第20回山本周五郎賞、第4回本屋大賞第2位に輝いた森見登美彦の小説をアニメ映画化。京都の移りゆく四季を背景に、パッとしない大学生と彼が片思いする後輩の恋の行方を、個性的な仲間たちが起こす珍事件と共に描く。主人公の声を、テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」などの星野源が担当。監督の湯浅政明をはじめ、脚本の上田誠、キャラクター原案の中村佑介ら、森見原作によるテレビアニメ「四畳半神話大系」のスタッフが再集結する。
あらすじ:クラブの後輩である“黒髪の乙女”に恋心を抱く“先輩”は、「なるべく彼女の目に留まる」略してナカメ作戦を実行する。春の先斗町に夏の古本市、秋の学園祭と彼女の姿を追い求めるが、季節はどんどん過ぎていくのに外堀を埋めるばかりで進展させられない。さらに彼は、仲間たちによる珍事件に巻き込まれ……。
<感想>京都を舞台にした、一夜のほろ酔い気分な青春幻想譚。お酒を愛する好奇心旺盛で少し天然であり、瞬く間に周囲を巻き込む黒髪の乙女と、彼女に恋する絶妙にダメ男な先輩。この作品の世界は、主人公は“先輩”じゃなくて彼女を中心に回ります。
“黒髪の乙女”に想いをよせる“先輩”は、彼女とお近づきになるべく「ナカメ作戦」いわゆる(なるべく彼女の目にとまる)を実行していますが、「偽の電気ブラン」や「ラ・タ・タ・タム」などに心を奪われている“乙女”は、中々振り向いてくれません。
夜の先斗町を、下鴨の古本屋を、学園祭の人込みの中を迷わず歩む“乙女”と、それを追う“先輩”。風変わりな人々と共に夜を駆ける彼らの爽快な青春模様に、ときめかずにはいられないのですから。
森見登美彦の原作小説を、湯浅政明監督ら「四畳半神話大系」チームが、劇場アニメ化したこの作品。森見作品とアニメの相性の良さは「四畳半」などで証明ずみではありますが、本作もまたアニメになることで、、水を得た魚のように生き生きとするお話でありました。
“乙女”と“先輩”が交互に語り手を務める原作は、彼ららしい言葉が小気味よく連なることで、その性格や摩訶不思議な出来事への想像を掻き立てましたが、劇場版で明らかにしたのは、彼らのその「テンポ」です。しこたまお酒を呑み、へべれけな人々と夜の街を歩く“乙女”のテンポなんですね。「偏屈王」役を奪いとるために爆走する“先輩”のテンポと。
それらはある意味で、言葉以上に彼らの心情を知り手掛かりとなりました。そして、「声」もやはり同様の役割を果たしています。
黒髪の乙女の花澤香菜の愛らしく抜けの良い声は、“乙女”のまっすぐさを裏づけていますし、“先輩”の星野源はさすがに偏屈だけど、ピュアな男に命を吹き込む天才、“先輩”へのヘタレな」部分を、上ずったり震えたりしながら、完璧に表現していましたね。
他にも「詭弁踊り」や「偏屈王」のミュージカルなど、映画ならではの見どころを上げたらきりがありません。
とにかくも、奇妙奇天烈でちょいと粋な夜の住人から、物の怪の類までもが入り乱れる摩訶不思議な物語が、ポップアートのような大正ロマンといった形で、カラフルなアニメーションで綴られていきます。
2017年劇場鑑賞作品・・・85アクション・アドベンチャーランキング
あらすじ:クラブの後輩である“黒髪の乙女”に恋心を抱く“先輩”は、「なるべく彼女の目に留まる」略してナカメ作戦を実行する。春の先斗町に夏の古本市、秋の学園祭と彼女の姿を追い求めるが、季節はどんどん過ぎていくのに外堀を埋めるばかりで進展させられない。さらに彼は、仲間たちによる珍事件に巻き込まれ……。
<感想>京都を舞台にした、一夜のほろ酔い気分な青春幻想譚。お酒を愛する好奇心旺盛で少し天然であり、瞬く間に周囲を巻き込む黒髪の乙女と、彼女に恋する絶妙にダメ男な先輩。この作品の世界は、主人公は“先輩”じゃなくて彼女を中心に回ります。
“黒髪の乙女”に想いをよせる“先輩”は、彼女とお近づきになるべく「ナカメ作戦」いわゆる(なるべく彼女の目にとまる)を実行していますが、「偽の電気ブラン」や「ラ・タ・タ・タム」などに心を奪われている“乙女”は、中々振り向いてくれません。
夜の先斗町を、下鴨の古本屋を、学園祭の人込みの中を迷わず歩む“乙女”と、それを追う“先輩”。風変わりな人々と共に夜を駆ける彼らの爽快な青春模様に、ときめかずにはいられないのですから。
森見登美彦の原作小説を、湯浅政明監督ら「四畳半神話大系」チームが、劇場アニメ化したこの作品。森見作品とアニメの相性の良さは「四畳半」などで証明ずみではありますが、本作もまたアニメになることで、、水を得た魚のように生き生きとするお話でありました。
“乙女”と“先輩”が交互に語り手を務める原作は、彼ららしい言葉が小気味よく連なることで、その性格や摩訶不思議な出来事への想像を掻き立てましたが、劇場版で明らかにしたのは、彼らのその「テンポ」です。しこたまお酒を呑み、へべれけな人々と夜の街を歩く“乙女”のテンポなんですね。「偏屈王」役を奪いとるために爆走する“先輩”のテンポと。
それらはある意味で、言葉以上に彼らの心情を知り手掛かりとなりました。そして、「声」もやはり同様の役割を果たしています。
黒髪の乙女の花澤香菜の愛らしく抜けの良い声は、“乙女”のまっすぐさを裏づけていますし、“先輩”の星野源はさすがに偏屈だけど、ピュアな男に命を吹き込む天才、“先輩”へのヘタレな」部分を、上ずったり震えたりしながら、完璧に表現していましたね。
他にも「詭弁踊り」や「偏屈王」のミュージカルなど、映画ならではの見どころを上げたらきりがありません。
とにかくも、奇妙奇天烈でちょいと粋な夜の住人から、物の怪の類までもが入り乱れる摩訶不思議な物語が、ポップアートのような大正ロマンといった形で、カラフルなアニメーションで綴られていきます。
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