作家ビル・ブライソンの実話を基にした著書を、ロバート・レッドフォードが主演と製作を務めて映画化。ルックスも性格も全く違うシニア男性二人組が、およそ3,500キロに及ぶアメリカの自然歩道「アパラチアン・トレイル」踏破の旅の中で、自身の人生を見つめ直すさまを映す。監督は『だれもがクジラを愛してる。』などのケン・クワピス。ロバートふんする主人公と一緒に旅する相棒を、『白い刻印』などのニック・ノルティが演じるほか、オスカー女優エマ・トンプソンが共演。
あらすじ:60歳を過ぎ故郷での平穏な日々に物足りなさを感じていた作家のビル(ロバート・レッドフォード)は、ふと約3,500キロ続くアメリカの自然歩道「アパラチアン・トレイル」の踏破を考える。旅の相棒に酒好きで型破りな旧友カッツ(ニック・ノルティ)が名乗りを上げ、 旅がスタートする。ところが体力の衰えや、自然の猛威という現実に直面し……。
<感想>北米有数の自然歩道「アパラチアン・トレイル」を歩くかつての友人同士。その道中記を綴ったビル・ブライソンの実話を基にしたのを映画化。出演が主人公のビルに80歳のロバート・レッドフォードが、こんなに普通っぽい老人をチャーミングに、楽しんで演じているレッドフォードも珍しいのではないか。それに相棒は、トラブルメーカーの旧友のカッツに75歳のニック・ノルティが演じている。このメタボ体系の悪友を演じるニック・ノルティは、登場時に、大丈夫かと思うほどの老体だけど、さすがに味のある演技には貫禄さえ感じる。
余りにも無謀だと心配する主人公のビルの妻に、エマ・トンプソンが好演。
二大名優が人生の黄昏を意識しつつ、アパラチア山脈3,500キロに及ぶトレッキングに挑む。ふと思い立って大自然の長距離徒歩の旅に出る男たち。老いに触れる自虐ネタもなんのその、知的な品性は健在であり中々艶やかであった。
彼らの珍道中が人生経路と重なりつつ、そこは大御所2人のこれまでのキャリアあってのこと。まるで芸人コンビ、あるいはバディムービーに相応しい自然体の演技で程よく歩き、程よくテントで眠り、過去や行く末を振り返ったり見つめたりするのだから面白くないわけがない。
ですが、老人ののんびりした紀行ものを観ていると、若い人ならつまらないとイライラしてくるかもしれない。しかし、60を過ぎた人たちならユーモアたっぷりの彼らの会話にニンマリしてくるのだ。過去を振り返りつつ残りの人生を楽しむ余裕に浸ったり、共感を覚える向きも多いのではなかろうか。
本作は映画の作り全体と対峙するものではなくて、両スターの滑稽な芝居を苦笑しつつも微笑みながら鑑賞すればいいのだろう。
今年は、メキシコ国境からアメリカ経由、カナダ国境までアメリカ西海岸を「パシフィッククレストトレイル」南北に徒歩で縦走するハイキングにチャレンジした「わたしに会うまでの1600キロ」リース・ウィザースプーンが演じているのを観て感動したばかりだ。
なにせ老人二人の山登りだから無理は出来ない。元アル中のカッツが、いつ酒に手を出すかのサスペンスであり、熊に襲われてのスリル満点のシーンと、人妻に手を出しての騒動と、挿話は数々あれど、途中で馴れ馴れしく絡んできた、超身勝手なおしゃべりの女性ハイカーから逃走する作戦で二人は意気投合する。
結構、クスクス笑えるほどの緩い展開なのだ。体力の限界なのでここらで失礼の幕切れまで、観ている方ものんびりとした気分で楽しめた。
二枚目のロバート・レッドフォードは完全に受けに回り、もっぱら元悪童ニック・ノルティの不出来に対して苛立ったり赦したりする。二人のコンビネーションがとても感じよくて、セリフも粋で奥が深く、この諦めこそが人生の粋ということなのかもしれない。地味な作品だがゆったりした気持ちで人生を考えさせてくれる大人のコメディになっていた。
2016年劇場鑑賞作品・・・185映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:60歳を過ぎ故郷での平穏な日々に物足りなさを感じていた作家のビル(ロバート・レッドフォード)は、ふと約3,500キロ続くアメリカの自然歩道「アパラチアン・トレイル」の踏破を考える。旅の相棒に酒好きで型破りな旧友カッツ(ニック・ノルティ)が名乗りを上げ、 旅がスタートする。ところが体力の衰えや、自然の猛威という現実に直面し……。
<感想>北米有数の自然歩道「アパラチアン・トレイル」を歩くかつての友人同士。その道中記を綴ったビル・ブライソンの実話を基にしたのを映画化。出演が主人公のビルに80歳のロバート・レッドフォードが、こんなに普通っぽい老人をチャーミングに、楽しんで演じているレッドフォードも珍しいのではないか。それに相棒は、トラブルメーカーの旧友のカッツに75歳のニック・ノルティが演じている。このメタボ体系の悪友を演じるニック・ノルティは、登場時に、大丈夫かと思うほどの老体だけど、さすがに味のある演技には貫禄さえ感じる。
余りにも無謀だと心配する主人公のビルの妻に、エマ・トンプソンが好演。
二大名優が人生の黄昏を意識しつつ、アパラチア山脈3,500キロに及ぶトレッキングに挑む。ふと思い立って大自然の長距離徒歩の旅に出る男たち。老いに触れる自虐ネタもなんのその、知的な品性は健在であり中々艶やかであった。
彼らの珍道中が人生経路と重なりつつ、そこは大御所2人のこれまでのキャリアあってのこと。まるで芸人コンビ、あるいはバディムービーに相応しい自然体の演技で程よく歩き、程よくテントで眠り、過去や行く末を振り返ったり見つめたりするのだから面白くないわけがない。
ですが、老人ののんびりした紀行ものを観ていると、若い人ならつまらないとイライラしてくるかもしれない。しかし、60を過ぎた人たちならユーモアたっぷりの彼らの会話にニンマリしてくるのだ。過去を振り返りつつ残りの人生を楽しむ余裕に浸ったり、共感を覚える向きも多いのではなかろうか。
本作は映画の作り全体と対峙するものではなくて、両スターの滑稽な芝居を苦笑しつつも微笑みながら鑑賞すればいいのだろう。
今年は、メキシコ国境からアメリカ経由、カナダ国境までアメリカ西海岸を「パシフィッククレストトレイル」南北に徒歩で縦走するハイキングにチャレンジした「わたしに会うまでの1600キロ」リース・ウィザースプーンが演じているのを観て感動したばかりだ。
なにせ老人二人の山登りだから無理は出来ない。元アル中のカッツが、いつ酒に手を出すかのサスペンスであり、熊に襲われてのスリル満点のシーンと、人妻に手を出しての騒動と、挿話は数々あれど、途中で馴れ馴れしく絡んできた、超身勝手なおしゃべりの女性ハイカーから逃走する作戦で二人は意気投合する。
結構、クスクス笑えるほどの緩い展開なのだ。体力の限界なのでここらで失礼の幕切れまで、観ている方ものんびりとした気分で楽しめた。
二枚目のロバート・レッドフォードは完全に受けに回り、もっぱら元悪童ニック・ノルティの不出来に対して苛立ったり赦したりする。二人のコンビネーションがとても感じよくて、セリフも粋で奥が深く、この諦めこそが人生の粋ということなのかもしれない。地味な作品だがゆったりした気持ちで人生を考えさせてくれる大人のコメディになっていた。
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