『キャラクター/孤独な人の肖像』が第70回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したマイク・ファン・ディムによるコメディー。大富豪の青年が自殺ほう助のサービスに申し込んだものの、ある女性と出会ったことから一転、二人で逃避行を繰り広げる羽目になる姿を描く。『LOFT −完全なる嘘(トリック)−』などのイェロン・ファン・コーニンスブルッヘと『人生はマラソンだ!』などのジョルジナ・フェルバーンが出演。重いテーマを扱いながらもユニークで軽快な物語に引き込まれる。
ストーリー:オランダの大富豪の息子ヤーコブ(イェロン・ファン・コーニンスブルッヘ)は、母の死後に自殺しようとするもあえなく失敗。偶然知ったベルギーの代理店が「最終目的地への特別な旅」のプラン、つまり自殺ほう助を行うサービスを提供していたことから、ヤーコブはどのタイミングで死ぬかわからないサプライズコースに申し込む。ところが同じコースを選んだアンネ(ジョルジナ・フェルバーン)と出会い、心境が変化していき……。
<感想>自殺に失敗ばかりしている男の話ではないんですね。贅沢な悩みで、母親が亡くなってしまい、自分ひとりでは生きられないとでも思ったのでしょうかね。つまりは世間しらずのお坊ちゃんで、貴族の御曹司でありながら、恋も知らずに毎日をただ無意味に過ごしてきたらしい男が、母親の死後に、全財産を財団に譲り、自殺ほう助が合法となる国ベルギーで、その専門の会社に依頼するのだ。
それからは、毎日のように自分の近辺で暴走トラックに轢かれそうになったり、今にも殺されそうな事態に陥るのだが、それでも死ぬことができず、何故か人生初めての女の子と恋に落ちてしまう。
だから、それからというものは、死ぬことよりも、その彼女と一緒にいたいし、全財産の寄付も破棄しようと画策するのだが、貴族のバカ息子が気が変わって命が惜しくなったのかと。
それにしても、貴族の家に生まれて経済的に何不自由もなく贅沢三昧に暮らし、母親が亡くなり自分も後追い自殺をしようと考えるバカ息子の話で。必ず訪れる死を、意識しながら生きるとは、生を濃密に経験することにほかならず、そうやって主人公が人生に目覚める物語なのかと。そう思っていたら、それだけに留まらず後半では怒涛の展開になっていた。
それでも、ベルギーという国は、自殺幇助が合法となるお国がらなので、請け負った葬儀社はこれぞとばかりに、バカ息子を殺しにやってくる。
そのバカ息子が初めて女の子に恋をしたその女が、自殺を請け負う葬儀社の娘で、御曹司の殺し屋として仕向けられたのだから。二人とも好きになってしまい、ベッドインまでしてしまって、これでは死ぬに死にきれず、これから彼女と暮らしていくには、豪邸も財産もいるわけで、心変わりをする主人公。
それに、生まれてからずっと世話になっている屋敷の使用人たちも、全員リストラされてしまい、挙句に庭師のムラーが、老い先短い人生を屋敷を追い出されて、途方にくれる始末。そんなことにはお構いなしの世間知らずで、感情のない男が、初めて恋をしたことで生きることへの執着心とか、他人に対しての心づかいとか、いろいろと学んでいくわけ。
奇妙な倫理とブラックユーモアで笑わせてくれる。大富豪が主人公ゆえに随所に充満するラグジュアリーな雰囲気と、高いプロ意識を持つわりには、何だか間の抜けたところがある自殺請負会社のメンバーのキャラ。恋した娘の父親が経営する会社であり、義理の兄弟が殺し屋をしているのも笑わせる。
生と死、愛と幸福、といったものを丸く収めて、しっかと見つめた人生観をめぐる物語が、絶妙なさじ加減で心地よく絡み合っているいるのだ。
