの一発逆転を狙う三人は、地元ギャングのボスから借金を返済しない男の赤ん坊を誘拐するという報酬75万ドルの大仕事を請け負う。しかし、予想外の展開から追われる身となってしまい、状況は泥沼化していく。
<感想>自らも服役経験があり、獄中で書いた小説で作家になったエドワード・バンカーの犯罪小説を、ニコラス・ケイジ主演で映画化となれば見ないわけにはいくまい。それに仲間2人には、ウィレム・デフォーにクリストファー・マシュー・クックが出演している。監督は、『ラスト・リベンジ』でもニコラスと組んだポール・シュレイダー演出は、冒頭からコカイン中毒のマッド・ドッグが、コカイン中毒で誰もが手を焼くキレやすい性格のウィレム・デフォーが、太った同居人の女を、ヘンタイ的に惨殺する場面をサイケデリックに映像化して見せている。そして、ギャングのボスをシュレイダー監督自身が演じているとは驚いた。
どうなることかと思わせるのだが、このハイテンションはさすがに維持できず、刑務所で知り合ったニコちゃんと巨体のクリストファー・マシュー・クックの三人組が、金儲けのために悪事を働くメインの物語となるのだが、何しろこの3人組だからアクションとかをパッパとやるわけでもなく、ダルイし何をやってんだかと。
とにかく、久しぶりのニコケイが刑務所から出てきて、ホストクラブで働くわけでもないのに、水色のスーツを新調する所なんかは、何を見せているのか意味が分からないし孫にも衣装。
デフォーさんが、死体を上まで持っていったはいいが、途端にゴミ溜めに落っこちて、オマケに血糊に足を取られてズルズル滑るというシーンが、まさに象徴的なクライムドラマになっている。
それよりも原作者エド・バンカーの人生を、反映した主人公のニコケイの人物像や、育ち方を描いて欲しかったです。タイトルの「ドッグ・イート・ドッグ」は“喰うか喰われるか”の意味だそうで、原作のヒリついた雰囲気、三度目の有罪判決で無期懲役になる“三振法”に対して抱く、前科者の不安みたいなものは薄味になっているようだ。
金欲しさに赤ん坊を誘拐するも、奥さんまで誘拐してしまい、どうするのか?・・・。デコボコ3人組の人生の一発逆転を狙った大仕事は、必然的に悪運が尽き果てて、負け犬たちがたどる運命は最初から予想がついてしまうのだが、やっぱり堕ちるところまで堕ちていくのは仕方のないこと。
面白いのが、犯罪の実行中に計画になかった招かれざる人物に出くわすと、理由もきかずにショットガンで相手の頭をぶっ放すして破壊する。何にも考えナシで能天気なヤツラの殺戮のツケは仲間全員で払うことになるわけ。常時ハイテンションな上に、随所で遊んでいるポール・シュレイダー監督の演出も快調。
笑っていたかと思えば急に笑い出すそして、怒りだすといった、まさにジャンキーな悪に扮したウィレム・デフォーが、なにかと美味しいところを去らってゆくのも、さすがの実力は俳優の演技。ですが、仲間に殺されるってことで、途中でさようならとは。
それに、もう一人のデブ巨漢男のクリストファー・マシューは、家庭持ちで取り立て屋のディーゼル役を演じているも、普段は優しいのだがキレたら怖いのに、殺されてしまうとは。結局は、ニコちゃん誘拐も失敗して、警察に逮捕とはね。
ですが、裏社会でのたうち回るしかなく、あがく度にドツボにハマル小悪党どもの、哀れみといった妙味はしっかりと描かれてはいた。それを濃縮還元した悲喜劇ふうに仕上げているのも良かった。モチーフの反復やロングショット主体の画面の連鎖も綺麗で気持ちよく、美しくも奇妙なラストシーンもバカバカしいが良かった。
手を替え品を替えて、テイラー・スウィフトに言及されるのも、意味は判らないけれど笑えるが、イマイチノリ切れなかった。最近のニコケイの映画はどれもB級映画で、情けない男ばかりを演じているので、そろそろ昔の「ロック」や「フェイス/オフ」のように切れのいいアクション映画を見せて欲しいものだ。
2017年劇場鑑賞作品・・・180アクション・アドベンチャーランキング
