関西の男子高校生2人が放課後に何となく会話するだけという異色さで話題の、此元和津也による人気漫画を実写映画化。タイトルは瀬戸と内海という主人公2人の名前を組み合わせたもので、彼らが交わす嘲笑的でユーモアを織り交ぜた掛け合いが展開していく。クールな内海役には『海を感じる時』などの池松壮亮、天然キャラの瀬戸役に『共喰い』などの菅田将暉。監督は『まほろ駅前多田便利軒』などの大森立嗣が務める。
あらすじ:性格は正反対だがどこかウマの合う高校2年生の内海想(池松壮亮)と瀬戸小吉(菅田将暉)は、放課後にいつも河原で話をしながら暇つぶしをしている。くだらない言葉遊びや、思いを寄せる女子へのメールの内容、時にはシリアスなことも語り合う。そんな二人を見守る同級生の樫村一期(中条あやみ)に瀬戸は憧れているが、樫村は内海に好意を抱いており……。
<感想>元サッカー部の少々熱血なお調子者で、部活をやめて暇をもてあましている瀬戸、塾に通うクールなメガネ男子で、塾までの時間をつぶしたい内海。関西の高校生であるこの二人が、放課後はいつも一緒に河原で時間を潰して、ただただ川辺でだべっている。これといった目的もなく、ダラダラと無駄話を続ける瀬戸と内海だったが…。
言ってしまえばこの映画はそれだけの作品なのだ。体育会系でアホな瀬戸を菅田将暉が演じて、クールで賢い内海を池松壮亮が演じている。
どちらがボケで、どちらがツッコミという漫才コンビでもない。まさに「暇つぶし」の他愛もない会話だけが繰り広げられ75分。ドラマチックなことは起こらない。恋も実らないし、ガチャガチャのシークレットも出ないのだ。
しかしながら、これは紛れもなく青春映画なのだ。例えば教室、通学路、コンビニの前、駅のホームなど、何するでもなく友達と過ごした、クダラナイ時間がきっと誰にでもあるだろうから。
町中を流れる川に沿った、ちょっとした広場の短い石段。座り込んだ2人の背後には人や車が行き来して、広場にも人が出たり入ったりと。ポイントはあくまでも彼らの関西弁の他愛もないお喋りなのだが、その日替わりのお喋りが座り込んだ2人の周辺の人々の動きと、自然体で反応しあっているのがまるで連続コントのようだ。
原作が漫画だが、小咄をしている漫画のよう。本作で延々と描かれている会話には、相手からどんなに退屈な会話を振られても、関西人の多くはそれを受け止めようとする。意味なさげな会話は、相手を放っておかない優しさのようなものでもあり、関西の言葉の持つ独特なドギツサと柔らかさがその印象を深め耳障りにはなっていない。
その中に、回想シーンや、中条あやみさん、映画監督の鈴木卓爾とか、ピエロ役・宇野祥平らが、名バイ・プレーヤーぶりを見せいて、いろんな人との絡みもあるんで結構面白い。
瀬戸と内海のなんでもない毎日は、私たちの何でもなかった毎日とまるで同じなのだ。それは恋も部活も勉強もケンカも関係ない「物語にはならない」日々だけれど、大人になって思い出すのはそういうどうでもいい時間だったりする。
そして、そうやって思い出した時に初めて、あれが青春だったと気付くのである。シンプルな設定の中に青春という季節の宙ぶらりんさをここまで表現している演出と、主演の2人が実に巧い。
2016年劇場鑑賞作品・・・138映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:性格は正反対だがどこかウマの合う高校2年生の内海想(池松壮亮)と瀬戸小吉(菅田将暉)は、放課後にいつも河原で話をしながら暇つぶしをしている。くだらない言葉遊びや、思いを寄せる女子へのメールの内容、時にはシリアスなことも語り合う。そんな二人を見守る同級生の樫村一期(中条あやみ)に瀬戸は憧れているが、樫村は内海に好意を抱いており……。
<感想>元サッカー部の少々熱血なお調子者で、部活をやめて暇をもてあましている瀬戸、塾に通うクールなメガネ男子で、塾までの時間をつぶしたい内海。関西の高校生であるこの二人が、放課後はいつも一緒に河原で時間を潰して、ただただ川辺でだべっている。これといった目的もなく、ダラダラと無駄話を続ける瀬戸と内海だったが…。
言ってしまえばこの映画はそれだけの作品なのだ。体育会系でアホな瀬戸を菅田将暉が演じて、クールで賢い内海を池松壮亮が演じている。
どちらがボケで、どちらがツッコミという漫才コンビでもない。まさに「暇つぶし」の他愛もない会話だけが繰り広げられ75分。ドラマチックなことは起こらない。恋も実らないし、ガチャガチャのシークレットも出ないのだ。
しかしながら、これは紛れもなく青春映画なのだ。例えば教室、通学路、コンビニの前、駅のホームなど、何するでもなく友達と過ごした、クダラナイ時間がきっと誰にでもあるだろうから。
町中を流れる川に沿った、ちょっとした広場の短い石段。座り込んだ2人の背後には人や車が行き来して、広場にも人が出たり入ったりと。ポイントはあくまでも彼らの関西弁の他愛もないお喋りなのだが、その日替わりのお喋りが座り込んだ2人の周辺の人々の動きと、自然体で反応しあっているのがまるで連続コントのようだ。
原作が漫画だが、小咄をしている漫画のよう。本作で延々と描かれている会話には、相手からどんなに退屈な会話を振られても、関西人の多くはそれを受け止めようとする。意味なさげな会話は、相手を放っておかない優しさのようなものでもあり、関西の言葉の持つ独特なドギツサと柔らかさがその印象を深め耳障りにはなっていない。
その中に、回想シーンや、中条あやみさん、映画監督の鈴木卓爾とか、ピエロ役・宇野祥平らが、名バイ・プレーヤーぶりを見せいて、いろんな人との絡みもあるんで結構面白い。
瀬戸と内海のなんでもない毎日は、私たちの何でもなかった毎日とまるで同じなのだ。それは恋も部活も勉強もケンカも関係ない「物語にはならない」日々だけれど、大人になって思い出すのはそういうどうでもいい時間だったりする。
そして、そうやって思い出した時に初めて、あれが青春だったと気付くのである。シンプルな設定の中に青春という季節の宙ぶらりんさをここまで表現している演出と、主演の2人が実に巧い。
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