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コンカッション ★★★・5

アメリカの国民的スポーツであるアメリカン・フットボールが、選手の脳に慢性的な深刻なダメージを与える危険なスポーツであることを立証した実在の医師ベネット・オマルの感動の実話をウィル・スミス主演で映画化した社会派ドラマ。全米を揺るがす衝撃の事実を突き止めてしまったオマル医師が、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)とアメリカ国民を敵に回してでも信念を貫き、様々な圧力に屈することなく真実を訴え続ける苦闘の行方を描く。共演はアレック・ボールドウィン、ググ・ンバータ=ロー。監督は「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」のピーター・ランデズマン。
あらすじ:ナイジェリア移民の医師、ベネット・オマル。法医学の免許を持ち、検死官として働く彼は、“ピッツバーグ・スティーラーズ”の花形選手だったマイク・ウェブスターの解剖を担当する。その死に不審を抱いた彼は、脳の詳しい検査を実行し、ついにはそれまで知られていなかった新たな疾患“CTE(慢性外傷性脳症)”を発見する。それは、タックルによる脳への激しいダメージが蓄積することで引き起こされる脳の障害だった。さっそく論文を発表し警鐘を鳴らすオマルだったが、NFLはこれを即座に否定、様々な形で彼に圧力をかけてくる。それでも信念を曲げることなく、巨大組織に敢然と立ち向かっていくオマルだったが…。
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<感想>アメリカの国技でもあるアメフトの最高峰NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)は、膨大な資本を動かす巨大産業でもある。その選手の多くが、試合中に脳震盪で痴呆化を起こして、自殺あるいは若死にしているという告発を、若い黒人医師が行うわけ。
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リドリー・スコットの制作で、ウィル・スミス主演による実話を基にした、最近よくある告発的内容の作品でもある。もう、これは象に挑む蟻の戦いのようだ。勝ち目のない告発劇、それでも真実を発表して、アメフト選手への保障を確約して欲しいという訴えなのだ。NFLの専属医師には、貫禄のあるアレック・ボールドウィンが。
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NFL側の圧力、抵抗がいかに大きいかは想像がつきます。しかし映画では、彼を排除抹殺しようとするNFL側の悪質な工作は描かれずに、告発は予定調和的な解決で納まっている。
アメフトに興味がなく、日本人の中でもファンはごく少ないと思う。ですが、非常にシリアスで地に足の着いた良質な作りの映画になっている。
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これは現在の継続中の問題を扱っていることもあってか、娯楽性は皆無であり、地味といえば限りなく地味なのだが、社会派ドラマとして正攻法の作りの中で、主人公のベネット・オマルを演じたウィル・スミスの抑えた演技がすこぶるいいのだ。
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タイトルのコンカッションとは、脳震盪という意味です。何かを訴えたければ、真実を検証するよりもスピーチの見せ方や、論法を磨いた方が現実的なのかもしれない。もし、本作が娯楽映画ならば、ウィル・スミス演じる医師も、奇抜な説法でNFLに対抗しただろう。
逆に正攻法で描こうとすれば、シリアスで退屈極まりのないリスクをとるしかないのだ。アメフト信仰を脅かしかねない、ナイジェリア人のベネット・オマルへの攻撃は容赦なく迫って来る。アメリカ人にとって、アメフトのことを外国の医師にとやかく言われるのが嫌だということなのだ。
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折角、土地と家を新築して、アメリカの地に落ち着こうと思っている矢先に、妻が妊娠しているのを知ってかどうか、FBIまで使って、車で執拗に追いかけて来るNFLの人たち。事故はまぬがれたが、流産という悲劇が二人に襲い掛かる。結局は、新築の家を諦めて、違う土地へと移るのだ。
ですが、観客が観たいのは、圧力に対して隠ぺいを暴露する緊迫した告発劇であり、彼が祖国と家族を愛する信仰心の厚い有能な医師だというお話ではないのだ。
だから、最後で元NFLの選手たちが、脳のダメージにより家族に乱暴をしたり、自殺をしてしまう選手がいることを公にして、選手のその後の保証をしっかりとして欲しいわけ。その後に、この選手たちに対して、医療費や保証とかが明示されていないのが気になって来る。果たして、解決は出来たのだろうか?・・・。
2016年劇場鑑賞作品・・・258Image may be NSFW.
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