京都の歓楽街・木屋町を舞台に、四肢をなくしながらも借金取りとして生きる元ヤクザとその世話を命じられた青年ヤクザの姿を通して、裏社会で繰り広げられる壮絶な人間模様を描いた禁断の問題作。主演は遠藤憲一、共演に三浦誠己、武田梨奈、寺島進、木村祐一。監督は「誘拐ラプソディー」「捨てがたき人々」の榊英雄。
あらすじ:かつては木屋町を牛耳る組織を束ねていた勝浦茂雄だったが、5年前のある事件で四肢を失う。しかし今では、その異形の肉体を逆用して借金の取立て稼業で活躍していた。その手口とは、下の処理すらできないその躰で債務者の家に居座り続け、彼らが音を上げるまで嫌がらせを続けるというもの。そんな勝浦の世話を押しつけられ、嫌々ながらも面倒を見ていた若いヤクザの坂本だったが…。そんな勝浦のもとに、とある家族への取り立ての仕事が舞い込む。その家族は、勝浦が障害を負う原因を作った元部下サトシの身内だった。
<感想>この映画も昨年の暮れにミニシアターで観賞したもの。すこぶる濃い感じがする俳優の遠藤憲一さんが、エグイキャラを演じると、逆にエグさが中和されコメディのようにもとれるようでもある。とにかく、実際の乙武洋匡さんを思い出してしまった。ですが映画の方は、四肢欠損を見世物にすることを、反戦映画だけの免罪符にしてたまるかと言わんばかりの、俗悪で凶暴な怪作に仕上がっていた。
「シモの世話せ~っ」と叫んで借金を取り立てに勤しむというか、玄関に放り込まれ、借金を返さない債権者の家に居座るシーンでは、ダルマのならではの嫌がらせを行う取り立てをする。北野監督の騒がしいだけのヤクザ映画よりも、はるかに面白かった。
半島系のヤクザに、金の不始末で四肢をちょん切られたのだと、分かってくるのだが、その裏にも秘密があったのだ。借金のかたに売り飛ばされる武田梨奈と介護ヤクザ、付き人として働く坂本の三浦正巳もなかなかよかったです。
時には死にそうな目に遭いながらも、「仕事」を辞めようとはしない勝浦茂雄の執念を目のあたりにし、次第に心を開き始める坂本。
そんなある日、仲間の口から衝撃的な事実を知らされた坂本は、勝浦がダルマになった本当の理由を知るべく、ひとつの行動を起こすのだ。そもそもいくら闇社会だからといって、両手、両足を切断してケジメをつけるということが、眉ツバであり、物語の設定自体が奇をてらっているのがみえみえである。
まぁ、かつてのVシネマふうの雰囲気もしないでもないが、ダルマとなった遠ケンさんのあっ晴れな演技だけが見ものだった。それでも、脇役までしっかりした表情で芝居を見せる監督の演出は、あくまでも大真面目で、その辺りが映画を中途半端にしているようでもあり、いまいちインパクトがないのだ。
ですが、凄いのなんの、畳の上をのたうちまわり、間髪いれずに失禁をし、挙句の果てには脱糞までしてしまう遠ケンさんが、延々と映し出されていく冒頭の部分だけで、目を覆いたくなるのだから。
だが、人として尊厳を捨ててまで極道にこだわり続けたのか?・・・。物語の最後で明かされる時、彼の秘めていた信念の大きさに、そして孤独の深さを知り心が震えました。
あまりにも酷い残酷な真相に泣き崩れる坂本、そこへ勝浦が床を這いずりながら近づき、叱咤するシーンではつい涙が溢れて仕方がなかった。例え手足がなくとも、心意気ひとつで周囲を惹きつける彼の生き様に、褒めてあげたい。
2016年劇場鑑賞作品・・・2映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:かつては木屋町を牛耳る組織を束ねていた勝浦茂雄だったが、5年前のある事件で四肢を失う。しかし今では、その異形の肉体を逆用して借金の取立て稼業で活躍していた。その手口とは、下の処理すらできないその躰で債務者の家に居座り続け、彼らが音を上げるまで嫌がらせを続けるというもの。そんな勝浦の世話を押しつけられ、嫌々ながらも面倒を見ていた若いヤクザの坂本だったが…。そんな勝浦のもとに、とある家族への取り立ての仕事が舞い込む。その家族は、勝浦が障害を負う原因を作った元部下サトシの身内だった。
<感想>この映画も昨年の暮れにミニシアターで観賞したもの。すこぶる濃い感じがする俳優の遠藤憲一さんが、エグイキャラを演じると、逆にエグさが中和されコメディのようにもとれるようでもある。とにかく、実際の乙武洋匡さんを思い出してしまった。ですが映画の方は、四肢欠損を見世物にすることを、反戦映画だけの免罪符にしてたまるかと言わんばかりの、俗悪で凶暴な怪作に仕上がっていた。
「シモの世話せ~っ」と叫んで借金を取り立てに勤しむというか、玄関に放り込まれ、借金を返さない債権者の家に居座るシーンでは、ダルマのならではの嫌がらせを行う取り立てをする。北野監督の騒がしいだけのヤクザ映画よりも、はるかに面白かった。
半島系のヤクザに、金の不始末で四肢をちょん切られたのだと、分かってくるのだが、その裏にも秘密があったのだ。借金のかたに売り飛ばされる武田梨奈と介護ヤクザ、付き人として働く坂本の三浦正巳もなかなかよかったです。
時には死にそうな目に遭いながらも、「仕事」を辞めようとはしない勝浦茂雄の執念を目のあたりにし、次第に心を開き始める坂本。
そんなある日、仲間の口から衝撃的な事実を知らされた坂本は、勝浦がダルマになった本当の理由を知るべく、ひとつの行動を起こすのだ。そもそもいくら闇社会だからといって、両手、両足を切断してケジメをつけるということが、眉ツバであり、物語の設定自体が奇をてらっているのがみえみえである。
まぁ、かつてのVシネマふうの雰囲気もしないでもないが、ダルマとなった遠ケンさんのあっ晴れな演技だけが見ものだった。それでも、脇役までしっかりした表情で芝居を見せる監督の演出は、あくまでも大真面目で、その辺りが映画を中途半端にしているようでもあり、いまいちインパクトがないのだ。
ですが、凄いのなんの、畳の上をのたうちまわり、間髪いれずに失禁をし、挙句の果てには脱糞までしてしまう遠ケンさんが、延々と映し出されていく冒頭の部分だけで、目を覆いたくなるのだから。
だが、人として尊厳を捨ててまで極道にこだわり続けたのか?・・・。物語の最後で明かされる時、彼の秘めていた信念の大きさに、そして孤独の深さを知り心が震えました。
あまりにも酷い残酷な真相に泣き崩れる坂本、そこへ勝浦が床を這いずりながら近づき、叱咤するシーンではつい涙が溢れて仕方がなかった。例え手足がなくとも、心意気ひとつで周囲を惹きつける彼の生き様に、褒めてあげたい。
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