ヒロインの娘、ジョルジナ・フェルバーンがちょっと、オードリー・ヘップバーン似でお転婆娘で美人なのが素晴らしい。主人公のみならず、この娘が最後に明かす、どんでん返しともいうべき、作劇上のサプライズにもなっていくのも巧みで良かった。
2016年劇場鑑賞作品・・・140映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
ストーリー:オランダの大富豪の息子ヤーコブ(イェロン・ファン・コーニンスブルッヘ)は、母の死後に自殺しようとするもあえなく失敗。偶然知ったベルギーの代理店が「最終目的地への特別な旅」のプラン、つまり自殺ほう助を行うサービスを提供していたことから、ヤーコブはどのタイミングで死ぬかわからないサプライズコースに申し込む。ところが同じコースを選んだアンネ(ジョルジナ・フェルバーン)と出会い、心境が変化していき……。
<感想>自殺に失敗ばかりしている男の話ではないんですね。贅沢な悩みで、母親が亡くなってしまい、自分ひとりでは生きられないとでも思ったのでしょうかね。つまりは世間しらずのお坊ちゃんで、貴族の御曹司でありながら、恋も知らずに毎日をただ無意味に過ごしてきたらしい男が、母親の死後に、全財産を財団に譲り、自殺ほう助が合法となる国ベルギーで、その専門の会社に依頼するのだ。
それからは、毎日のように自分の近辺で暴走トラックに轢かれそうになったり、今にも殺されそうな事態に陥るのだが、それでも死ぬことができず、何故か人生初めての女の子と恋に落ちてしまう。
だから、それからというものは、死ぬことよりも、その彼女と一緒にいたいし、全財産の寄付も破棄しようと画策するのだが、貴族のバカ息子が気が変わって命が惜しくなったのかと。
それにしても、貴族の家に生まれて経済的に何不自由もなく贅沢三昧に暮らし、母親が亡くなり自分も後追い自殺をしようと考えるバカ息子の話で。必ず訪れる死を、意識しながら生きるとは、生を濃密に経験することにほかならず、そうやって主人公が人生に目覚める物語なのかと。そう思っていたら、それだけに留まらず後半では怒涛の展開になっていた。
それでも、ベルギーという国は、自殺幇助が合法となるお国がらなので、請け負った葬儀社はこれぞとばかりに、バカ息子を殺しにやってくる。
そのバカ息子が初めて女の子に恋をしたその女が、自殺を請け負う葬儀社の娘で、御曹司の殺し屋として仕向けられたのだから。二人とも好きになってしまい、ベッドインまでしてしまって、これでは死ぬに死にきれず、これから彼女と暮らしていくには、豪邸も財産もいるわけで、心変わりをする主人公。
それに、生まれてからずっと世話になっている屋敷の使用人たちも、全員リストラされてしまい、挙句に庭師のムラーが、老い先短い人生を屋敷を追い出されて、途方にくれる始末。そんなことにはお構いなしの世間知らずで、感情のない男が、初めて恋をしたことで生きることへの執着心とか、他人に対しての心づかいとか、いろいろと学んでいくわけ。
奇妙な倫理とブラックユーモアで笑わせてくれる。大富豪が主人公ゆえに随所に充満するラグジュアリーな雰囲気と、高いプロ意識を持つわりには、何だか間の抜けたところがある自殺請負会社のメンバーのキャラ。恋した娘の父親が経営する会社であり、義理の兄弟が殺し屋をしているのも笑わせる。
生と死、愛と幸福、といったものを丸く収めて、しっかと見つめた人生観をめぐる物語が、絶妙なさじ加減で心地よく絡み合っているいるのだ。
ヒロインの娘、ジョルジナ・フェルバーンがちょっと、オードリー・ヘップバーン似でお転婆娘で美人なのが素晴らしい。主人公のみならず、この娘が最後に明かす、どんでん返しともいうべき、作劇上のサプライズにもなっていくのも巧みで良かった。
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