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アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅★★★★

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「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」をモチーフにした前作の続編で、アリスが時間の旅に出るファンタジーアドベンチャー。帰らぬ家族をひたすら待っているマッドハッターを助けるべく、アリスが時をさかのぼり奮闘する姿を活写。前作の監督ティム・バートンが製作を務め、『ザ・マペッツ』シリーズなどのジェームズ・ボビンがメガホンを取る。ミア・ワシコウスカやジョニー・デップなど前作のキャストが続投し、時間を司るタイムを、『ブルーノ』などのサシャ・バロン・コーエンが演じる。アリスをはじめチェシャ猫など人気キャラクターによる新しい物語に期待。
あらすじ:ワンダー号での3年に及ぶ船旅からロンドンに帰郷した後、青い蝶アブソレムにマッドハッター(ジョニー・デップ)のことを聞いたアリス(ミア・ワシコウスカ)。マッドハッターは、ワンダーランドで死んだ家族の帰りを待っていたのだ。ワンダーランドに着いたアリスは、白の女王(アン・ハサウェイ)たちから頼まれ、マッドハッターの家族をよみがえらせるべく、過去を変えようとする。時間の番人タイム(サシャ・バロン・コーエン)から時間をコントロールできる“クロノスフィア”を盗み、時間をさかのぼったアリスだったが……。

<感想>7月1日にオープンした「TOHOシネマズ仙台」で、待望の“3DIMAX“で鑑賞した。やはり大画面での四方八方から聞こえる音響といい、3D・IMAXの映像美の迫力と臨場感が半端なかった。
前作の終わりのアリスが未来に向かって、船出したミア・ワシコウスカの姿を思い出しつつ、冒頭でのイギリスへ帰る大海原の荒波の遭遇に驚きつつも、立派な船長として戻ってくる彼女の成長も見えたのだが。父親の遺した船を手放さざるを得ない状況に追い込まれ、すごく惨めな、それが今回の出発点になる。

「アリス・イン・ワンダーランド」から6年、たださえアリスの世界はぶっ飛んだユニークなものだが、ティム・バートンが監督したことでダークにしてポップな、形容しがたい奇想天外な映画に仕上がっていた。ですが、その続編となると至難の業です。特に前作でヒロインのアリスは、成長して自立した女性になっている。
ここからネタバレで書いております。内容を知りたくない方はご遠慮下さい。

そして、続編は「鏡の国のアリス」になっていたのだが、あまりストーリー性がない。そこで続編にふさわしい物語が作られたというわけ。待望の続編となる本作の邦題には「時間の旅」とあるように、再び美しい大アゲハ蝶がきて、青虫のアブソレムが脱皮して迎えに来たのだ、なんって思っていると、アリスはその後を追ってするりと鏡の中へと入り込んで天空に浮く部屋から地上へ。

といってもこの部屋の下にあるのだから「アンダーランド」の「ワンダーランド」へと落ちる。このアゲハ蝶の声こそ、故アラン・リックマンなんですね。そして、ワンダーランドに誘われたアリスが、かの地の「過去」を冒険する物語となっている。

冒険の目的は、過去に捕らわれた親友の、白塗りジョニー・デップことマッドハッターが意気消沈で、アリスのことも忘れ周囲を心配させていた。ジョニー・デップが老けて、中年太りなのか、あの素敵だったジョニーは何処に~と、少しがっかりした。

アリスが着るチャイナ・カラーのドレスも、素敵な極彩色でめちゃくちゃに可愛いし似合っている。それに、ここではいままでの体験から父親を奪った「時」を憎むアリスは、不幸なマッドハッターを、元気な昔に戻すために「時」を取り戻し、彼が取りつかれている家族を失った過去を消して、書き換えることが必要だと思い立つのだ。

そこで、白の女王から教えられた「時」を支配する番人「タイム」が住む永遠の城を訪れ、彼が番をする大時計の前に立つ。この大時計は「タイム」の心臓の鼓動と連動し、彼は「過去を変えることは出来ない」と当たり前のことを言う。アリスがそこで「試したことがあるの」と。そこでアリスが大時計の心臓ともいうべく“クロノスフィア“を奪って過去へと旅立つわけ。

ここでは、新キャラクターの“タイム”を生み出し、彼を動かすことによって、前作よりもコミカルな部分が増えている。“タイム”というキャラクターの存在感であり、コメディアンのサシャ・バロン・コーエンが演じているのが大きかった。

自己愛の強い時間の番人タイムだが、面白いのは赤の女王にはゾッコンなところ。タイムは、彼女に身も心もすっかり奪われてしまう。その結果、赤の女王イラスベスは、前作よりさらに笑いを誘う魅惑的なキャラクターになっていた。

イラスベスを演じるヘレナ=ボナム・カーターは、自分の娘が小さかった時に、それも機嫌が悪かった時の娘をベースに役作りをしたという。前作では、ただの嫌なヤツだった赤の女王が、何故にこんなキャラクターになったのかが、今作では描かれている。最初から頭でっかちの嫌な赤の女王ではなかったのだ。
それに、アリスが過去に捕らわれたマッドハッターを救うために、本作では自由さが与えられて、いろいろと面白い場所を旅することができるというわけ。

彼女がタイムスリップを繰り返す度にワンダーランドとその住人たちの謎が、次々に明らかになっていくわけだが、それはある意味「ワンダー=驚き」を紐解き、理解して、現実へと近づけていく過程でもある。
アリスが真実を知るほどワンダーランドが崩れ落ちていくのも、そのメタファーだろう。クライマックスの崩壊映像なんて、殆どクリストファー・ノーランの「インターステラー」みたい映像になっているのだから。

それに、ルイス・キャロルの原作からは遥かに遠い場所に来たとも言えるのですが、そもそもアリスの夢と想像力の架け橋となっていたマッドハッターは、ここでは病の床に臥しているのだ。

そして、アリスがアンダーランドの奥へと進み、お茶会の真っ最中だった、白の女王(アン・ハサウェイ)、双子のトウィードルディーとトウィードルダム(マット・ルーカス)、白うさぎ(マイケル・シーン)、チェシャ猫(スティーブン・フライ)、ベイヤード(ティモシー・スポール)、ヤマネ(バーバラ・ウィンザー)、三月ウサギ(ポール・ホワイトハウス)、バンダースナッチらと再会するシーンに嬉しくなる。
実世界でのアリスのフェミニズム的自己の葛藤といい、過去は変えられないという結論といい、本作から強く感じるのは、夢から覚めた後の「現実に戻りこれからどう生き抜くのか」みたいな教訓みたいなメッセージなのだ。
とにかく初めて体感した“3DIMAX“の感動と興奮、アリスが遡る“時の海”の大海原の映像美とか、色彩豊かなカラフルな世界「ワンダーランド」の、マッドハッターの一家が住んでいた街「ウィッツエンド」のセット、そして、「タイム」の城も、赤の女王イラスベスの城も、衣装や美術スタッフのこだわりが映画全体を盛り上げ、ディティールまで完璧な世界観を作り上げているのが良かった。

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