あらすじ:服役を終えて出所したトロイ(ニコラス・ケイジ)は、刑務所で仲間だった薬物中毒のマット・ドッグ(ウィレム・デフォー)、巨漢のディーゼル(クリストファー・マシュー・クック)と再会。どん底人生からの一発逆転を狙う三人は、地元ギャングのボスから借金を返済しない男の赤ん坊を誘拐するという報酬75万ドルの大仕事を請け負う。しかし、予想外の展開から追われる身となってしまい、状況は泥沼化していく。
<感想>自らも服役経験があり、獄中で書いた小説で作家になったエドワード・バンカーの犯罪小説を、ニコラス・ケイジ主演で映画化となれば見ないわけにはいくまい。それに仲間2人には、ウィレム・デフォーにクリストファー・マシュー・クックが出演している。監督は、『ラスト・リベンジ』でもニコラスと組んだポール・シュレイダー演出は、冒頭からコカイン中毒のマッド・ドッグが、コカイン中毒で誰もが手を焼くキレやすい性格のウィレム・デフォーが、太った同居人の女を、ヘンタイ的に惨殺する場面をサイケデリックに映像化して見せている。そして、ギャングのボスをシュレイダー監督自身が演じているとは驚いた。
どうなることかと思わせるのだが、このハイテンションはさすがに維持できず、刑務所で知り合ったニコちゃんと巨体のクリストファー・マシュー・クックの三人組が、金儲けのために悪事を働くメインの物語となるのだが、何しろこの3人組だからアクションとかをパッパとやるわけでもなく、ダルイし何をやってんだかと。
とにかく、久しぶりのニコケイが刑務所から出てきて、ホストクラブで働くわけでもないのに、水色のスーツを新調する所なんかは、何を見せているのか意味が分からないし孫にも衣装。
デフォーさんが、死体を上まで持っていったはいいが、途端にゴミ溜めに落っこちて、オマケに血糊に足を取られてズルズル滑るというシーンが、まさに象徴的なクライムドラマになっている。
それよりも原作者エド・バンカーの人生を、反映した主人公のニコケイの人物像や、育ち方を描いて欲しかったです。タイトルの「ドッグ・イート・ドッグ」は“喰うか喰われるか”の意味だそうで、原作のヒリついた雰囲気、三度目の有罪判決で無期懲役になる“三振法”に対して抱く、前科者の不安みたいなものは薄味になっているようだ。
金欲しさに赤ん坊を誘拐するも、奥さんまで誘拐してしまい、どうするのか?・・・。デコボコ3人組の人生の一発逆転を狙った大仕事は、必然的に悪運が尽き果てて、負け犬たちがたどる運命は最初から予想がついてしまうのだが、やっぱり堕ちるところまで堕ちていくのは仕方のないこと。
面白いのが、犯罪の実行中に計画になかった招かれざる人物に出くわすと、理由もきかずにショットガンで相手の頭をぶっ放すして破壊する。何にも考えナシで能天気なヤツラの殺戮のツケは仲間全員で払うことになるわけ。常時ハイテンションな上に、随所で遊んでいるポール・シュレイダー監督の演出も快調。
笑っていたかと思えば急に笑い出すそして、怒りだすといった、まさにジャンキーな悪に扮したウィレム・デフォーが、なにかと美味しいところを去らってゆくのも、さすがの実力は俳優の演技。ですが、仲間に殺されるってことで、途中でさようならとは。
それに、もう一人のデブ巨漢男のクリストファー・マシューは、家庭持ちで取り立て屋のディーゼル役を演じているも、普段は優しいのだがキレたら怖いのに、殺されてしまうとは。結局は、ニコちゃん誘拐も失敗して、警察に逮捕とはね。
ですが、裏社会でのたうち回るしかなく、あがく度にドツボにハマル小悪党どもの、哀れみといった妙味はしっかりと描かれてはいた。それを濃縮還元した悲喜劇ふうに仕上げているのも良かった。モチーフの反復やロングショット主体の画面の連鎖も綺麗で気持ちよく、美しくも奇妙なラストシーンもバカバカしいが良かった。
手を替え品を替えて、テイラー・スウィフトに言及されるのも、意味は判らないけれど笑えるが、イマイチノリ切れなかった。最近のニコケイの映画はどれもB級映画で、情けない男ばかりを演じているので、そろそろ昔の「ロック」や「フェイス/オフ」のように切れのいいアクション映画を見せて欲しいものだ。
2017年劇場鑑賞作品・・・180アクション・アドベンチャーランキング