映画化もされた「平凡ポンチ」「ピース オブ ケイク」などのジョージ朝倉の人気コミックを映画化した型破りなラブストーリー。東京から田舎町に引っ越して来た美少女と、個性的な少年の出会いを軸に、10代特有のヒリヒリとした青春の日々を描写する。主演は、小松菜奈と菅田将暉。監督を務めるのは原作の大ファンだという『5つ数えれば君の夢』などの山戸結希。原作が持つ独特の世界観をスクリーンに焼き付けた物語に魅了される。
あらすじ:東京で雑誌モデルを務める望月夏芽(小松菜奈)は、急に父親の郷里である浮雲町に転居することになる。彼女は都会とはかけ離れた田舎での地味な生活に幻滅してしまうが、カリスマ的なコウ(菅田将暉)と出会ったことで人生が一変する。彼は田舎町で有名な神主の一族の出身で、夏芽はひねくれ者で一風変わったコウに強く惹き付けられる。ある時、有名カメラマンから写真集を出さないかと持ち掛けられた夏芽は、コウに関心を持ってもらいたくてオファーに応じる。一方、コウも夏芽のことを気にかけており、二人は付き合うことになるが、・・・。
<感想>原作のコミックは見ていませんが、主演が小松菜奈と菅田将暉ということなので、鑑賞しました。中学生から大人になるまでを、時には危うく、鋭く、あぶなく、強く、切ない恋と衝動に突き動かされる10代の青春物語。ロケ地が和歌山県の熊野古道の近くで、実際に神様を感じながらの撮影だったようです。
だからなのか、映像の中からは、青い海とか、山とか、雨、土、夜、火祭り、など、冷たく湿った空気感が漂い、観ていて頬をかすめるような気がした。それなのに、主人公や登場人物たちはみな、汗ばむくらいに“生”の匂いを強く漂わせているのですから。
主人公夏芽の美しくこの世の感情を全部詰め込んだみたいな、実に清々しくて眩しく映る小松菜奈の若さ。そして、神様の子供みたいに儚くて激しく気性の荒いコウちゃんの菅田将暉の演技の巧さに感心しつつ、前から夏芽に恋をしていた加藤くん。あることで、傷ついた夏芽に友達でいいから付き合ってくれと頼み、大声で「おら、東京さいぐだ」をカラオケで歌う重岡大毅くん。
こんな人たちは実際にはいないはずなのだが、マンガだからこそ特別な人たちだと分かっていながらも、その一挙手一投足に呆れるくらいにのめり込んでしまった。
夏芽とコウが海の中へ沈み、キスをする映像美が余りにも美しく、泳げない私にはそれも叶わぬ青春というもの。祭りの日に、浴衣を着た夏芽の帯がほどけてしまい、それを上手に結び直すコウの優しさ。素直に夏芽を見て綺麗だ、俺の女だときっぱり言う男らしさも。
しかし、その浴衣姿の初々しさが仇となり、東京から来た男にレイプされる夏芽。一度はコウが夏芽を助けようとするも、大人の力で頭を殴られ失神してしまい、夏芽はその男に乱暴されてしまう。
小さな村だから、あっという間にそのことが広まってしまい、夏芽は家に引きこもり、その彼女を恋慕う加藤が、また清々しく夏芽に元気づける姿がいい。
演じているジャニーズの重岡大毅くんが、真っ赤な椿の花を夏芽に、「蜜を吸うと甘いよ」と子供みたいなことをいい、夏芽の心を和らげる。
それからの夏芽とコウは別れてしまい、コウは町のチンピラたちと喧嘩をしては自分を責め立てる。何故に大好きな夏芽を守れなかったのかと。観ていて、痛いほどにコウの気持ちがわかり、辛くなる。
ラストの火祭りのシーンでの菅田将暉の鬼気迫る踊り(ハードでタフな踊り)も圧巻であり、幻想的で非常に印象に残りました。
舞台となった和歌山県の熊野古道は、まさに神様のいるこの土地で、ずぶ濡れになりながら走ったり、叫んだりしているコウちゃんや夏芽の姿からは、触れたら壊れてしまいそうな危いさと、あと一言はなしたら途切れてしまいそうな激しさが、はっきりと見えた。
何もかも想いどうりになるような気がしていて、思ったようにぶっつけるのが正しいと信じてやまず、世界は全部自分のものだと思っているコウちゃんと夏芽。その感情を青春とか若さとかで片づけてしまうのは簡単ですが、それだけだったら、観ていてこんなに息苦しくはならないだろう。
何故に、この映画の中の二人を見て、こんなにも心を揺さぶられるのは何故か。それはきっと、彼らのその激しさが、誰もが思春期に抱えたやり場のない感情を、最大限に増幅させた姿だからだろう。
