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アンナ・カレーニナ ★★★★

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ロシアの文豪レフ・トルストイが地位のある夫を持ちながら道ならぬ愛に身を焦がす妻を描き、世界中で読まれ続けている小説を、「プライドと偏見」「つぐない」のジョー・ライト監督が豪華絢爛に映画化。

タイトルロールの美貌の妻を「プライドと偏見」で第78回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたキーラ・ナイトレイが、体面を保とうとする夫を「シャーロック・ホームズ」「コールド マウンテン」のジュード・ロウが、情熱的な将校を「キック・アス」「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」のアーロン・テイラー=ジョンソンが演じている。脚本は「恋に落ちたシェイクスピア」で第71回アカデミー賞脚本賞を受賞したトム・ストッパード。

あらすじ:19世紀末、帝政末期を迎えているロシア。サンクト・ペテルブルクで社交界の華と謳われる美貌の持ち主アンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)は、政府高官を務める夫カレーニン(ジュード・ロウ)に愛情を持てずにいた。モスクワへ向かう中、騎兵将校のヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と出会ったアンナ。二人は一目見たときから恋に落ちてしまう。自制心を働かせようとするも、舞踏会で再会したときには燃えさかる情熱を止めることができなくなっていた。アンナは社交界も夫も捨てヴロンスキーとの愛に身を投じるが、それは同時に破滅へと向かうことになっていく……。

<感想>この映画は、こちら東北では5月下旬ころ上映される予定とのこと。運よく当選して、3月に試写会で鑑賞しました。トルストイ原作の、何度も映像化されて名作だが、ストッパードの脚本、ジョー・ライトの監督になるこの新作は文句なしに面白い。それは大胆で想像力に富んだ舞台風の演出によって、新鮮に描き直してます。撮影は、主に大型舞台上で行われ、走る馬車の窓の外を流れる景色も書き割りを使用。スタッフが舞台装置をチェンジするようすもあえて映しこみ、場所を変えずにシーンを展開させているのには驚いた。
全ての登場人物は劇中のキャラクターだという趣向。カメラは、劇場の舞台からスムーズにリアルな空間へと移動する。それは舞台のような場面転換を表現するため、100もの異なるセットが用意された本作。アンナの家や競馬場、スケート場のシーンまでもが同じ劇場内で展開する。俳優の動きに合わせて壁やテーブルが動くという独特の演出に注目下さい。

特にヴロンスキーが可愛がっている白馬を競馬場で疾走させるシーンも、場外のシーンからゴールのシーンを舞台にして、ヴロンスキーの白馬が客席へと傾れ込む。このシーンも圧巻で、白馬は足を骨折して拳銃で殺すと息巻くるヴロンスキーの形相がスクリーンにアップされる。カット割りやシーンの転換も、映画というよりは舞台のような演出法をとっており、舞台劇を間近で観ているような臨場感を味わえる。

そして、そんな世界観の中で繰り広げられるのは、見た目の美しさとは対照的な恋の狂気。ジョード・ロウ演じるカレーニンの嫉妬心、キーラ・ナイトレイ演じるアンナのピュアながらも揺れる女心は、ルックス、演技力ともに評価が高い2人でなければ表現しきることは難しかったろう。
一方で、ヴロンスキーを演じるアーロン・テイラー=ジョンソンは、「キック・アス」で一躍注目を集めた若者で、彼のフレッシュな魅力が、ヴロンスキーのミステリアスなキャラクターにマッチして、ジュードとキーラに引けをとらない存在感を醸し出している。

最も注目すべきは華麗な舞踏会シーンを彩る衣装と美術だろう。監督は独自の解釈で描きだし、当時の社交界以上に華やかな衣装、美術でシーンを彩ることで、アンナとヴロンスキーの甘美な関係を印象づけている。アンナの胸元には、シャネルから提供約1億8000万円相当のダイヤモンド・ジュエリーを身に飾り、アンナが着る濃い紅色のドレスは、当時よりも後の時代、1950年代に流行った尾を引くようなデザインを採用、他のドレスもバレンシアガやディオールなどのスタイルを参考に作られ、見事アカデミー賞衣装デザイン賞に輝きました。
しかも、美しいドレスの際立つ舞踏会でのダンスシーンでの振付は、モダンダンス振付師のシディ・ラルビ・シェルカウイによるもの。そんな彼が手がけた、バレエ的アプローチをもって感情を表現するというダンスは、お互いの顔を見つめ合い手を交差させ、振付も非常に現代的で、まるで宝塚の舞台でも見ているような印象を受けました。内容部分はみなさんご存じのはずですが、最後のシーンが小説とは違っているのが良かったです。
世界中から愛された傑作小説を、映像の説得力しかり、かくも見事な現代的手法で構成された本作。わかりやすくたとえて言うなら、まるで理想的なキャストで映像化された宝塚歌劇か、始まって数分でその斬新かつ豪華絢爛な世界観に引き込まれ、女性ならきっと心を奪われるにちがいありません。
2013年劇場鑑賞作品・・・61 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキングへ




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