「めがね」の荻上直子監督が5年ぶりに撮り上げた人間ドラマ。母親に育児放棄された11歳のトモは叔父マキオを訪ね、トランスジェンダーのリンコと出会う。母よりも自分に愛情を注いでくれるリンコの存在に戸惑いながらも、三人での奇妙な共同生活が始まった。出演は「秘密 THE TOP SECRET」の生田斗真、「GONIN サーガ」の桐谷健太、本作が映画デビューとなる柿原りんか、「カノン」のミムラ、「人生の約束」の小池栄子、「二重生活」の門脇麦。
あらすじ:11歳の小学生・トモ(柿原りんか)は、母親のヒロミ(ミムラ)と二人暮らし。だがある日突然ヒロミが家出、独りきりになってしまったトモは叔父のマキオ(桐谷健太)の家に向かう。母の家出は初めてではなく、過去にも同じ経験をしていたトモだったが、以前と違うのは、今回マキオはリンコ(生田斗真)という美しい恋人と一緒に暮らしていたことだった。リンコは元男性で、女性への性別適合手術を受けたトランスジェンダー。そんなリンコの美味しい手料理に安らぎを感じ、団らんのひとときを過ごすトモ。母は決して与えてくれなかった家庭の温もりや、母よりも自分に愛情を注いでくれるリンコの存在に戸惑いながらも、三人での奇妙な共同生活が始まった……。
<感想>荻上直子監督の新境地とも言える作品であり、監督が脚本を書かれており、トランスジェンダーのリンコを演じている生田斗真の熱演が光る映画でもありました。リンコは、男性として生まれ、性別適合手術を受けて女性となったトランスジェンダーだった。とても難しい役柄であり、現在はいくらか日本でも認められているようですが、映画の中でのリンコは、みんなに蔑視され疎まられ、偏見の目で見られていましたね。特に女性、母親たちです。
それでも、リンコが生きていく勇気を貰うのが、一番の母親であり、小学校時代から女性に目覚めてしまって、その状況を母親役の田中美佐子が優しく息子を抱いて味方になってくれるという。身近な、それも母親が一番の息子の強い味方で、女としての心構えや、下着のレースでヒラヒラのリボンの付いたブラジャーをプレゼントしたこと。それに、おっぱいとして、毛糸で編んだ丸いものに乳首まで付けて、とっても可愛らしい。
それに、恋人となるマキオも本当は自分はゲイでもホモでもないのに、母親の介護をしてくれるリンコを好きになってしまう。リンコが本当の女性よりも数段女らしさがあって、身のこなしや料理、洗濯、掃除などすべて女性がやることをこなして、話す言葉も女らしくて、背の高い生田斗真君なのに、見事なプロポーションであり、話す言葉も女らしくて巧いんですよ。
その家に、母親に捨てられて舞い込むトモは、自分が生んでくれた母親は育児放棄で男との生活を望み、トモを鍵っ子にしてコンビニのおにぎり2個に水がテーブルに置いてあるだけ。「この子はコンビニのおにぎりが大好きなのよ、他は何もいらないってね」無神経な子育ての母親が、自分勝手に娘を弟に押し付けて、男に走る。
その姉には「カノン」のミムラが扮しているが、男と別れてまた娘を連れ戻しに来て、リンコのことに厳しく非難中傷する。トモは、母親も大好きなんですが、リンコに甘えて抱きしめてもらうことや、一緒に寝ることも。それに一緒に料理を作ったりして、当たり前の母親がやっていることを、自然に接してくれるので学ぶことが多い。
リンコと暮らした日にちの楽しさを大切にしているので、それに、クラスの男の子が友達になろうと誘って来るも、リンコが居てくれるので男友達よりもいいと思っている。だが、その同級生の男子の母親に小池栄子が扮していて、スーパーでリンコとトモが買い物をしているのを見つけて、まるで汚い人間、普通じゃない人間と判断して児童福祉事務所へ連絡する。児童福祉事務所の人たちも、リンコのことを見て普通じゃない境遇では、まっとうな子供の教育は受けられないと判断するのだ。ですが、その男の子は、母親に反発して睡眠薬自殺を図ってしまう。