2016年劇場鑑賞作品・・・238映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:東京で雑誌モデルを務める望月夏芽(小松菜奈)は、急に父親の郷里である浮雲町に転居することになる。彼女は都会とはかけ離れた田舎での地味な生活に幻滅してしまうが、カリスマ的なコウ(菅田将暉)と出会ったことで人生が一変する。彼は田舎町で有名な神主の一族の出身で、夏芽はひねくれ者で一風変わったコウに強く惹き付けられる。ある時、有名カメラマンから写真集を出さないかと持ち掛けられた夏芽は、コウに関心を持ってもらいたくてオファーに応じる。一方、コウも夏芽のことを気にかけており、二人は付き合うことになるが、・・・。
<感想>原作のコミックは見ていませんが、主演が小松菜奈と菅田将暉ということなので、鑑賞しました。中学生から大人になるまでを、時には危うく、鋭く、あぶなく、強く、切ない恋と衝動に突き動かされる10代の青春物語。ロケ地が和歌山県の熊野古道の近くで、実際に神様を感じながらの撮影だったようです。
だからなのか、映像の中からは、青い海とか、山とか、雨、土、夜、火祭り、など、冷たく湿った空気感が漂い、観ていて頬をかすめるような気がした。それなのに、主人公や登場人物たちはみな、汗ばむくらいに“生”の匂いを強く漂わせているのですから。
主人公夏芽の美しくこの世の感情を全部詰め込んだみたいな、実に清々しくて眩しく映る小松菜奈の若さ。そして、神様の子供みたいに儚くて激しく気性の荒いコウちゃんの菅田将暉の演技の巧さに感心しつつ、前から夏芽に恋をしていた加藤くん。あることで、傷ついた夏芽に友達でいいから付き合ってくれと頼み、大声で「おら、東京さいぐだ」をカラオケで歌う重岡大毅くん。
こんな人たちは実際にはいないはずなのだが、マンガだからこそ特別な人たちだと分かっていながらも、その一挙手一投足に呆れるくらいにのめり込んでしまった。
夏芽とコウが海の中へ沈み、キスをする映像美が余りにも美しく、泳げない私にはそれも叶わぬ青春というもの。祭りの日に、浴衣を着た夏芽の帯がほどけてしまい、それを上手に結び直すコウの優しさ。素直に夏芽を見て綺麗だ、俺の女だときっぱり言う男らしさも。
しかし、その浴衣姿の初々しさが仇となり、東京から来た男にレイプされる夏芽。一度はコウが夏芽を助けようとするも、大人の力で頭を殴られ失神してしまい、夏芽はその男に乱暴されてしまう。
小さな村だから、あっという間にそのことが広まってしまい、夏芽は家に引きこもり、その彼女を恋慕う加藤が、また清々しく夏芽に元気づける姿がいい。
演じているジャニーズの重岡大毅くんが、真っ赤な椿の花を夏芽に、「蜜を吸うと甘いよ」と子供みたいなことをいい、夏芽の心を和らげる。
それからの夏芽とコウは別れてしまい、コウは町のチンピラたちと喧嘩をしては自分を責め立てる。何故に大好きな夏芽を守れなかったのかと。観ていて、痛いほどにコウの気持ちがわかり、辛くなる。
ラストの火祭りのシーンでの菅田将暉の鬼気迫る踊り(ハードでタフな踊り)も圧巻であり、幻想的で非常に印象に残りました。
舞台となった和歌山県の熊野古道は、まさに神様のいるこの土地で、ずぶ濡れになりながら走ったり、叫んだりしているコウちゃんや夏芽の姿からは、触れたら壊れてしまいそうな危いさと、あと一言はなしたら途切れてしまいそうな激しさが、はっきりと見えた。
何もかも想いどうりになるような気がしていて、思ったようにぶっつけるのが正しいと信じてやまず、世界は全部自分のものだと思っているコウちゃんと夏芽。その感情を青春とか若さとかで片づけてしまうのは簡単ですが、それだけだったら、観ていてこんなに息苦しくはならないだろう。
何故に、この映画の中の二人を見て、こんなにも心を揺さぶられるのは何故か。それはきっと、彼らのその激しさが、誰もが思春期に抱えたやり場のない感情を、最大限に増幅させた姿だからだろう。
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