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花戦さ ★★★★

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戦国時代末期に活躍した実在の花僧・池坊専好を主人公に、千利休との友情と、亡き友の無念を晴らすべく時の権力者・豊臣秀吉に花で立ち向かっていく姿を描いた鬼塚忠の時代小説『花いくさ』を「陰陽師」「のぼうの城」の野村萬斎主演で映画化。共演は市川猿之助、佐藤浩市、中井貴一、佐々木蔵之介。監督は「小川の辺」「起終点駅 ターミナル」の篠原哲雄。

あらすじ:戦国時代。京の中心・六角堂に変わり者の花僧・池坊専好がいた。ある日、誰もが恐れる織田信長の前でいけばなを披露することに。そしてその席で出会った千利休と豊臣秀吉が、後に専好の運命を大きく変えていく。それから十数年。秀吉は天下人として世に君臨し、利休はその茶頭となっていた。そんな利休と再会した専好は、茶と花の違いはあれど共に美を追い求める者同士、互いに認め合い友情を深めていった。一方、秀吉の専横ぶりはいよいよ手が付けられなくなり、ついに利休もその毒牙にかかって命を落としてしまう。やがて専好は暴君と化した秀吉に対し、花でもって敢然と立ち向かう一世一代の大勝負に出るのだったが…。

<感想>今の世にも名を残す華道の家元、池坊に伝わる伝説を基に、戦国時代、時の権力者、織田信長を初めとして、豊臣秀吉に武器ではなく花を用いて“けったいな復讐”を遂げた池坊専好を描いた総会なる、エンターテイメント時代劇。

主人公には、天真爛漫、まさに花をいけるために生まれてきた天才花僧・池坊専好を演じるのは、狂言師・野村萬斎。ひょうひょうとした物腰と品のあるたたずまいは、専好そのもの。「のぼうの城」でも豊臣秀吉軍に奇策で挑んだ城主を演じたが、今回は、いけばなの力を武器に秀吉本人に対じする伝説の人物を熱演している。

そして、中井貴一演じるカリスマ戦国武将、織田信長の前で、巨大な松を披露!専好が挑むひとつめの対決では、カリスマ戦国武将・織田信長が相手なんですね。信長の居城・岐阜城にて、天を貫く昇り龍のような巨大な松と菖蒲の花を披露する。この趣向が気に入られなければ専好の命はない。前代未聞のいけばなに思わず息を飲む信長だが……果たして、その決断の行方は?

それが、昇り龍をたとえて、松の木を天井高くにそびえ立ち、両手にも松の枝が見事に伸びて、天下統一間近を表現したものと思えたのですが、右手の松の枝が折れてしまうというハプニング。これには、信長様もすぐさまに専好をお手打ちかと、ところがその場を助けたのが、次なる天下統一を果たした藤吉郎こと豊臣秀吉だったのですね。頭の回転が速くて、すぐに殿様の機嫌を取るという優れものでした。

その本作の大ボスとも言える豊臣秀吉を演じたのは、歌舞伎役者の市川猿之助。「スーパー歌舞伎II ワンピース」を発表などする革新派だけに、映像作品にも数々進出。「龍馬伝」「ザ・マジックアワー」等でも存在感を発揮した。「超高速!参勤交代」の徳川吉宗が、今度は秀吉役として強烈な印象を残すという立役者であります。もちろん、豊臣秀吉にも前田利家邸にて、巨大な松をいけた専好の手腕に驚きますから、そんな破天荒な坊主であり、花を愛してその花で人の心を癒すということを考えた人物であります。

そして、天才茶人・千利休を熱演したのは、映画界が誇る名優のひとり、佐藤浩市。「64 ロクヨン」では、第40回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を獲得し、改めて高い演技力を見せつけました。専好、秀吉を“動”とすれば、佐藤が演じる千利休は“静”。躍動的な印象の佐藤が、今回はいかに静かに存在感を披露するか、目が離せませんね。

華道の専好と茶道の利休の、互いに尊敬しあって築いてきた信頼関係が、秀吉の暴走によって壊されてしまうことになるとは。天下統一を果たした秀吉は、圧倒的な権力を手にし、傍若無人な振る舞いを見せはじめる秀吉と、茶室という三畳しかない小さな空間で向かい合う利休。あくまでも姿勢を正し、茶の湯の静かな所作を続ける利休に対し、庭の朝顔を全部切り取り、茶室の壁に一輪の朝顔をいけた、ワビ、サビの境地を表す利休にたいして、金の茶室を作るという傲慢な秀吉。自らの価値観を受け入れないことにいら立ち、茶室の中では息を飲むような緊張感に注目です。
その後に、秀吉による茶会がもようされるのですが、金の茶室の煌びやかな秀吉の前には、平民たちが行列をするも、庭の木の下でござを引き、質素に茶をたてる利休に、専好が木に花をたくさん生けて上げる友達だからと。それが、庶民の目に止まり、利休の茶を飲みたいとたくさんの民が押し寄せる。
それに、腹を立てた秀吉が、利休に詫びを入れろと迫り、秀吉に追い詰められて自害を決意した利休切腹し、河原にさらし首となる。その後に、専好が、河原に石を積み上げ花をたむけて拝む姿が悲しみを誘います。

本作の見せ場である、専好が秀吉の元に乗り込むシーンについては「秀吉に対しても負かそうとするのではなくて、心をほどいてほころばせるために花をいける。『北風と太陽』みたいな話で、北風のようにビュービュー吹いて無理矢理こじ開けるのではなくて、太陽が自らコートを脱がせるように、自然と心が花開く。(本作のテーマは)そういったことじゃないかと思います」と、野村萬斎さんが語る。浮世離れした変わり者だけど、情に深く義に厚い専好を演じる狂言師・野村萬斎さんは、まさにハマリ役といっていいでしょう。

本当にそうなんですよね、花をたしなむ心というのは、目で和み、心でも季節の花を生けるという、人々の平穏と幸せを祈りながら花を生ける日々を過ごすという。日本人なら、庭の草花を玄関に、トイレに一輪挿しで、家の中が穏やかになるちう花の力。

友情を深めていた千利休や、付き合いのあった罪なき近所の民、扇屋の吉右衛門の高橋克己、前田利家の佐々木蔵之介、河原で死んでいるような、そんな娘を見つけて寺に連れて行き、世話をして元気になる墨絵師の娘で、自分も絵を描く森川葵らなど。他にもたくさんの俳優さんたちが出演して盛り上げてくれています。

2017年劇場鑑賞作品・・・126映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/

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