しかし、トモが小さいながらも福祉事務所の女から、リンコを守ろうとする健気さに涙がとまりませんでした。トモの母親が、シングルマザーでも、ちゃんと子供を育てていれば問題はなかったはずなのに。女性よりも女らしい優しさと気配りのあるリンコさんが素敵です。
「めがね」の荻上直子監督さんなので、映画の中で出て来る料理が美味しそうで、トモが初めてリンコの部屋に来た時の夕食は、鶏のから揚げに小エビのサラダとか、花見弁当なんて鯉のぼりのウインナーに卵焼き、それにシジミの醤油煮、切り干し大根とトモの大好きなメニュー。
トモに弁当を作ってくれたのはいいのだが、タコさんウィンナーがとっても可愛いかったので、食べずに夕方まで取って置いた。それが夏だったので傷んで食中毒を起こしてしまうトモ。お腹を抱えて苦しんでいるトモに優しく薬を飲ませてやる、母親らしさがいい。
リンコが編み物に没頭する理由は、世間からの嫌がらせや、トランスジェンダーゆえの“苦悩”の吐口として、ひと編みごとに頭の中で呟いては嫌なことを忘れると言う。しかし、リンコは子供は産めない体であり、トモを自分たちの子供として育てたいと願うのだが、そればかりは叶わなかったようですね。
リンコがいつも編んでいるのは、女になるために手術をした下半身のものを、108つ編んで袋にして綿を詰めて、108個の煩悩を捨てるためにと、せっせと夜なべをして編んでいるのだ。最後に、108個出来上がり、それを海辺に持って行って積み重ねて燃やすシーンも良かった。
ラストは、母親のもとへとトモが帰るシーンで、リンコがプレゼントをくれるのだ。それは、あの少年のころに母親が作ってくれた毛糸で作った「おっぱい」だったんですね。トモも大人の女になっても、そのプレゼントをいつまでもリンコさんと思って大事にしてくれるといいですね。
老人ホームに入っているマキオの母親でありトモの祖母に、リリィさんが扮してましたが、先ごろ亡くなったと知りご冥福を祈ります。
2017年劇場鑑賞作品・・・47映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/
あらすじ:11歳の小学生・トモ(柿原りんか)は、母親のヒロミ(ミムラ)と二人暮らし。だがある日突然ヒロミが家出、独りきりになってしまったトモは叔父のマキオ(桐谷健太)の家に向かう。母の家出は初めてではなく、過去にも同じ経験をしていたトモだったが、以前と違うのは、今回マキオはリンコ(生田斗真)という美しい恋人と一緒に暮らしていたことだった。リンコは元男性で、女性への性別適合手術を受けたトランスジェンダー。そんなリンコの美味しい手料理に安らぎを感じ、団らんのひとときを過ごすトモ。母は決して与えてくれなかった家庭の温もりや、母よりも自分に愛情を注いでくれるリンコの存在に戸惑いながらも、三人での奇妙な共同生活が始まった……。
<感想>荻上直子監督の新境地とも言える作品であり、監督が脚本を書かれており、トランスジェンダーのリンコを演じている生田斗真の熱演が光る映画でもありました。リンコは、男性として生まれ、性別適合手術を受けて女性となったトランスジェンダーだった。とても難しい役柄であり、現在はいくらか日本でも認められているようですが、映画の中でのリンコは、みんなに蔑視され疎まられ、偏見の目で見られていましたね。特に女性、母親たちです。
それでも、リンコが生きていく勇気を貰うのが、一番の母親であり、小学校時代から女性に目覚めてしまって、その状況を母親役の田中美佐子が優しく息子を抱いて味方になってくれるという。身近な、それも母親が一番の息子の強い味方で、女としての心構えや、下着のレースでヒラヒラのリボンの付いたブラジャーをプレゼントしたこと。それに、おっぱいとして、毛糸で編んだ丸いものに乳首まで付けて、とっても可愛らしい。
