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ボクたちの交換日記 ★★

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「ウッチャンナンチャン」の内村光良が、「ピーナッツ」(2007)以来7年ぶりにメガホンをとった監督作。売れないお笑いコンビの生活と葛藤を、伊藤淳史と小出恵介のダブル主演で描く。お笑いコンビ「房総スイマーズ」は結成12年目になるが、いまだ鳴かず飛ばず。気がつけば30歳になり、もう後がない2人は、互いの本音をぶつけ合うために交換日記を始める。「オードリー」の若林正恭と俳優・田中圭主演で舞台化もされた、放送作家・鈴木おさむの小説「芸人交換日記 イエローハーツの物語」が原作。

<感想>だいぶ前に鑑賞したが、つまらなかったのでレビューをどうしようか迷ってしまった。一口で言うと、お笑い芸人を描く映画は難しいようだ。同じ漫才映画でも品川ヒロシ監督の『漫才ギャング』を見たが、とても良かった。この作品はお笑いの話だけれども人間ドラマなんですよ。主人公のコンビには、伊藤淳史と小出恵介という、演技派俳優二人なんですが、伊藤さんは真面目で芝居にブレがない。対照的な小出さんは気分次第で、手を抜いているとか集中力が切れているな、とか二人を見ていると演技へのアプローチの仕方が対照的なんですね。それが吉と出たのか凶と出たかは観て見ないと分かりませんから。
前半は軽いノリで、日記の表紙にわざわざ交換日記なんて書くのか?・・・って、ツッコミを入れたくなるが、途中からやっぱりどんどん重くなっていく。舞台上の二人を笑う客席の映像を映画館の客席で観ていると、画面の中の客席との温度差ばかり気になるという経験はないだろうか。主人公コンビが舞台で見せるコントのネタを、映画館の観客にどう見せるのか。舞台の笑いと映画の笑いは違うと思うんですよ。

本職の内村監督による本作でも温度差は感じた。だが、舞台上の芸人の呼吸が流石に笑いを生み出すそれであり、納得させられる。お笑いはシノギを削る熾烈な職業であり、コンビの密接さによる亀裂など非常に息苦しさが感じさせられる。
俳優がお笑い芸人を演じるということは、微妙な感じとはいえリズムが異なる難しさもあるし、花開かないコンビが主人公ゆえにコントがつまらないのも仕方がないのは分かる。だが、せっかくシビアな現実を描いても病気オチにしてしまうのは、今の映画界では平凡すぎる。
人気という不確実な要素に左右され、後輩に追い越されていく芸人の苦労や焦りが切実で、才能の限界を知ることの辛さが伝わってくる。売れないコンビの甲本と田中が廊下に座って弁当を食べるシーンのリアルさなど、お笑いの世界に精通した内村監督ならではの演出だろう。
それでも女性キャラや音楽による場面彩色の紋切型とか、テレビ的ともとれるそれらが、弱さでなく乗れば楽しい魅力となり、一切笑いのない芸人暗黒物語でも割り切れたのだが、原作通りとはいえ泣かせの作為が目立つ最後のエピソードは、必要なかったのではと思った。
2013年劇場鑑賞作品・・・97   映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング

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