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誰のせいでもない 3D★★★

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「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダース監督が、一つの事故によって人生が変わってしまった主人公の心の軌跡を3Dで描き出した異色ドラマ。主演は「127時間」「オズ はじまりの戦い」のジェームズ・フランコ。共演にシャルロット・ゲンズブール、レイチェル・マクアダムス、マリ=ジョゼ・クローズ。
あらすじ:カナダ、モントリオール郊外。作家のトマス(ジェームズ・フランコ)が夕暮れの雪道を車で走っていると、突然、丘からソリが滑り降りてくる。慌ててブレーキをかけ、車から飛び出すと、幼い少年が呆然と座り込んでいた。幸いにもケガはしていないようで、車をその場に残し、彼を家まで送り届ける。すると出迎えた母親は、弟がいないことに気づき半狂乱となる。ほどなく弟は、車の下で亡くなっているのが発見される。罪悪感に苛まれたトマスは、恋人サラ(レイチェル・マクアダムス)との関係も壊れてしまう。心に大きな傷を抱えながらも、書き続けることで自らの責任と向き合おうとするトマス。やがて月日は流れ、作家として成功を収め、編集者のアンとその娘ミナと新たな生活を始めようとしていたトマスだったが…。

<感想>冒頭の事故のくだりで、観ていて猛烈なショックを感じてしまい、これからどうなるのだろうと思ってしまった。不可抗力な交通事故で、子供を死なせた主人公は、法律とは別の意味でひどいトラウマを抱えてしまう。
これは、人身事故を起こしてしまったら、誰でもがかかるトラウマであり、一生涯付き纏うことでもあり、運転ができなくなることもある。
ですが、心理スリラーになるのかと思っていたら、いや違っていた。主人公が小説家ということで、悩んだ末にそのことを題材にして、「冬」という小説を書いて賞を取ってしまうのだ。その後も、今までスランプ状態だったはずが、事故の後には、驚くほどに小説が巧く書けて来るのだから。

長い長い歳月を経て、人の心は変化するものだというかのごとく、3年後、4年後と、時を操って物語が展開する。初めの付き合っていた女性サラを演じた、レイチェル・マクアダムス。子供を車で轢いたということで、子供が欲しいという彼女と、子供はいらないというトマスとの意見の違いで別れてしまう。

その後に、編集社で女の子を連れたアンと出会い結婚をする。しかしだ、被害者の家族は、残された母親と息子は、生活は何も変わらずに、その場所で生活をしていて、突然思い出したかのように現れるトマスに、被害者の母親は恋人のように甘える。母親を演じている幸薄そうな風貌のシャルロット・ゲンズブールが、痩せて化粧っけのないまるで老婆のような姿に驚く。
事故の時には、もう一人弟が一緒にいたわけで、確かに子供を轢いてしまったのだ。車の下をよく見ていれば、その時発見して病院へ運んでいれば助かったのかもしれないのだ。
ですが、その被害者である母親は、その後に、賠償金をもらって解決したかのように、主人公を恨むわけでもない。事故があった時に、母親は好きな本に夢中になっていて子供を家の中へ入れなかったと詫びるのだ。
ですが、もっとも傷が浅いと思われていた少年、生き残った兄の方が、大きくなって主人公のところへ連絡を取って来る。まるでサスペンスフルな登場が見事なんです。タイトルが身も蓋もない題名であり、中身がはっきりとしていない。他人を不幸にしてしまった過去の出来事を、プラスなものへと転化させる小説家のサガも、そういうものだと言いようがない。

編集者が口にする「創作者は、結局のところどんな経験も作品に生かせる、創作のために栄養にできるのだ」と言うのだ。そのことを責め立てるかのように、被害者の助かった兄貴の方が、主人公を小説を読んで尊敬しているし、憧れてもいる。だからなのか、勝手に家に中に入り寝室のベットに小便をかけて行く。

その時には、まさか犯人がその被害者の兄貴クリストファーとは思ってもいなかったトマス。庭に潜んでいるその兄貴が成長して立っているのに、サスペンスを感じてしまう。ですが、ラストシーンのトマスを演じたジェームズ・フランコの笑顔を見ていると、サスペンスふうの味を作ってはいるが、どうしてもヴェンダース監督ならではのチンタラとした感じが強くて、あまり面白くはない。彼自身の事故であっても、この作家は書くことで生き延びただろうと思うと怖くなってくる。
何故に3D映画にしたのかという問いに、3D映像ならではの、窓から差し込む光にまばゆく反射する部屋のホコリとか、白銀の街に舞う散る粉雪といった3Dならではの、圧倒的な風光明媚感に息を呑む。

2017年劇場鑑賞作品・・・4映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング/

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