それに、恋人となるマキオも本当は自分はゲイでもホモでもないのに、母親の介護をしてくれるリンコを好きになってしまう。リンコが本当の女性よりも数段女らしさがあって、身のこなしや料理、洗濯、掃除などすべて女性がやることをこなして、話す言葉も女らしくて、背の高い生田斗真君なのに、見事なプロポーションであり、話す言葉も女らしくて巧いんですよ。
その家に、母親に捨てられて舞い込むトモは、自分が生んでくれた母親は育児放棄で男との生活を望み、トモを鍵っ子にしてコンビニのおにぎり2個に水がテーブルに置いてあるだけ。「この子はコンビニのおにぎりが大好きなのよ、他は何もいらないってね」無神経な子育ての母親が、自分勝手に娘を弟に押し付けて、男に走る。
その姉には「カノン」のミムラが扮しているが、男と別れてまた娘を連れ戻しに来て、リンコのことに厳しく非難中傷する。トモは、母親も大好きなんですが、リンコに甘えて抱きしめてもらうことや、一緒に寝ることも。それに一緒に料理を作ったりして、当たり前の母親がやっていることを、自然に接してくれるので学ぶことが多い。
リンコと暮らした日にちの楽しさを大切にしているので、それに、クラスの男の子が友達になろうと誘って来るも、リンコが居てくれるので男友達よりもいいと思っている。だが、その同級生の男子の母親に小池栄子が扮していて、スーパーでリンコとトモが買い物をしているのを見つけて、まるで汚い人間、普通じゃない人間と判断して児童福祉事務所へ連絡する。児童福祉事務所の人たちも、リンコのことを見て普通じゃない境遇では、まっとうな子供の教育は受けられないと判断するのだ。ですが、その男の子は、母親に反発して睡眠薬自殺を図ってしまう。
しかし、トモが小さいながらも福祉事務所の女から、リンコを守ろうとする健気さに涙がとまりませんでした。トモの母親が、シングルマザーでも、ちゃんと子供を育てていれば問題はなかったはずなのに。女性よりも女らしい優しさと気配りのあるリンコさんが素敵です。
「めがね」の荻上直子監督さんなので、映画の中で出て来る料理が美味しそうで、トモが初めてリンコの部屋に来た時の夕食は、鶏のから揚げに小エビのサラダとか、花見弁当なんて鯉のぼりのウインナーに卵焼き、それにシジミの醤油煮、切り干し大根とトモの大好きなメニュー。
トモに弁当を作ってくれたのはいいのだが、タコさんウィンナーがとっても可愛いかったので、食べずに夕方まで取って置いた。それが夏だったので傷んで食中毒を起こしてしまうトモ。お腹を抱えて苦しんでいるトモに優しく薬を飲ませてやる、母親らしさがいい。
リンコが編み物に没頭する理由は、世間からの嫌がらせや、トランスジェンダーゆえの“苦悩”の吐口として、ひと編みごとに頭の中で呟いては嫌なことを忘れると言う。しかし、リンコは子供は産めない体であり、トモを自分たちの子供として育てたいと願うのだが、そればかりは叶わなかったようですね。
リンコがいつも編んでいるのは、女になるために手術をした下半身のものを、108つ編んで袋にして綿を詰めて、108個の煩悩を捨てるためにと、せっせと夜なべをして編んでいるのだ。最後に、108個出来上がり、それを海辺に持って行って積み重ねて燃やすシーンも良かった。
ラストは、母親のもとへとトモが帰るシーンで、リンコがプレゼントをくれるのだ。それは、あの少年のころに母親が作ってくれた毛糸で作った「おっぱい」だったんですね。トモも大人の女になっても、そのプレゼントをいつまでもリンコさんと思って大事にしてくれるといいですね。
老人ホームに入っているマキオの母親でありトモの祖母に、リリィさんが扮してましたが、先ごろ亡くなったと知りご冥福を祈ります。
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