アメリカでは公開翌週に上映館が20倍となり、「ザ・コーブ」を上回る大ヒットになったという。プロデューサーは映画「ファーストフード・ネイション」(06)のもとになった、「ファーストフードが世界を食いつくす」の著書であるエリック・シュローサー。アメリカでは農業の工業化問題の第一人者と言われる彼と、監督のロバート・ケナーとが、6年もの歳月をかけて本作を完成させた。2008年の作品。
アメリカの食品産業の裏側に隠された衝撃の実態を暴き出し、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた話題作。ひと握りの人々が莫大な利益を得る一方で下請けにあえぐ一般農家、さらに日本でも未だに表示義務のない遺伝子組換食品の問題など、農業や畜産業の巨大工業化が生み出した数々の弊害をあぶり出していく。
<感想>「食の社会見学」シリーズアメリカ編と銘打たれた「フード・インク」。つまりは農業自体が巨大企業になってしまった異常な食事情を告発したドキュメンタリーです。
これは問題点をよく取材して追及していると思いますね。ただ、もう少しポイントを絞った方がよかった。確かに農業、家畜業をめぐる問題は奥が深く、取材や撮影すべき素材が限りない。でもまぁ、隠しカメラを使って屠殺場内の撮影に成功したり、普段なかなか覗けない世界を見せてくれているとは思います。
この制作チームは、かなりのレベルの取材能力をもっています。ちょいと、マイケル・ムーア的なアプローチも意識しているし。でもムーアほど感情的ではなく、そういう点でも良く出来ている。
日本人も関心をもつべき身近なテーマなんですよね。自由貿易協定になると外国の食品がどんどん入ってくる。アメリカの大豆、とうもろこしの9割は遺伝子組み換えなんです。
ラベル表示の義務がないから、知らぬ間に我々も口にしてしまっているわけで、後は不自然な養育・養殖の問題ですね。アメリカでは生産第一で、無理な飼い方をされた鶏、牛、豚などから疫病が発生する可能性が高い。これは決して他国のお話では済まないですから。
胸肉の大きな鶏肉が消費者には好まれので、人工的に従来の半分の期間で2倍のサイズで育てられ、脚が成長のスピードに追い付けず、胴体を支えられない。2,3歩歩くだけで脚が折れてしまうブロイラーが、増産されていく、・・・このシーンはショッキングな映像でしたね。
そもそもアメリカの農業スタイルは、より安く、効率よく食べ物を収穫するためのシステムだったんですよね。ところが、それが生み出したのは、数社のみが莫大な利益を得る構図だったわけで、これがドキュメンタリーの要点でしょう。
しかしながら、金持ちはオーガニック、貧乏人はマック?・・・そりゃオーガニック、有機農業はいいですが、現実問題は高額だということ。残念ながら消費者が視野を広げたとしても、中産階級以上の人達しか対応できないのが現実。
日頃、100円のハンバーガーを仕方なく食べている人達に、このドキュメンタリーの提案が届くのかというと、疑問ですよね。最近では、アメリカの金持ちなんか、アルゼンチンに牧場を購入して、オーガニック農場を実践しているという。アメリカ国内でも資産家が、自分用の牧場を持つ例は多いそうで、畑で働いているのは外国人労働者だったりして、昔の封建領主の世界みたいですね。
結局は、食をめぐっても格差社会が幅をきかせているんですね。日本はまだアメリカほどではないにしろ、やっぱり食の問題はあります。それは、“賞味期限”が問題なんですね。充分まだ食べられるものを捨てさせる。とてももったいないことをしている。
捨て過ぎなんですね。流通の過程でもずいぶんと廃棄しなくていいたぐいの物が棄てられる。とても勿体ないことをしている。その問題については、“食の社会見学”シリーズ、ヨーロッパ編の「ありあまるごちそう」というドキュメンタリーが取り上げているので、機会があれば見て見ましょう。
2015年DVD鑑賞作品・・・72映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
アメリカの食品産業の裏側に隠された衝撃の実態を暴き出し、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた話題作。ひと握りの人々が莫大な利益を得る一方で下請けにあえぐ一般農家、さらに日本でも未だに表示義務のない遺伝子組換食品の問題など、農業や畜産業の巨大工業化が生み出した数々の弊害をあぶり出していく。
<感想>「食の社会見学」シリーズアメリカ編と銘打たれた「フード・インク」。つまりは農業自体が巨大企業になってしまった異常な食事情を告発したドキュメンタリーです。
これは問題点をよく取材して追及していると思いますね。ただ、もう少しポイントを絞った方がよかった。確かに農業、家畜業をめぐる問題は奥が深く、取材や撮影すべき素材が限りない。でもまぁ、隠しカメラを使って屠殺場内の撮影に成功したり、普段なかなか覗けない世界を見せてくれているとは思います。
この制作チームは、かなりのレベルの取材能力をもっています。ちょいと、マイケル・ムーア的なアプローチも意識しているし。でもムーアほど感情的ではなく、そういう点でも良く出来ている。
日本人も関心をもつべき身近なテーマなんですよね。自由貿易協定になると外国の食品がどんどん入ってくる。アメリカの大豆、とうもろこしの9割は遺伝子組み換えなんです。
ラベル表示の義務がないから、知らぬ間に我々も口にしてしまっているわけで、後は不自然な養育・養殖の問題ですね。アメリカでは生産第一で、無理な飼い方をされた鶏、牛、豚などから疫病が発生する可能性が高い。これは決して他国のお話では済まないですから。
胸肉の大きな鶏肉が消費者には好まれので、人工的に従来の半分の期間で2倍のサイズで育てられ、脚が成長のスピードに追い付けず、胴体を支えられない。2,3歩歩くだけで脚が折れてしまうブロイラーが、増産されていく、・・・このシーンはショッキングな映像でしたね。
そもそもアメリカの農業スタイルは、より安く、効率よく食べ物を収穫するためのシステムだったんですよね。ところが、それが生み出したのは、数社のみが莫大な利益を得る構図だったわけで、これがドキュメンタリーの要点でしょう。
しかしながら、金持ちはオーガニック、貧乏人はマック?・・・そりゃオーガニック、有機農業はいいですが、現実問題は高額だということ。残念ながら消費者が視野を広げたとしても、中産階級以上の人達しか対応できないのが現実。
日頃、100円のハンバーガーを仕方なく食べている人達に、このドキュメンタリーの提案が届くのかというと、疑問ですよね。最近では、アメリカの金持ちなんか、アルゼンチンに牧場を購入して、オーガニック農場を実践しているという。アメリカ国内でも資産家が、自分用の牧場を持つ例は多いそうで、畑で働いているのは外国人労働者だったりして、昔の封建領主の世界みたいですね。
結局は、食をめぐっても格差社会が幅をきかせているんですね。日本はまだアメリカほどではないにしろ、やっぱり食の問題はあります。それは、“賞味期限”が問題なんですね。充分まだ食べられるものを捨てさせる。とてももったいないことをしている。
捨て過ぎなんですね。流通の過程でもずいぶんと廃棄しなくていいたぐいの物が棄てられる。とても勿体ないことをしている。その問題については、“食の社会見学”シリーズ、ヨーロッパ編の「ありあまるごちそう」というドキュメンタリーが取り上げているので、機会があれば見て見ましょう。
2015年DVD鑑賞作品・・・72映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング