アメリカの牧師ティム・ラヘイが聖書の記述を根拠とした終末論をベースに、ジェリー・Ｂ・ジェンキンスと共著で書き上げた同名ベストセラーを映画化したキリスト教エンタテインメント・ムービー。ある日突然、世界中で数百万の人間が忽然と姿を消し、残された人々がパニックに陥る中、飛行中のジャンボ機を操縦していた主人公とその家族の運命を描く。主演はニコラス・ケイジ。監督は「バニシング・レッド」のヴィク・アームストロング。
あらすじ：パイロットのレイは、ＪＦＫ国際空港を離陸しロンドンへと向かうジャンボ機を操縦中。ところが、その機内から副操縦士を含む大量の乗客が忽然と消えてしまう。ＪＦＫ国際空港へ引き返すレイだったが、管制官とも連絡が取れない。その頃地上では、同じような人間消失事件が世界中で発生し、未曾有のパニックが始まっていた。その中には、突如消えた母と弟を捜すレイの娘クローイの姿もあったが…。
＜感想＞地方では上映されなかった作品で、久しぶりのニコラス・ケイジがジャンボ機のベテランパイロットを演じたパニック・アクションものというので期待して観ました。数百万人の人間が突如姿を消すという未曾有の事態が発生し、上空を行くジャンボ機の乗客もパニックに陥る中で、パイロットのニコラス・ケイジは命をかけた決断を迫られる。
なかなかのトンデモ映画で、飛行機パニックとシャラマン映画を１本にしたような謎の構成で、乗客のキャラなど突っ込みどころ満載の作品。例によって知っている俳優はニコラス・ケイジだけという、彼が全力投球の本格芝居をかましてくれているので、コメディなのかシリアスなのかテンションが上がりっぱなし状態。
操縦士のレイが管制塔と連絡が取れない中で、おまけに操縦士のいない飛行機が目の前に迫って来て、それを回避しようとするが翼の一部が接触し、燃料漏れを起こしてしまう。
レイと娘のクローイは衛星電話で連絡を取るも、ようやく応答してきた管制塔はＪＦＫ空港は閉鎖されたというのだ。だが、接触事故のために燃料の残り少ないジャンボ機は他の空港へは向かえない。
そのことを娘のクローイに衛星電話ではなして、娘は近くに大規模工事中の区画があることを思いだし、父親のレイに連絡する。着陸できるギリギリの長さの滑走路に仕立てた工事用の道路に、クローイは必死になって父を誘導するのだ。目印はガソリンを撒いて火をつけて、やり直しは許されないのだ。ニコラス・ケイジ操縦士は無事に着陸できるのだろうか。
人は不可能な出来事には、とことん理由があって欲しい生きものなのだろうか。
なんとも過酷すぎるこの脚本が、よくＣＧになったものだと感心しきりです。
人間消失が残された衣服だけで表現されるばかりで、合理的な解決どころか、非合理な説明さえ放棄してしまっているのだから。一瞬で洋服だけを残して中身が無くなる人間消失描写も、笑っていいのかどうか戸惑うところですが、それなりの驚きと衝撃はあるので侮れません。人間の消失は世界中で起こっていたのです。
とんでも常識外れな作品で、肩すかしをくうのだ。宗教にのめり込む妻から逃げるかのように、誕生日にも仕事に打ち込むパイロットを演じているニコちゃん。客室乗務員の女性と浮気をしているような気配で、いつものニコちゃんらしくて確かに熱演はしているが、ストーリーは同時多発的に世界中から人間が消えていくという荒唐無稽なものなのだ。
始めは、ＳＦものかと、またもや宇宙人が人間を吸い上げてしまったのかと思ってしまった。原作は、黙示録を題材にした、全世界でシリーズ累計発行部数6500万部を超えるティム・ラヘイとジェリー・ジェンキンズによる小説。
映画として納得できる脚色が必要なはずなのに、消える人間と消えない人間の差は何なのか？・・・神を信じない人間が残ったということなのか。
残された人間のパニック描写は、さほど驚き騒ぎ喚き出す。航空機内も子供たちが多いので、黒人の母親が目の前で娘が蒸発してしまうショックに、父親の回し者が娘を誘拐したのだと勘違いして拳銃を突きつけて大騒ぎ。
それも問題ですが、地上の描写ときたらひどいもんです。もっと詳しく描写しないと分からん？？？。娘が父親の機長に着陸場所を携帯電話で指示する場面の、ご都合主義にも唖然とします。ここは、「ダイ・ハード２」でのブルース・ウィリスが空港にガソリンを撒きライターで火を付けて、飛行機を着陸させるのと同じ発想でしたね。
２０１６年ＤＶＤ鑑賞作品・・・１
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